
やってきましたメインイベント。少なくとも、幹事はそう思っていた。
さっそくコントローラーを繋げる為に、おもむろに荷物を取り出す。その時、大ボケに気がついた。
3機のうち2機しか持ってきてないのだ。ガビーン!やってもうたー・・・。
しかし、この時はショウジさんがMyコントローラーを持参していらっしゃったので、事なきをえた。
改めてスタート。リンクが降りてくる。カービィがワープスターから飛び降りる。マリオが土管から現われる。
C.ファルコンがブルーファルコンから颯爽と降りる。
「3、2、1、GO!」
合図と共に一斉に動き出す。私はとりあえず、得意とするファイアボールの連弾は控えた。
メンバーの大半が初めてという今回のイベント。最初から黒戦術を繰り出したら、私やゲームに対し
嫌悪感を持たれる恐れがある。今日は本気にならず、滅多にできないイベントを楽しもう。そんなつもりだった。
余裕は数分で消えた。カービィの攻撃が決まり、マリオが足のない場へ飛ばされる。体制を立て直す為、
空中ジャンプを行う。その瞬間!突然カービィが近づき、ジャンプ下攻撃!俗称メテオスマッシュだ。
マリオは墜ちていき、音を立てて砕け散る。その一瞬の出来事に私は唖然とした。口が塞がらなかった。
当然、周りから歓声が起こる。「わー!」「凄ーい!」「あっという間に片づけちゃった」
「・・・・・・」私は、声が出なかった。パネますクンの強さは聞いていたが、これほどのものとは。
当然、この回の戦いはパネますクンの圧勝。だがこの回だけでなく、その後も常に勝ち続けるのだった。
そこへ電話が鳴る。どうやらハルキくんのご家族からのようだ。数分の後、ハルキくんが告げる。
「今から出発しないとパネますさん間に合わないんですけど・・・」
出会いあれば別れがある。判ってはいても早すぎる。そんな思いが駆け巡った。そして、その現実を受け止める前にやる事がある。
私は、最後の一戦として果たし状を叩きつけた。「勝負だ、カービィ!!」
無論、一対一の決闘だ。OFF会の幹事として、Fan's Groups支配人として、このままでは終わらせない。
とりあえずラストバトル。ギャラリーも楽しそうだ。
「3、2、1、GO!」
私は、持てる力の限りを尽くした。ファイアボールの連弾を繰り出す。だが、さすがはマスターパネポン。
そう簡単にファイアボールは当たらない。だが好機はある。蓄積ダメージ%が溜まり吹っ飛びやすい状況の中、
カービィを場外へ飛ばした。崖目指して空中ジャンプを繰り返す。ここで復活させてなるか。ファイアボールを投げた。
懸命に投げた。一発目、カービィのジャンプする軌道にのり、命中!二発目、これも命中!よし、このままイケば墜とせる。
三発目、四発目と決まる。徐々に歓声が起きていく。「おお」「おおー!」その間もファイアボールを投げ続ける。
勝つ為には手段を選んではならない。戦いの基本だ。
やがて、5回のジャンプを使い切ったカービィが墜ちていく。やった・・・、ついにパネますクンのカービィを墜とした。
最後に一矢報いる事ができた。大金星に周りが騒がない筈がない。「今の戦い方凄い・・・」「ユーリルさん、強かったんだー」
パネますクンの悔しがりは尋常ではなかった。「今度はもうぼくには効きませんよ!」
その言葉に偽りはなかった。2人目以降、ファイアボールが全く当たらないのだ。肉弾に切り替えようものなら、いづな落としを食らう。
そのまま、あっさりと敗れた。1人は落としたものの、勝利は程遠かったのだ。
時間が来た。パネますクンが帰る時間となった。「次はゼッタイ負けないからな!!」「判りました。ぼくも
ファイアボールから逃げ切る修行を積んできます!」「もうイイって!(笑)」再戦を誓った。どうやら我々は、スマブラが風化して
朽ちる時まで、戦い続ける運命を背負っているのかも知れない。彼を見送る時、そんな事を思った。