兄さんのワガママ
今日は日曜日。
真島さんは、ずっと行ってみたかった神室町ヒルズに連れて来てくれた。ここは真島組が建てたビルで、ショッピングモールも入っているのだ。
「おい、ちゃん、この店もええヤツあるんやないか?」
「あ、本当だ!」
振り返ると、トルソーが春らしい淡いイエローのワンピースを着ていて、棚の上にはパステル調のニットがずらりと並んでいる。
真島さんと手を繋いで、雑誌に出ているような洋服を揃えたその店に入ってみた。
あまりの可愛さに目を奪われて店内を歩いていた私は、ふと足を止めた。
(あ……この服、すごく可愛い!)
だけど、値札を見たら、普段買っている物よりゼロが一つ多い。
「ハァ……」
うな垂れてその場を去ろうとしたその時だった。
「おい姉ちゃん!この店の服、全部くれや!」
いきなり真島さんが声を張り上げのだ。
(えっ!?)
私は、その声にビクっとして、真島さんの顔を見上げた。
真島さんは、ニッと笑って得意そうに私を見つめている。
だけど、そんなに買ってもらっても着れる訳がない。
店員さんは、一瞬ぽかんとして固まっていたが、慌てて私にサイズを尋ねにきた。
私は、口ごもりながらサイズを答えたけど、本当にこんなことが起こってしまうのかと、頭がぐるぐるしてしまった。
店員さん総出で、隅から一斉に服をかごに入れ始めた。かごは、次から次へといっぱいになっていく。
レジでは、バーコードリーダーが、ピッ、ピッと絶え間なく鳴り響いている。
そんな慌しい光景を見ながら、私は真島さんに泣きつくようにすがりついた。
「真島さん、こんなの無茶だよぉ。私、こんなに要らないから!」
そんな私を包むように、真島さんは後ろから抱き寄せて、私の頭の上に顎をのせた。
「なあ、俺に可愛いちゃんの格好、ぎょうさん見せてくれや」
低く甘えるような声だった。
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