Lucy In The Sky With Diamonds


【レコーディング・セッション履歴】 【収録レコードリスト】
【レコーディング・セッション分析】
【リマスター・モノ】 【リマスター・ステレオ】
【Undocumented Recording Session(1999年原稿)】

【レコーディング・セッション履歴】
67/02/28ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
リチャード・ラッシュ
リハーサル 詳細は不明
67/03/01ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
リチャード・ラッシュ
Recording 第1〜7テイク
リズムトラック(ピアノ、アコースティックギター、ポールのハモンドオルガン、ドラムス、マラカス)とジョンのマイク無しガイドボーカル
Martin:第1テイク〜第7テイク
1 ピアノ(マーティン)、ワウを掛けたAギター(ジョージ)
2 ロウリーオルガン(Lowry organ)(ポール)
3 ドラム(リンゴ)
4 テープエコーを掛けたガイドボーカル(ジョン)
67/03/01ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
リチャード・ラッシュ
Recording 第7テイクにタンブーラをSI
Martin:第7テイク
1 ピアノ(マーティン)、ワウを掛けたAギター(ジョージ)
2 ロウリーオルガン(ポール)
3 ドラム(リンゴ)
4 テープエコーを掛けたガイドボーカル(ジョン)⇒タンブーラ(ジョージ)
67/03/01ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
リチャード・ラッシュ
編集 第7テイクを1トラックにテープリダクションして第8テイクを作成
テープスピードは49Hz
Martin:第8テイク
1 ワウを掛けたAギター(ジョージ)、ロウリーオルガン(ポール)、ドラム(リンゴ)、タンブーラ(ジョージ)
2 (空き)
3 (空き)
4 (空き)
67/03/02ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
リチャード・ラッシュ
Recording 第8テイクへのSI
トラック2:ジョンのリードボーカルとテープエコー付きのポールのバックボーカルを45Hzで録音
トラック3:トラック2と同じものを48.5Hzで録音
トラック4:ポールのベースとファズをかけたジョージのギターを50Hzで録音
Martin:第8テイク
1 ワウを掛けたAギター(ジョージ)、ロウリーオルガン(ポール)、ドラム(リンゴ)、タンブーラ(ジョージ)
2 ベース(ポール)、レスリーを通したギター(ジョージ)
3 ジョンとポールのボーカルを45Hzで録音
4 ジョンとポールのボーカルを48.5Hzで録音
67/03/02ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
リチャード・ラッシュ
Mono Mixing 第8テイクより、リミックス1〜11、ボツのためすべて消去
67/03/03ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
リチャード・ラッシュ
Mono Mixing 第8テイクより、リミックス1〜4
ADTを全面的に使用、ベストはリミックス4
67/04/07ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
リチャード・ラッシュ
Stereo Mixing 第8テイクより、リミックス1〜5
67/11/01ジョージ・マーティンジェフ・エメリック
リチャード・ラッシュ
Mono Mixing 第8テイクよりリミックス20、“YELLOW SUBMARINE”サントラ用
PB('80 PBインタビュー):わかりました。では音楽自体の話をしましょう。世に出た最高のロックをビートルズが作りだした、とは思わないんですか?
レノン:思わないね。ビートルズは・・・いいかい、ぼくは、音楽的に、ビートルズとあまりにも関わりすぎてしまったから、ビートルズを客観的に見られないんだ。ビートルズを客観的に聴けないんだよ。ぼくは、ビートルズの作ったあらゆるレコードに不満なんだ。ビートルズのもの全部とぼく自身が個人で出したもの全部を含めて、つくり直さなくてもいいとぼくが思うものは、ひとつとしてない。だから、ビートルズという存在を評価するなんてことは、ぼくにはとうてい不可能だよ。ぼくがビートルズの一員だった時、ぼくらは世界最高のバンドだと思ってた。そして、そう信じたことが、ぼくらをあれだけのものにしたんだ−最高のロック・グループと呼ぼうが、最高のポップ・グループと呼ぼうがだ。でも、今レコードを聞いてみると、ひとつ残らず作り直したくなるんだ・・・ゆうベラジオで『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイヤモンズ』を聴いたんだけれども、最低だったね。あのレコードはひどいもんだ。曲は素晴らしいんだ、でも、作りかたがちゃんとしてないんだ。ぼくの言いたいことがわかるだろう?でも、芸術っていうのはそういう道をたどるものなんだよ。だからこそ、道をきわめつづけるのさ。で、
君の最初の質問に戻ると、こういう答えになるね−ぼくたちはいい音楽も作ったし、悪い音楽も作った。

