安岡正篤先生 特別講話
その六
天下人とは
少しでも志ある人物は、この際、何よりもまず落ち着け、落ち着いてそして善く自己を省み、人を観察せよ。
身の病いを治すすら容易でない。天下の病いを救うことがそう容易に出来るものではないのだ。
天下を救うほどの人物は、
理論闘争に耽ったり、
思いつきの政策を振り回したり
威張ったり、そねんだり、
疑ったりしている輩ではない。
純真で、能く善に感じ、
士に下り、何の拘泥もない、
極く自然な人間でなければならぬ。
(経世瑣けいせいさ言ごん)
青年
おとなを
恥じさせるような純真さ
若々しい情熱と気魄、
不羈奔放な理想と
寝食も忘れる勉強ぶりを持って
偉大な人物に私淑し、
万巻の書を読み、
師友を求め、
名山大川に遊び、
酔生夢死、すいせいむし
にあきたらず
何か感激に死のうとするような、止むに止まれぬ魂こそ
青年の貴い精神である。
(経世瑣言)