湯の峰温泉

湯の峰王子の更に奥の谷に、「不動滝」がある。水量は極めて少ないが、仁徳天皇時代の裸行上人が荒行をされて温泉を感得されたとの掲示板が腐れかかっていた。ここは由緒のある場所だと思われる。

 湯の峰温泉は日本最古の湯といわれ、熊野詣の湯垢離場(ゆごりば)として、参拝者の身を清め続けた。湯の谷川の両脇に並ぶ風情豊かな温泉街には、つぼ湯と呼ばれる小さな共同浴場がある。1日に7度も色が変わる珍しい湯で、大人が2〜3人入れば満員。
 ここには小栗判官(おぐりはんがん)と照手姫(てるてひめ)の切ない伝説も伝わり、歴史ロマンあふれる湯として人気がある。足利時代、毒酒を盛られた小栗判官は、遊女の助けでこの湯につかり、一命をとりとめた。この遊女こそ、流浪の身となっていた妻の照手姫だったという、切なくも温かな物語。
 病の癒えた判官が、力を試した力石や、照手姫ゆかりの車塚など。湯の峰の地名の由来となった、湯胸薬師が祀られる東光寺や、熊野古道の湯峰王子なども必見です。
 東光寺脇には山本玄峰老師を讃える玄峰塔が建っています。師は厳しい修行の末に臨済宗妙心寺派の管長となり、終戦時には『天皇は国民の象徴』との明答を出し、新憲法にも採用されました。
 つぼ湯の前には珍しい湯筒があり、約90度の湯が常時湧いている。