Money(That's What I Want)


【レコーディング・セッション履歴】 【収録レコードリスト】
【レコーディング・セッション分析】
【リマスター・モノ】 【リマスター・ステレオ】
【Undocumented Recording Session(1999年原稿)】

【レコーディング・セッション履歴】
63/07/18ジョージ・マーティンノーマン・スミス
リチャード・ランガム
Recording 第1〜7テイク(含ピアノの編集用パート)
63/07/30ジョージ・マーティンノーマン・スミス
リチャード・ランガム
Recording ピアノテスト及び第8〜14テイク、全てジョージ・マーティンのピアノの編集用オーバーダブパート
63/08/21ジョージ・マーティンノーマン・スミス
ジェフ・エメリック
編集 第6および7テイクより
63/08/21ジョージ・マーティンノーマン・スミス
ジェフ・エメリック
Mono Mixing 第6・7テイクの編集バージョンより
63/09/30ジョージ・マーティンノーマン・スミス
ジェフ・エメリック
Recording 番号なしの3テイク(ジョージ・マーティンのピアノが2バージョン)を第7テイクにSI
63/10/29ジョージ・マーティンノーマン・スミス
ジェフ・エメリック
Stereo Mixing 第6・7テイクの編集バージョンより
63/10/30ジョージ・マーティンノーマン・スミス
A.B.リンカーン
Stereo Mixing 第7テイクより(ステレオ・アルバム用のもう一種類のミックス、ステレオ・アルバムは2種類のミックスを左右のチャンネルに別々に使用)
69/01/06リハーサル 【37A-6.17】
Except for an errant wah-wah pedal. this is a fairly Straightforward cover version of Barrett Strong's recording.
原曲は BARRETT STRONG

【収録レコードリスト】
1969 “GET BACK JOURNALS” J09 (11LP:2R-7?-?) 2R-77-B
“THE SILVER BEATLES” A11 (CD:30CP-55)
原曲(BARRETT STRONG) “The Beatles Classics(Original Songs)” A28 (CD:PCD-2009)
1963 “THE ULTIMATE COLLECTION VOL.3 Disc1” A08 (CD:YDB-301) Pop Goes The Beatles
“FROM US TO YOU” B14 (CD:TSP-CD-015-2) POP GO THE BEATLES 63/06/18
MONO “PAST MASTERS VOL.5” A05 (CDR:EMRCD-003) 2ND ALBUM(US)
62/01/01 “THE BEATLES (1960〜1962)” A10 (CD:38CP-134) デッカ オーディション
1962 “THE ULTIMATE COLLECTION VOL.1 Disc1” A02 (CD:YDB-101) Decca Audition
63/8/21版モノ・ミックス “WITH THE BEATLES” B07 (モノLP:PMC 1206 / C1-0777-7-46436-1-0)
63/8/21版モノ・ミックス “WITH THE BEATLES” A14 (CD:CP32-5322) CD用編集
63/8/21版モノ・ミックス “ALL MY LOVING” A03 (CD EP:TOCP-7104)
63/8/21版モノ・ミックス “WITH THE BEATLES” A14 (CD(リマスター・モノ):5099969945328)
63/10/24 “STARS OF '63” A04 (CD:TSP-CD-005) Radio "POP '63" @ Stockholm
63/10/24 “THE ULTIMATE COLLECTION VOL.2 Disc1” A04 (CD:YDB-201) ストックホルム
63/10/24 “ANTHOLOGY 1” A32 (2CD:TOCP-8701,02) ストックホルム
63/10/29-30版ステレオ・ミックス “ステレオ!これがビートルズ Vol.2” B02 (ステレオLP:AP-8678)
63/10/29-30版ステレオ・ミックス “THE BEATLES' SECOND ALBUM” A5 (ステレオLP:ST-2080 / EAS-80563)
63/10/29-30版ステレオ・ミックス “The Capitol Albums, Vol. 1 Disc2” A05 (CD:CDP 7243 8 66877 2 2)
63/10/29-30版ステレオ・ミックス “The Capitol Albums, Vol. 1 Disc2” A16 (CD:CDP 7243 8 66877 2 2) モノ落とし
63/10/29-30版ステレオ・ミックス “WITH THE BEATLES” A14 (CD(リマスター・ステレオ):0946 3 82420 2 4)
63/12/07 “MYTHOLOGY, VOL 1” B10 (3CD:STR-008〜010) Empire Theatre
64/01/12 “MYTHOLOGY, VOL 1” B22 (3CD:STR-008〜010) London Palladium
69/01/06 “THIRTY DAYS” B05 (17CD:VT218-234) Roll 37A? 6.17

【レコーディング・セッション分析】
 ステレオ・バージョン図 MONEY-1の状態であることから、"2つのリミックス・モノを使用"とは言え、特殊なミックスであることが判る。 特に左チャンネル用はピアノが入ってなく、第5テイクを使用しているはずである 63/09/30の番号なしテイクの内、ピアノが入らないテイクとはこれを指しているのではないだろうか。 この構成にするだけが目的であれば、ピアノを追加しながら第5テイクをミキシングすれば良いだけなので、 合理的な推測をするなら以下のようになる。
① 63/07/18と63/07/30のピアノの録音はトラック1側に行われた
② ステレオ・バージョン作成には都合が悪いため間奏が左チャンネルのみになる図 MONEY-1のアイデアを思い付き、63/09/30のピアノの録音はトラック2側に行われた2テイク
③ 63/10/29にはいつも通りのステレオ・ミキシングを行ってしまった
④ 63/09/30のリミックス・モノを使って、リミックス・ステレオを作り直した