PB('80 PBインタビュー):あなたの曲についての解釈が悲惨な事件を招いた場合、そのことで苦しまれましたか?例えは、チャールズ・マンソン(1969年に女優のシャロン・テートら7人を殺した狂信者グループのリーダー)がレノンの歌詞は自分へのメッセージだったと言い立てたときなんかですが。
レノン:いや、そんなことはなかった。ぼくに関係ないもの。犬を相手にしゃべってた、あの″サムの息子″(1977年全米をさわがせたニューヨークの連続殺人事件の犯人)っていう男みたいなものさ。マンソンは、「ポールは死んだ」で騒ぎ立てた連中や、『ルーシー・イン・ザ・スカイ』の頭文字はL・S・Dだから、ぼくはLSDの歌を書いたんだなんて言い出した連中の極端なタイプにすぎなかったのさ。
PB:じゃ、『ルーシー・イン・ザ・スカイ』の題はどこからとったんですか。
レノン:息子のジュリアンが、ある日、学校友だちのルーシーを描いた絵を持って帰って来たんだ。空にいくつか星を描き込んであって、あの題がついてたんだ。ただそれだけのことさ。
PB:あの歌の中のほかのイメージは麻薬の幻覚からじゃないんですか?
レノン『不思議の国のアリス』からさ。ボートに乗ってるアリスだったんだ。アリスは卵を買っていて、それがハンプティ・ダンプティに変わっちゃうんだ。お店の女の人は羊になっちゃって次の瞬間には、アリスとお店の人はどこかでボートを漕いでるのさ。ぼくはそいつを視覚化したんだ。いつかぼくを救いに来てくれる女性−−−空からやってくる″万華鏡の目を持った″女性のイメージもあったよ。その女性が結果的にはヨーコだったんだ。まだヨーコとは出会っていなかったけれどもね。だから、あの歌は『ヨーコ・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイヤモンズ』とすべきだったかもしれないね。

【収録レコードリスト】
MONO “PAST MASTERS VOL.6” A14 (CDR:EMRCD-004)
medley “PAST MASTERS VOL.7” A25b (CDR:EMRCD-005) MOVIE "IMAGINE"
複数テイクのリミックス “ANTHOLOGY 2” B10 (2CD:TOCP-8703,04)
1999? “YELLOW SUBMARINE SONGTRACK” A06 (CD:TOCP-65300) YS用ステレオ・リミックス
リミックス・モノ4 “SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND” A03 (モノLP:PMC 7027)
リミックス・モノ4 “SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND” A03 (CD(リマスター・モノ):5099969945922)
リミックス・ステレオ “SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND” A03 (CD:CP32-5328)
リミックス・ステレオ “The Beatles/1967-1970” A05 (2CD:TOCP-8012,13)
リミックス・ステレオ “SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND” A03 (CD(リマスター・ステレオ):0946 3 82419 2 8)

【レコーディング・セッション分析】
第7テイクから第8テイクへのリダクションで、ピアノ、Aギター、マラカス、ジョンのボーカルはかなり小さく扱われている。
 まずトラック1に的を絞った調査では第7テイクから第8テイクへのリダクション状況がわかる。1'08"と2' 09"はいずれもサビからAメロに戻る個所であるが、1拍目のドラムスはオリジナルではF.O.してほとんど聞こ えない。続いてタンブーラが先にF.I.してくるが、CD『イエロー・サブマリン・ソングトラック』ではドラム音が残ったまま ハモンドオルガンF.I.してくる。また、オリジナルはサビの前のバスドラ3回ともに深めのエコーをかけている。 CD『イエロー・サブマリン・ソングトラック』はリダクションをしていない分だけバスドラが明瞭になっているが、0'57"3拍目〜 1拍目表、1'18"〜1'20"、1'28"〜1'30"2小節、1'31"〜1'48"は特に大きめになっている。

