熱中症について
森田元章
2008.7.8 ケーブルテレビいなばぴょんぴょんネット要旨
(図、表は掲載していません)

熱中症とは
「熱中症」は、熱が体内にこもって起こる様々な症状の総称です。
通常は、体温が上がり始めると、汗をかいて気化させたり、皮膚の血流量を増やしたりして、熱を皮膚から逃し、体温を一定に保とうとします。ところが、この熱の放出がうまくいかなくなると、熱中症が起こります。
熱中症の現状
我が国では毎年300人くらいの人が熱中症のために亡くなっています。高齢者に多いですが、暑い環境で働く働き盛りの人や、スポーツの最中になくなる人もいます。小児では、年長児のスポーツ中、乳幼児も暑い環境の中で亡くなる人がいます。
7月、8月は1年の中で熱中症が最も多くなる季節です。正しい知識を持っていれば、熱中症は予防可能です。
熱中症の症状
熱中症は症状により軽い方から順に、第1度(熱けいれん、熱失神)、第2度(熱疲労)、第3度(熱射病)に分けられます。
暑い環境の中では体温を下げるために人は汗をかきます。汗には水の他に塩分が含まれるので、たくさん汗をかくと体からは水分と同時に塩分も失われます。
熱けいれんは、大量の汗をかいているにもかかわらず、水だけが補われて塩分が補われないときに、筋肉のけいれんとして現れます。
熱失神は皮膚表面の血管の拡張のために血圧が下がったり、脳血流が減少するために起こります。症状としては立ちくらみ、短時間の失神、顔面が蒼白となるなどの症状が現れます。
熱疲労は大量の発汗のため、水分補給が追いつかず脱水になることによって起こります。水分、塩分の不足です。症状は、疲労感、吐き気、頭痛、めまい、顔面蒼白などです。
熱射病は最も重いもので、体温上昇による中枢神経の障害によって起こります。症状は、発汗停止、40度以上の高熱、意識混濁、意識不明、呼吸停止など、きわめて重症です。
熱中症になったときの処置
おかしいなと思ったら、重症度にかかわらず、次のことを行ってください。
(1)涼しい日陰やクーラーの効いた室内などに移動する。
(2)衣類をゆるめて休む。
(3)体を冷やす。
(4)水分を補給する。
第1度の時(めまい、立ちくらみがあり、汗が拭いても拭いても出てくる、筋肉がけいれんする)は、涼しい場所に移動して、水分、塩分をとってください。特に筋肉のけいれんがあるときは塩分の補給が大事です。
第2度の時(頭ががんがん痛む、吐き気がする、吐く、体がものすごくだるい)には涼しい場所に移動し足を高くして休みます。水分、塩分を補給しますが、自分で補給できない場合や、しばらく手当てしてもよくならないときは病院を受診しましょう。
第3度の時(意識がおかしい、体がものすごく熱い、けいれんがある、呼吸がおかしい)は一刻を争う重症です。すぐに救急車を要請して救命処置のできる病院へ運びます。救急車の到着を待っている間は、涼しい場所に移動して、体を冷やします。首、わきの下、鼠径部に氷や保冷剤を当てます。氷がない場合は体に水を吹きかけるのもよいでしょう。
熱中症の予防
(1)体調を整える
熱中症は湿度が高く、風邪が弱く、日差しが強い日に多発しますが、人の体調が大きく影響することが知られています。暑さになれていないとき、寝不足の時、風邪をひいているときなど、起こりやすくなります。
(2)水分補給をする
のどが渇いたと感じるときはすでにかなりの水分不足になっていると言われています。戸外で運動や活動をするときは、のどの渇きを感じる前から、こまめに水分を補給するようにしましょう。また、活動時間が長くなる場合には、水分だけでなく、塩分も補給する必要があり、スポーツドリンクなどを利用するとよいでしょう。
(3)適切な服装をする
外出時には帽子をかぶること。服の色は、熱を吸収しにくい白っぽいものがよいでしょう。また、通気性のよい服を着ることも大切です。
夏の間、お子さんを活動やスポーツを指導なさる親御さんや指導者の方は是非以上の点に気をつけていただきたいと思います。そして、子どもの様子がおかしいなと思ったら、すぐに涼しい場所で休ませ、水分補給して注意深く観察していただきたいと思います。また、熱中症は戸外でだけ起こるものではありません。暑い環境であれば、室内でも起こる事例はいくらでもありますから、注意をお願いします。
小さいお子さんをお持ちの方へ
小さいお子さんが熱中症の犠牲になることは少なくありません。暑い戸外に子ども連れで外出するとき、道路はかなりの高温になっています。親が感じるより、地面に近いところにいるお子さんは相当暑い環境にいることになりますので、長時間乳母車で移動することは避けましょう。
また、お子さんを暑い部屋に残して外出したりしないようにしましょう。暑さに慣れさせるのは大切ですが、室内の気温が高すぎるのは熱中症の危険があります。エアコンや扇風機をうまく使うようにしましょう。
最後に、絶対にやってはならないこと。それは車の中にお子さんを残したままにすることです。車内の温度は急速に高温になります。少しの間のつもりでも、用事がすぐに済むとは限りません。熱中症の事故を起こしてしまってからでは取り返しが付きません。約10分間で命が危険な状態になるというデータもあります。お子様を車の中に残すことだけは絶対にしないでください。