第1夜
大石 巨樹を救い出せ!


?1
 レイティ様は怒っている。

?2
 レイティ様は大変ご立腹のご様子である。

?1
 我々は・・・

?2
 我々は、おまえたちに制裁を加えるためにやってきた。

?1
 やってきた。

?2
 おまえたちがした事!

?1
 おまえたちは、毎日毎日インターネットに繋ぎ、

?2
 インターネットに繋ぐと、夜通しネットワーク空間を開けた!

?1
 空間には、汚い外気が吸い寄せられ、

?2
 そう、我々の住む空間を汚したのだ!

?1
 全てはB歩(BS-Xの歩き方)が悪い。

?2
 全てはおまえたちが悪い!!

?1
 我々は、決めたのだ。

?2
 レイティ様は、B歩を乗っ取る事に決めたのだ!!!

20世紀の終盤、世界ではコンピュータを使ったネットワークが世界的な人気を呼び、
人々は新しいコミュニケーションをとっていました。『BS-Xの歩き方』も、そんなネットワークの一つです。
ここでは毎日毎日、名前を盗まれた街の住人・サテラーと呼ばれる人たちが掲示板で
語り合ったり、リアルタイムに雑談を繰り広げたりしていました。
当然ネットワーク空間と現実空間とを結ぶ扉は、一晩中開いたままになり、
人々の目には見えないものの、ネット空間は徐々に汚されていっていたのです。
・・・ある時、ネットワークの奥深くで異変が起こりました。奥底で汚されたネットのゴミが、
結集したのです。そのゴミたちの魂の嘆きは大きなパワーを生み、
ついに一つの邪悪な生命を創りだしました。そして、その邪悪な生命は、
サテラーたちに復讐を開始したのです。
まず、手始めに・・・・・・。

パラ坊
 大変だ大変だ!黒シェパさん!!

黒いシェパード
 どうしたナリ?パラ坊。

パラ坊
 巨樹さんが・・・大石 巨樹さんがいなくなっちゃったんですぅ。

黒いシェパード
 な、何・・・!?

パラ坊
 いつもなら、番組にハガキを出してくれてたんですけど、プッツリとハガキが途切れてしまったんです。

黒いシェパード
 一体何があったナリか・・・?

パラ坊
 お願いです、巨樹さんを一緒に探して下さい。巨樹さんがいないと、あなたもサテラで遊ぶ事ができなくなるんです。

黒いシェパード
 何だって!?

パラ坊
 それだけじゃないんです!このままでは、このBS-Xの歩き方が大変な事になってしまうんです。
 サテラーの皆さんなら、何か知ってるかも知れません。お願いします、あなたの力が必要なんです。

黒いシェパード
 ・・・判った。力を貸すナリ。

黒いシェパードとパラ坊は、大石 巨樹を探すためにネットの探索を開始しました。
ちょうど、ハルキ・ひろが掲示板へ書き込みをしている最中でした。

ハルキ・ひろ
 やあ、黒シェパさん。どうかしましたか?

パラ坊
 実は、かくかくしかじかなんですぅ。

ハルキ・ひろ
 何だって、巨樹さんが!?判りました、僕も何かありましたらすぐに連絡します。

黒いシェパード
 お願いするナリ。

ハルキ・ひろ
 それにしても、なぜ行方不明になったんでしょう・・・?

黒いシェパード
 簡単ナリ。この展開は、あの連中の仕業に違いないナリ。ぷぷぷ〜。

ハルキ・ひろ
 黒シェパさん、それを言っちゃダメでしょう。僕だって、わざととぼけたんだから。

黒いシェパード
 ごめんナリ。でもタイトルがタイトルナリよ。誰でも判るナリ。

ハルキ・ひろ
 それはまあ置いといて・・・。変じゃないですか?北海道サテラーは他にもいるのに、
 何で巨樹さんだけが行方不明なんでしょう。

パラ坊
 それもそうですねぇ。何でなんでしょぅ?

