Taxman


【レコーディング・セッション履歴】 【収録レコードリスト】
【レコーディング・セッション分析】
【リマスター・モノ】 【リマスター・ステレオ】
【Undocumented Recording Session(1999年原稿)】

【レコーディング・セッション履歴】
66/04/20ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
Recording 第1〜4テイク、内2テイクが完全バージョン
全てボツで翌日の再レコーディングでは第1テイクから録音を始める
66/04/21ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
Recording 第1〜11テイク、第1〜10テイクはリズムトラック
第11テイクがボーカル入りベストテイク、ただし冒頭のカウントやジョンとポールの"Mr. Wilson, Mr. Heath"というコーラスはない
ジョンとポールは"Anybody gotta bit of money"という歌詞でコーラスを入れている
エンディングのギターもない(この時点では間奏のコピーをしていない)
Geoff:間奏は最初、ジョージが挑戦していたがうまく弾けず、ポールと交代し1・2テイクで決めた
66/04/22ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
Recording 第11テイクをテープリダクションして第12テイクを作成
第12テイクへのSI、カウベルと"Mr. Wilson, Mr. Heath"のコーラス追加
66/04/27ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
Mono Mixing 第12テイクよりリミックス1
66/05/16ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
Recording 第12テイクへのSI、イントロのカウント"One Two Three Four"を追加
66/05/16ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
Mono Mixing 第12テイクよりリミックス2〜5、全て未使用
66/05/16ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
編集 リミックス・モノ4のテープコピー
66/06/21ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
Mono Mixing 第12テイクよりリミックス5〜6
66/06/21ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
編集 モノリミックス5と6
66/06/21ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
フィル・マクドナルド
Stereo Mixing 第12テイクよりリミックス1〜2、記述が無いがこの日編集をしているはず
レノン('80 PBインタビュー):ジョージの歌のうちじゃ傑作に入る『タックス・マン』を作ってた時に、ジョージはぼくに、電話で、助けてくれって頼んできた。いくつかパンチの効いたことを考えてやった。助けてくれ、というのはそのことだったからね。ぼくのところにきたのは、ポールのところへは行けなかったからなんだ。そのころなら、頼みに行っても、ポールはジョージを助けなかったからさ。ぼくだって助けたくはなかったさ。ジョージの歌に手を貸してやるなんて、まっぴらだ−−−と思ったよ。自分自身のとポールのとで手一杯だったからね。でも、ジョージが好きだったし、あの日の午後電話をかけてきて「この歌で手助けしてくれないかな」って言ったとき、ジョージを傷つけたくなかったんだ。ぼくは自分の気持を押えて、オーケーしたんだ。ジョンとポールの時代が長く続いていて、ジョージはとり残されていたんだ。このときまで、ジョージはソング・ライターじゃなかったからね。

レノン('80 PBインタビュー):出版されたものの割り前がジョージとリンゴに行かないのはわるいな、とぼくは思ってたんだ。マックレンで出したものの5パーセントをふたりがもらえるようになったのも、ぼくのおかげなんだぜ。クラインのおかげでもなく、ポールのおかげでもなく、ぼくのおかげなんだ。ぼくがふたりにも印税を出すべきだって言ったとき、ポールはノーって言えなかったんだ。ぼくはジョージの曲からも、リンゴの曲からも印税はもらってないよ。例えば『タックス・マン』の時みたいに、ジョージの曲を手伝った時にも、割り前をくれなんて言ってないんだ。あのふたりの曲を手伝ったことを公に認めろってすら言ってないんだ。ぼくがジョージやリンゴに反感を持ってるように聞こえたかもしれないけど、その原因はこういうことなんだよ。こういうことがあった後で、「ジョンはおれたちを見捨てた」とか「ジョンはおれたちを騙してるんだ」という態度をしたからなんだよ。でも、そんなことウソなんだ。

レノン('80 PBインタビュー):ジョージがはじめて書いた曲。この曲について彼にしてやれた事は、実のところ、♪PENNIES ON YOUR EYES♪という言葉と、他のちょっとした詞の部分だけさ。

【Tips】
リードギターはポール。人さし指を中心に2弦を下降するフレーズは、シタールの奏法に影響を受けて練習していたものだろう。急遽、ジョージと交代したとされているが、その場のアドリブフレーズではないはず。その後のポールの演奏でもしばしば使われている。
出だしの3弦7フレットは中指ではなく、人さし指で押さえるポジションだと思う。

【収録レコードリスト】
第11テイク “ANTHOLOGY 2” A20 (2CD:TOCP-8703,04)
take 11 “THE ALTERNATE REVOLVER” A01 (CD:WALRUS 021)
take 12(mono) “THE ALTERNATE REVOLVER” A21 (CD:WALRUS 021) with a loud lead guitar
66/06/21版リミックス・モノ5&6を編集 “REVOLVER” A01 (モノLP:PMC 7009 / EAS-70136)
66/06/21版リミックス・ステレオ1&2を編集 “REVOLVER” A01 (CD:CP32-5327)
66/06/21版リミックス・ステレオ1&2を編集 “REVOLVER” A01 (ステレオLP:MFSL 1-107)
66/06/21版リミックス・モノ5&6を編集 “REVOLVER” A01 (CD(リマスター・モノ):5099969945823)
66/06/21版リミックス・ステレオ1&2を編集 “REVOLVER” A01 (CD(リマスター・ステレオ):0946 3 82417 2 0)

