銀座のお寿司屋さん
私は、銀座のお寿司屋さんの前で絶句した。
ある金曜日の夜、真島さんは馴染みのお寿司屋に私を連れてきてくれた。普段、回転寿司に行く私にとって、こんな店は初めてだった。
真島さんに手を引かれて店内へ入った。大将を初め、何人もの寿司職人が笑顔で迎えてくれた。カウンター席に座ると、目の前にはズラリと豪勢なネタが並んでいる。
「ちゃん、何がええ?」
お品書きを開きながら、真島さんが訊きてきた。
「こういうトコって頼む順番があるんでしょ?私、無理、無理!」
私が声をひそめると、
「アホか!好きなモン食えばええんや」
と真島さんは言って、私の頭を軽く叩いた。
「じゃあ、トロがいい!」
「おい、大将。この娘にトロ握ってくれや。それと、俺はいつもの日本酒や」
真島さんは、大将と親しそうに話している。通という感じがしてカッコいい。
しばらくすると、目の前に美しく艶やかに輝くトロが置かれた。
「わ〜、美味しそう〜!」
「食うてみ?」
真島さんはニヤリと笑い、私の顔を覗き込む。
パクッと頬張ると、大将が握った寿司は、回転寿司より何倍も美味しく感じられた。
「すごく美味しい!私、こんなの食べたことない!」
「せやろ?ここの寿司は何でも旨いねん。なんぼでも食えるで。早う次のも頼み?」
真島さんは得意そうに笑う。
だけど、そんな真島さんの前には、まだ寿司が注文されていない。首を傾けた私は不思議に思った。
「真島さん、まだ食べないの?」
真島さんは、銚子を傾けて、杯をグイッと飲み干した。
「俺なぁ、もう少しちゃんが食うとる顔見ときたいんや。ホンマ可愛いでぇ」
そう言った真島さんは手をすーっと伸ばして、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
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