ハルキ・ひろ
 とにかく、今は情報が少なすぎます。僕も自分なりに捜査しますよ。では!!

二人は、ハルキ・ひろと別れた後、掲示板を入念に調べてみました。しかし、怪しい手がかりは何も見つかりません。
暫くすると、Internet全土に何者かの声が響き渡りだしました。

マグ
 あーあー、マイクテストマイクテスト。んー、もうっちょいエコー効かせて。んーあーあーあー・・・。

ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

アンダー
 も、も、もうちょっと下げて!

マグ
 あーあーあーあーー、おーー!・・・うん、こんなもんかな。えーっと、BGMはこれっと・・・♪ダイナマイトなハニー、でもいいじゃない♪

アンダー
 バカ、違う違う!いいって!・・・こっちだ。

マグ&アンダー
 おっほん!

マグ
 このHPの訪問者に告ぐ!

アンダー
 我々はネット王・レイティ様の命を受け、インターネットを支配するためにやってきた。

マグ
 わざわざやってきたのだ。

アンダー
 大石 巨樹は我々が預かっている。返してほしければ、ハードディスクを用意しろ!

マグ
 そうだ!ハードディスクだ!!・・・って、どうしてハードディスクなんだ?

アンダー
 レイティ様は、容量がご所望なのだ。

マグ
 容量なんか別にいらないような気が・・・。

アンダー
 うるさーーい!とにかく、レイティ様は容量なんだ!

マグ
 どうしてさー、容量なんかなくてもインターネットぐらい、支配できるだろうがー。

アンダー
 何だとー!?

マグ
 変じゃ変じゃー。

ブチッ

黒いシェパード
 ・・・予想が当たったナリ。

パラ坊
 と、とにかく、巨樹さんがさらわれた事がはっきりしました。まず彼らに会いに、ルートフォルダへ行ってみましょぅ!

黒いシェパードとパラ坊は、BS-Xの歩き方のルートフォルダへ向かいました。

マグ
 何だ?おまえたちは。

パラ坊
 巨樹さんを返せっ!!

アンダー
 いーとも、返してやるさ。容量と交換にな。

マグ
 そっちのおまえ、容量をたくさん持ってそうだなあ。よし、それを貰おう。

黒いシェパード
 しょうがないナリね。

アンダー
 ・・・あ?これだけじゃレイティ様は満足しない。急いでもっと増やしてこい!!

二人は、クリオネットの入り口まで飛ばされてしまいました。

パラ坊
 容量を増やせって言ったって・・・、ボクは1Mも持っていないし・・・。やっぱりサテラーの皆さんに
 頼んでみるしかなさそうですね。ゴメンナサイ、役立たずで。
 とりあえず、何とかして容量を増やしましょぅ!

黒いシェパードは、クリオネットの扉を開けようとしました。しかし、一向に開く気配はありません。
そう、実はレイティの手下たちがクリオネットの周りに結界を張り、外界との隔たりを作ってしまったのです。

黒いシェパード
 やってくれるナリ。

パラ坊
 封鎖されましたねぇ。

黒いシェパード
 仕方がない、今来てくれてる訪問者に頼むしかないナリ。

パラ坊
 そうですね、頼んでみましょぅ。

二人は、B歩の中をさまよっていました。

パラ坊
 ねぇ、いらないファイルを持ってますよね?それゴミ箱から捨てられるってご存知ですか?
 ファイルを捨てれば、容量が増えますよ。え、ゴミ箱ですか?確かー、デスクトップにあったような気がします。

黒いシェパード
 あ、ゲリュさん。

ゲリュ
 黒シェパさん。どうかしたんですか?