【レコーディング・セッション分析】
 モノラル・バージョンリミックス・モノ5リミックス・モノ6を編集して作成されている。 該当する編集位置は、1'10"の“taxman〜”がある小節の先頭と、1'25"の“taxman”がある小節 の先頭であることから、リミックス・モノ5リミックス・モノ6の編集作業が間奏の入れ替えだったことは確かなようだ。 間奏はステレオ・バージョンとの比較で、カウベルの有無が相違点であることから、彼らはカウベルを入れ るかどうかで悩んでいたのだろう。最初にカウベルの無いリミックス・モノ5が作成され、その後カウベルを追加したリミックス・モノ6 を作成して間奏だけ入れ替えたのではないだろうか。


【リマスター・モノ】
相違箇所内容
0'53"4拍目にスネア追加。
1'33"4拍目にスネア追加。
2'26"4拍目にスネア追加。

【リマスター・ステレオ】
相違箇所内容
0'53"4拍目でスネア追加。
1'12"4拍目でスネア追加、他多数。
1'38"4拍目のノイズ削除、他多数。

【分析】
 リマスター・モノ・バージョンおよびリマスター版ステレオ・バージョンのスネア追加は極端に大きな音ではなく補強用の音である。
イコライザーによる強調ではなくアタックの効いた音が足されているようだ。
確実な箇所を挙げているが、他にも怪しい箇所が多数ある。

【Undocumented Recording Session(1999年原稿)】

マスターテープ構成

第12テイク
Track1 第11テイク:ドラムス、ベース、リズムEギター
Track2 カウントをとる声 第11テイク:ジョージのボーカル
第11テイク:ジョージの2ndボーカル、ジョンとポールのコーラス
Track3 第11テイク:リードギター、タンバリン
Track4 第12テイク:“Mr.Wilson”等のコーラス
第12テイク:カウベル

比較結果

 ステレオ・バージョンでは、Aメロ2の“taxman”(0'46”)の箇所からカウベルが入っているが、モノLPで は6小節前(コードD7#9の小節)からカウベルが入る。またステレオ・バージョンでは間奏でTrack4がOFFに なっているが、モノ・バージョンではカウベルが鳴っている。続く“Cos I'm 〜”のコーラス部分でもモノ・バージョンの方が大きめにミックスしてある。更にモノ・バージョンでは、Aメロ3のコーラス(“ah ah Mr. Wilson”、“ah ah Mr. Heath”)にADTをかけている。1'32”(Aメロ3の1小節前)のリードギターがリフ を弾き始める箇所からAメロ4が終わるまでTrack4にADTがかかっているので、どちらかと言えば、コーラ スにADTをかけるというよりもカウベルにADTをかけるのが目的だったようである。

 モノ・バージョンはモノ5とモノ6を編集して作成されている。ステレオ・バージョンや第11テイクと比較 すると、該当する編集位置は、1'10”の“taxman〜”がある小節の先頭と、1'25”の“taxman”がある小節 の先頭であることがわかる。このことからモノ5とモノ6の編集作業が間奏の入れ替えだったことは確かなよう だ。間奏はステレオ・バージョンとの比較で、カウベルの有無が相違点であることから、彼らはカウベルを入れ るかどうかで悩んでいたのだろう。最初にカウベルの無いモノ5が作成され、その後カウベルを追加したモノ6 を作成して間奏だけ入れ替えたのではないだろうか(もっとも、これではその後作成されたステレオ・バージョ ンにカウベルが入っていない説明にはならないが)。

 もうひとつ既知の情報として「エンディングのリードギターは間奏をコピーしたもの」というのがあるが、そ の作成過程はどうなっていたのであろうか?第11テイクと比較すると、0'36”と0'43”のコードD7#9の小 節でリードギターとタンバリンが削除されているのがわかる。つまり第11テイクでは、この2つは同じトラッ クに入っているということになる。また、第11テイクとの比較でエンディングの修正箇所が明らかになる。2' 23”の“me”の小節の先頭に編集跡があるが、モノLPとステレオLPではこの箇所に違いがない。更にエンディ ングにカウベルが入っているモノLPで、間奏とエンディングを比較すると、カウベルが同じ演奏であることがわ かる。従って第12テイクへのSI(カウベル等)を完了してから編集したものである。ただし、“me”というボー カル部分だけはエンディングからコピーする必要がある。第12テイクの間奏を抜き出したテープにコピーする のであるが、第12テイクの段階ではボーカルとコーラスがTrack2にまとめられていて“me”と“taxman”が 重なっている。従って、第11テイクのジョージのソロパートから抜き出したものを第12テイクの間奏のコピー のTrack2に重ねている。
MONO(EAS-70136) STEREO(CP32-5327)*


0'08”〜:ボーカルにエコー

0'35”〜0'46”:カウベル

1'10”:テープ編集
1'10”〜1'33”:カウベル
1'25”:テープ編集
1'32”〜:リードギターが大きめ

1'38”〜1'47”:コーラスにADT


2'23”〜:カウベル
0'00":カウント
0'05”:イントロ
0'08”:Aメロ1
0'31”:Aメロ2

0'54”:サビ
1'11”:間奏



1'34”:Aメロ3

1'58”:Aメロ4
2'19”:Bメロ
2'23”:エンディング