 このリミックス・ステレオは本書の調査方法と全く同じ理論である。 即ち、2つのテイクを同期させると、共通する音は中央から聴こえ、 異なる音が左右に残るので、容易に相違点を聞き分けられるのである。 基本的なステレオの原理ではあるが、 音楽家出身のマーティンが理解し、実践していたのは驚愕に値する。

【リマスター・モノ】
相違箇所内容
0'14"1拍目に編集跡(旧CD側の可能性もあり)。
0'34"「wh(at)」のボーカル修正。
1'18"「wh(at)」のボーカル修正。

【リマスター・ステレオ】
特に相違なし。

【Undocumented Recording Session(1999年原稿)】
特徴(比較でわかること)
  • ピアノが別テイクなのは既知だが、Aメロ前の8分音符連打の個所には共通のピアノオーバーダブがある(?)
  • ステレオバージョンでエコーが徐々に強くなるように感じられるのは、左右のズレに因るエコー効果

リリース・バージョン

モノ・ミックス第6テイクおよび第7テイクの編集バージョン
1’34”(1拍目裏のギターが連打になる直前)でテープ編集
ステレオ・ミックス第7テイク

マスターテープ構成

ステレオ・バージョンの
左チャンネル
(基本テイク)
第5テイク(仮) AP-8678

↓こう聴こえる



USステレオ
Track 1 ベース、ドラムス、Eギター
Track 2 ジョンのボーカル、ポールとジョージのコーラス、Aギター
ステレオ・バージョンの
右チャンネル
63/09/30版 第7テイク
Track 1 第5テイクのTrack1
Track 2 第5テイク:Track2
第7テイク:ピアノ

比較結果

USモノはステレオのモノ落とし。そのため、UKモノとはピアノが別テイク。
 記録ではマスター・テープの制作過程がはっきりしていない。第6テイクにピアノをオーバーダブしたものが 第7テイクかと思いきや、ピアノの編集用パートは第8〜14テイクとなっている。しかもこれらが使われた形 跡が無い。従って実際のリリース・バージョンを頼りに調べてみると、モノ・バージョンとステレオ・バージョ ンの違いはピアノが別テイク(わかりやすいのは間奏の直前で、ステレオ・バージョンのみグリッサンドしてい る)という点だけで、イントロの違いはミキシングによって意図的に作成されたと考えられる。ポイントは、 モノ・バージョンではTrack2に入っているボーカル類とAギターは0’15”(Aメロ1の直前)までOFFにしておき、 ステレオ・バージョンでは、ベースが登場するまでTrack1をOFFにしておくことである

ステレオ・バージョンは以下のように聴こえる。
左:ベース、ドラムス、Eギター
中:ジョンのボーカル、ポールとジョージのコーラス、Aギター
右:ピアノ

従って、「ステレオ・アルバムは2種類のミックスを左右のチャンネルに別々に使用」の記述が正しいことを前提に推測すると、
左のモノミックス:ベース、ドラムス、Eギター、ジョンのボーカル、ポールとジョージのコーラス、Aギター
右のモノミックス:ジョンのボーカル、ポールとジョージのコーラス、Aギター、ピアノ

となる。つまり、いずれも「ピアノ入りの通常のモノ・ミックス」ではない。 「左のモノミックス」はピアノが入る前のテイク(仮に第5テイクとしておく)をミックスしたものであり、 「右のモノミックス」はピアノを追加したテイクの片方のチャンネルを抜き出したもの、である。 こうすれば、2トラック録音でもボーカルを中央に置くことができるが、それこそがSIR MARTINが手の込んだ作業を行った目的と思われる。
From Me To You では2トラックテープの両方(つまり中央)に録音する方法を試みているが、この方法ではミキシング時に音の調整ができない。 ステレオ盤用のミキシングを試行錯誤していた様子が伺える。残念ながら、直後に4トラックレコーディングが可能になったため、 以降はこのような実験は行われていない。

以下私の推測である。

63/07/18のピアノ録音はTrack1側に行われているのではないだろうか? モノ・バージョンでは問題なかったが、ステレオだと間奏の際にボーカル側に空白ができてしまうため、 63/09/30に上記実験を考慮して、改めてTrack2にピアノを録音したと推測する。(3テイクの内のひとつは、第5テイクのモノ・ミキシング)
ところが、63/09/30の録音も「第7テイク」としていたために、 63/10/29のステレオ・ミキシング・セッションでは、他の曲の作業の流れもあって、間違って「第6テイクおよび第7テイクの編集バージョン」を使ってしまう。
間違いに気付いて、翌日に正式なステレオ・ミキシングを作った。

結構、説得力がありそうな気がするけど、如何?
MONO(CP32-5322)* STEREO(AP-8678)
0'00"〜0'04":ドラムスがON 0'00":イントロ

0'15":Aメロ1
0'37":Aメロ2
0'59":Aメロ3
1'21":間奏

1'36":Aメロ3
1'59":Bメロ
2'21":Bメロ
2'43":エンディング
0'00"〜:ピアノが別テイク
0'03"〜0'15":AギターがON



1'21":ピアノがグリッサンド
1'34":テープ編集

Wave Synchronizer設定

モノ VS ステレオ 収録盤 無効データ数(相違点:多) 無効データ数(相違点:多)
基準にする曲 WITH THE BEATLES Track 14 154 950
同期させる曲 The Capitol Albums, Vol. 1 Disc 2 Track 5 152 955