 トラック2トラック4に的を絞ってみると、オリジナルでは1'25"〜1'32"と2'27"〜2'31"で ジョンセカンドボーカルトラック3と思われるが大きめになっており、最後には息切れをしたような声になるのが印象的だ が、CD『イエロー・サブマリン・ソングトラック』では音量自体が小さめな上に、バスドラムとピアノ深いエコーがかかった音のことであるが、他に該当する楽器が無いで消されている。

 本題ではないが、ローリーオルガンの設定は誰しも知りたい処だと思うのでイントロ部分の周波数解析結果を 報告しておく私自身は所有していないので結果は未確認である。最初の音E3の基音を100とした場合、 発生している倍音は、E4が28、B4が82、E5が222、G#5が80、B5が72である。 スピーカーやマイクの音響特性等も影響するので“ローリーオルガンの設定”とまでは言えないが、目安にはなると思う。

【リマスター・モノ】
相違箇所内容
1'02"「(Lu)c(y)」のボーカル修正。
エンディングF.O.が少し長い。

【リマスター・ステレオ】
相違箇所内容
エンディングF.O.が少し長い。

【Undocumented Recording Session(1999年原稿)】

リリース・バージョン(第8テイクより)

複数テイクの編集バージョン“ANTHOLOGY 2”(CD:TOCP-8703,04)
67/3/3版リミックス・モノ4“SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND”(モノLP:EAS-70137)
67/4/7版リミックス・ステレオ5“SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND”(ステレオLP:MFSL 1-100)
“1967-1970”(ステレオLP:EAP-9034B)
“SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND”(CD:CP32-5328)
“1967-1970”(CD:TOCP-8012〜13)

マスターテープ構成

Track1 ピアノ、Aギター;ポールのハモンドオルガン、ドラムス、マラカス、ジョンのガイドボーカル、タンブーラ
Track2 ジョンとポールのボーカル
Track3 ジョンとポールのボーカル
Track4 ベース、ジョージのギター

比較結果

 “ANTHOLOGY 2”バージョンを聴くと、ピアノとAギター、ハモンドオルガンとドラムス、マラカスとボーカル が各々1トラックに入れられていることがわかる。続く第7テイクも同じ状態だったと思われる。マラカスのト ラックにはドラムスの音が入っているので全てを同時に録音したと考えられ、そうであれば、ピアノはマーティ ンである可能性が高い。もっとも、第7テイクから第8テイクへのリダクションで、ピアノ、Aギター、マラカ ス、ジョンのボーカルはかなり小さく扱われている。

 モノ・バージョンはステレオ・バージョンよりもテープスピードが2%遅くなっており、Track1を基準とした テープスピードにしていると考えられる(ステレオ・バージョンはTrack4が基準)。

 その他で最も顕著な違いはTrack3にかけられたADTである。ステレオ・バージョンのボーカルはほとんど エフェクトが使われてないのに対し、モノ・バージョンではADTでわずかにズラした音を加えてフェイザー効 果を出している。このエフェクトは最初から最後までかけっぱなしであるため、両バージョンは全く異なる印象 を与えている。ただし、Bメロ1だけは、ジョンの声が突然細くなることからもわかるようにTrack2のみが使 用されており、モノ・バージョンに於いて唯一ADTのかからない箇所になっている。更にモノ・バージョンで は、1回目のサビの1'00”〜1'04”でエコーも加わり、厚みのある音になっている。
MONO(EAS-70137) STEREO(CP32-5328)*

0'06”〜0'31”:ボーカルにADT


0'50”〜:ボーカルにADT
1'05”〜1'10”:“Ah〜”にエコー








3'23”:F.O.
0'00”:イントロ
0'06”:Aメロ1
0'32”:Bメロ1

0'50”:サビ

1'08”:Aメロ2

1'33”:Bメロ2
1'50”:サビ
2'08”:Aメロ3
2'33”:サビ
2'53”:サビ
3'13”:サビ(F.O.)