黒いシェパード
 実は・・・(割愛)。

ゲリュ
 大石 巨樹さんが・・・。それは大変ですね。

パラ坊
 それで今、容量を集めてるところなんですぅ。
 ゲリュさん、力を貸して下さい。

ゲリュ
 ごめんなさい、HP持ってないんですよ。だから提供する事ができないんです。
 何かすみません。

黒いシェパード
 謝る必要はないナリ。こっちが勝手に頼んでる事ナリから。

ゲリュ
 頑張って下さい。

黒いシェパードたちは、あるフォルダの中へ入りました。

パラ坊
 あ、ここは・・・。

黒いシェパード
 リンクルームナリ。そうか、この手があるナリ!
 ここから他のサテラーのHPまで飛べばいいナリ!

パラ坊
 なるほどー!でも、結界が張ってあるんじゃないんですか?

黒いシェパード
 大丈夫ナリ。みんな結界如きじゃ遮られないほど強力なリンクを張ってるナリ。

パラ坊
 じゃぁ、さっそく行ってみましょぅ!どこに行きます?

黒いシェパード
 さしあたり容量が大きそうなとこへ行ってみるナリ。

黒いシェパードたちは、「Hiro'sホームページ」へのリンクを使いました。
管理人の長山 弘明は更新作業をしているようです。

長山 弘明
 あ、黒シェパさん。さっき変な声が突然聞こえたんですけど、あれってやっぱり・・・?

黒いシェパード
 想像通りナリ。じゃあボクが頼みたい事も判るナリか?

長山 弘明
 もちろんです。容量を集めてるんですよね?僕はジャストネットに入ってるんで、
 容量には余裕があるんです。持っていって下さい。

パラ坊
 ありがとう、長山さん!

黒いシェパード
 何もお礼できないナリよ・・・。

長山 弘明
 いいんです、お礼なんて。僕にとっては、B歩に平和が戻る事が一番のお礼ですから。
 僕も第二のB歩と呼ばれるように頑張りますんで、黒シェパさんも頑張って下さい!

黒いシェパード
 判ったナリ。キミの好意はムダにしないナリよ!

B歩に戻って暫くすると、再び声が聞こえてきました。

マグ
 おーい、容量は用意できたかー?こっちは退屈なんだよなー。
 じゃあ、あと3分だけ待ってやる。今から3分、オレの歌でも聴いてくれ。じゃあ行くぜ!
 ♪ダイナマイトなハニー、でもいいじゃない。でもい・・・♪

アンダー
 唄うなぁーーーーーーーーーーーー!!!・・・ゴホン!
 とにかく、あと3分だ。早く増やすんだ!

黒いシェパード
 ノッてるナリ・・・。

パラ坊
 時間がありません、急ぎましょぅ!

黒いシェパードたちは、再びB歩の中をさまよっていました。
すると、サテラでチャット!にアキコンコンが一人たたずんでいました。

黒いシェパード
 あ・・・アキコンコン・・・ちゃん・・・。

アキコンコン
 黒シェパさん・・・。あなたを待ってました・・・。

黒いシェパード
 一体・・・どうしたナリ・・・?

アキコンコン
 黒シェパさんが容量捜してるって・・・聞いたので・・・、
 アタシも力になりたいなって・・・。これ、少ないけど・・・使ってほしいの・・・☆

黒いシェパード
 ・・・ありがとう。大切にするナリよ☆

アキコンコン
 嬉しいな・・・。頑張ってね、応援してルから・・・。

黒いシェパード
 ああ、絶対に巨樹さんを助け出してやるナリ。

暫く見つめ合った後、アキコンコンは手を振って黒いシェパードたちを見送りました。

パラ坊
 羨ましいですねぇ、黒シェパさん!

黒いシェパード
 ん?彼女の事ナリか?違うナリ。彼女は巨樹さんの事を心配してるナリ。だから
 ボクに助けてほしいって頼んでるナリよ。彼女はボクの気持ちには気づいてないナリ。
 ・・・片想いも辛いものナリね。

パラ坊
 そぉですかねぇ?ボクは違うと思うけどなぁ。「恋は盲目」とは良く言ったものなんでしょぅか?

