滝神社本社) 岡山県奈義町

滝山の中腹(海抜800m)の岩室に伊邪那美命と紀州熊野権現を祀る霊地。
禊(みそぎ)橋を渡ると古めかしい女人結界石柱・鳥居・狛犬などが建立され、さらに清流と苔むす岩間をたどりながら、稲荷宮の急な石段を登り進むと、雄滝:雌滝の瀑布があり、杉の大木などの原生林に包まれた霊気幽玄の地に鎮座されている。(禊橋より徒歩20分)

滝神社の女人結界石柱

町指定重要文化財(石造物) (平成5年1月6日指定)
滝神社本社参道寺屋敷

 滝神社は、滝山(1197m)の中腹にあり「滝大領権現」または「お滝様」とも呼ばれていた。白鳳(白雉)年間に創建されたと伝えられ、奈良時代には修験者たちが修業するための聖地であった。彼らは山伏または行者ともよばれ、険しい山々を信仰し荒行を積み、陰陽道や仏教、神道などを混合した山岳信仰を広めた。
 滝神社を信仰したその行者たちは、この滝山の霊地で修業をしたが、その修業のさまたげにならないようにと、女性の入山を禁止した。その為に「従是女人結界・奥の院」と刻んだ石柱が建立(時代不詳)された。この事は滝山が山岳宗教や神仏習合の姿を偲ぶ貴重な証となる。
 英田郡の後山は、今なお女人禁制の結界地として厳守されている。
 また、滝山の山麓(那岐池堤防下)には修験道の祖といわれる「役の行者」の石像が建立(時代不詳)されている。