0'33”〜0'48”:ギターが大きめ



1'32”:“high”の後の“ah”







3'25”:F.O.(1小節ほど長い)

99年版ステレオ・リミックス“YELLOW SUBMARINE SONGTRACK”(CD:TOCP-65300)

マスターテープ構成

Track1 1:ピアノ、Aギター
2:ポールのハモンドオルガン
3:ドラムス、マラカス
4:タンブーラ
Track2 ジョンとポールのボーカル
Track3 ジョンとポールのボーカル、タンバリン
Track4 ベース、ジョージのギター

比較結果

 本題ではないが、ハモンドオルガンの設定は誰しも知りたい処だと思うのでイントロ部分の周波数解析結果を 報告しておく(私自身は所有していないので結果は未確認である)。最初の音(E3)の基音を100とした場合、発 生している倍音は、E4が28、B4が82、E5が222、G#5が80、B5が72である(裏表紙参照)。スピーカー やマイクの音響特性等も影響するので“ハモンドオルガンの設定”とまでは言えないが、目安にはなると思う。

 1トラックにまとめられていた第7テイクが分離されて計7トラックになっている。残念ながら他の曲同様、こ の分離されたTrack1もズレがあり、Track2〜4は平均して300/44100秒の遅れがある。と文句ばかり言って いても仕方がないので、今回はTrack1とTrack2〜4を別々に比較してみる(当然、厳密な調査にはならない 点はご了承頂きたい)。

 まずTrack1に的を絞った調査では第7テイクから第8テイクへのリダクション状況がわかる。1'08”と2' 09”はいずれもサビからAメロに戻る個所であるが、1拍目のドラムスはオリジナルではF.O.してほとんど聞こ えない。続いてタンブーラが先にF.I.してくるが、YS SONGTRACKバージョンではドラム音が残ったままハモンドオルガンがF.I.してくる。また、オリジナルはサビの前のバスドラ(3回とも)に深めのエコーをかけている。 YS SONGTRACKバージョンはリダクションをしていない分だけバスドラが明瞭になっているが、0'57”(3拍目〜 1拍目表)、1'18”〜1'20”、1'28”〜1'30”(2小節)、1'31”〜1'48”は特に大きめになっている。

 Track2〜4に的を絞ってみると、オリジナルでは1'25”〜1'32”と2'27”〜2'31”でジョンのセカン ド・ボーカル(Track3と思われる)が大きめになっており、最後には息切れをしたような声になるのが印象的だ が、YS SONGTRACKバージョンでは音量自体が小さめな上に、バスドラとピアノ(深いエコーがかかった音のこ とであるが、他に該当する楽器が無い)で消されている。

 驚くべきことに2'16”では左チャンネルの音が途切れているが、オリジナルにはこのような現象は無い。私の CDだけが不良品というのでなければ、残念ながらこの曲も失敗作リストの仲間入りである。
SONGTRACK(TOCP-65300)* STEREO(CP32-5328)


0'29”:ピアノ(?)が大きめ



0'57”:バスドラが大きめ

1'10”:“Ah”の余韻が長い
1'11”:ハモンドのF.I.が早め
1'18”〜1'20”:ドラムスが大きめ

1'28”〜1'30”:ドラムスが大きめ
1'31”〜1'48”:バスドラが大きめ





2'10”:“Ah”の余韻が長い
2'12”:ハモンドのF.I.が早め
2'16”:音が途切れる







3'20”:F.O.開始
0'00”:イントロ
0'06”:Aメロ1

0'32”:Bメロ1

0'50”:サビ

1'08”:Aメロ2






1'33”:Bメロ2

1'50”:サビ
2'08”:Aメロ3






2'33”:サビ

2'53”:サビ
3'13”:サビ




0'48”:バスドラのエコーが深め


1'08”:ドラムスがF.O.

1'11”:タンブーラのF.I.が早め

1'25”〜1'32”:Track3が大きめ



1'49”:バスドラのエコーが深め


2'09”:ドラムスがF.O.

2'12”:タンブーラのF.I.が早め
2'16”:タンブーラ
2'27”〜2'31”:Track3が大きめ
2'32”:バスドラのエコーが深め

2'34”〜:Aギターが大きめ


3'15”:F.O.開始