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家庭でできる子どもの肥満予防と対策 〜女性のひろばへの投稿記事から〜 2006.7 森田元章 ![]() |
| 1) 肥満への関心の高まり 子どもの肥満が増えていることは皆さん実感なさっているのではないでしょうか。文部科学省の調査でも12歳で標準体重の120%以上の体重の子どもは10%を超えています(図)。アメリカでは肥満が深刻な社会問題になり、小中学校でのコカ・コーラなど糖分の多い清涼飲料の販売を3年後に全面的に停止することになった、というニュースが最近紹介されました。 一方、中高年では「おなかに脂肪がたまる内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)に該当する人が、予備軍を合わせ約2000万人におよぶ」と厚生労働省が発表しました。内臓脂肪は、皮下脂肪と異なり内臓の周りにたまる脂肪です。メタボリックシンドロームというのは内臓脂肪肥満(ウエストが大きい=男性85cm以上、女性90cm以上)に加え、高脂血症、高血糖、高血圧といった動脈硬化の危険因子を合わせ持った状態をいいます。こうした危険因子が重なると一つ一つの程度は軽くても、動脈硬化が急速に進んでいきます。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの重大な病気を引き起こします。 2) 子どもにも現れる異常 子どもの肥満は、約8割が成人の肥満に移行するといわれており、メタボリックシンドロームの予備軍といえます。そればかりか、すでに小児期においても様々な問題を生じてきます。 私自身、本来なら成人期にみられる様々な異常や疾患が子どもにも増えていることを実感しています。90年代以降、小児の2型糖尿病(成人型の糖尿病)を見ることが珍しくなくなりました。その中で最近は、ペットボトル症候群と呼ばれる事例を経験しました。 ペットボトル症候群というのは、ジュースや炭酸飲料など糖分の多い飲み物を多量にとりつづけた結果、重症の糖尿病を発症してしまうというものです。それらの飲み物はたいていペットボトルで売られていますから、ペットボトル症候群と呼ばれるわけですが、医学的には糖尿病性ケトアシドーシスと呼ぶのが正しいです。中学生や高校生など若者に多く、不登校などの心理的な問題とも結びついている例が多いといわれています。 私たちは肥満している小中学生には検査を勧めていますが、しばしば脂肪肝や高脂血症、高尿酸血症などがみつかります。小児だから大丈夫ということは決してなく、成人病は既に子どもの時期から始まっているのです。 3) 肥満しやすい生活環境が なぜ子どもが肥満するのか。答えは明白です。大人と同様、運動不足とカロリーの過剰摂取です。 あなたのまわりの子どもたちは十分体を動かしているでしょうか。ゲームやテレビ、ビデオ視聴で時間をつぶしていないでしょうか。塾通いなどに忙しくしていないでしょうか。昔の子どもに比べ、今の子どもは確実に運動不足になっています。「子どもは自由に戸外で遊ばせましょう」と言いたいところですが、近年では子どもが犠牲になる事件が多く、子どもの遊ばせ方も難しくなりました。 子どもが学校から帰ったとき、大人のいない家庭が多くなっていますが、あなたのおうちでは、おやつは食べ放題になっていないでしょうか。 子どもの健康を守るためには、おやつの管理も含め、親が子供の生活をしっかり見守っていくことがとても大切です。さらに、子どもが安全に体を動かして遊べる場所や条件づくりをすることも地域社会の課題だと思います。 人間には太りやすい人と、太りにくい人があるのは事実です。太りやすい人はカロリーオーバーになりやすい現代では、その体質は不利に働きます。将来内臓脂肪がたまらないようにする安全な薬ができれば朗報ですが、その場合でも健康の基本は生活の中にあることは変わりありません。 4) 大切なのは生活習慣 子どもが肥満してから対策を立てるより、肥満させないような生活を心がけましょう。肥満してしまった場合にはできるだけ早く対処をしましょう。 第一は体を動かす工夫です。ちょっとした外出は車を使わないで、歩きましょう。できるだけテレビや電子ゲームを消しましょう。学校や町くるみでノーテレビデーを作るのも一つの方法です。 子どもがスポーツに親しむようにしましょう。体を動かすことが好きな子はたとえ肥満しても、改善しやすいです。肥満対策としてウォーキングは大変よい運動ですが、長続きさせるためには必ず大人がつきあってあげて励ましましょう。 第二は食生活の改善です。メディアではよく○○ダイエット法、○○健康法なるものが取り上げられます。しかし、ダイエットや健康は、何か一つの健康食品で完結できるものではありません。健康によいのはたくさんの種類の食べ物をバランスよく食べることです。 最近私たちがアンケート調査をしたところ、乳幼児に水分補給としてイオン飲料を与えている人がかなりいることがわかりました。イオン飲料は健康によいというイメージがコマーシャルで植え付けられているからでしょうか。イオン飲料は激しいスポーツをしたときに水分や電解質を補給するなど特別な用途で作られたものであり、普段の飲み物にすべきではありません。イオン飲料には糖分が含まれており、虫歯の原因にもなります。小さいうちに甘くて口当たりの良い飲み物を飲む習慣をつけてしまうのは危険なことです。糖分の過剰摂取にも繋がります。日本小児科学会、日本歯科医師会の関係委員会は「水分摂取はお茶か水で」と共同で呼びかけています。 まもなく楽しい夏休みがやってきますが、肥満児は夏休みに作られると言っても過言ではありません。肥満しやすい条件にある子どもは夏休みの間に大幅に太ります。「体をしっかり動かし、食べ過ぎないで」夏休みを送ることができるよう、家族で対策を立ててください。 私たちの肥満治療の経験では、肥満が解消できた人は、1)スポーツが好きになった人、2)家族がウォーキングにねばり強くつきあってあげた人でした。 では皆さん、楽しい夏休みを送ってください。 |