そこへ再びあの忌まわしい声が響きました。

マグ
 おーい、ハードディスクは用意できたかー?

アンダー
 今すぐ増やした容量を持って来い!

パラ坊
 そんな、まだ少ししか増えてないのに・・・。
 でもしょうがない、ルートフォルダへ向かいましょぅ。

黒いシェパードとパラ坊は、再びルートフォルダへ急ぎました。

マグ
 どれどれ、どれだけ増えた?

アンダー
 んあ?たったのこれっぽっちか!?大石 巨樹がどうなってもいいのか!

パラ坊
 そんなぁ!ムリですぅ、こんな短時間で・・・。

プルルルルル、プルルルルル

マグ
 何だ?あ、もしもし?あ!レ、レイティ様!!・・・は、はい。
 はい、容量でしたら・・・え?いらない?・・・は、はい。
 代わりの人質・・・はい、す、すぐに。
 は!かしこまりま・・・。も、もしもし?もしもし!・・・チェッ。

アンダー
 どうした。

マグ
 またレイティ様の悪い癖だよ。実は・・・。

アンダー
 ・・・うん?・・・何?・・・はぁーっ。・・・ゴホン!
 容量は必要なくなった。従って、おまえの容量は返す!

黒いシェパードは、奪われた容量を返してもらった。

パラ坊
 へ?どういう事ですか?

アンダー
 レイティ様は、代わりの・・・人質を要求しておられる!

マグ
 大石 巨樹相手だと退屈なんだって!

アンダー
 うるさーい!余計な事を言うな!!

マグ
 だってホントなんだもん・・・。

アンダー
 大石 巨樹を返してほしければ、代わりの人質を用意しろ!

パラ坊
 代わりったって誰が・・・?

マグ
 レイティ様に気に入られる奴を連れて来るんだ。

パラ坊
 じゃ・・・じゃあ、ボクが代わりになりま・・・。

マグ
 あーおまえじゃダメだ。レイティ様は「サテラーを連れて来い」と言ってたぞ。

黒いシェパード
 ・・・オレもサテラーなんだけどな。

マグ
 おまえもダメだ。レイティ様は、黒髪が条件だとも言ってたからな。

アンダー
 そうだ、代わりの黒いサテラーだ。判ったらさっさと連れて来い!

パラ坊
 そんな、ひどいぃー・・・。

マグ
 ・・・そうだなあ、オレも・・・ちょっとひどい気がするな。

アンダー
 うーん、レイティ様の命令だからな・・・。
 わ、判った。増やした容量の代わりに、これでも持っていけ。

黒いシェパードは、「よっぺのスペシャルCD『南風吹く時』」を手に入れた。

アンダー
 レイティ様には内緒だぞ。
 さ、早く代わりを連れて来い!

黒いシェパードたちは、ルートフォルダの外へ出ました。

パラ坊
 代わりの人質ですって・・・。やっぱり、サテラーの誰かに頼むしかないんでしょうか。
 あーどうしたらいいんでしょぅ。でも、このままだと巨樹さんはずーっと帰って来ないし・・・。
 あ、あ!Dr.博士!

ガチャ

Dr.博士
 やー、大変な事になっているようだな。

パラ坊
 そうなんです!巨樹さんがさらわれて、今代わりの人質を捜そうとしているところなんです。
 でも、これ以上サテラーの皆さんを巻き込みたくないし・・・。

Dr.博士
 むー・・・。しかし、とりあえず奴らの言う事を聞いた方がいいな。
 諸君たちは、代わりになってくれる人を捜すのだ。
 我輩はこの事件を解決する為に、発明品を作っているところだ。
 もう少しで完成しそうだから、それまでは頑張ってくれたまえ。以上だ!

ガチャ

パラ坊
 あ!切れちゃった。・・・Dr.博士の言う通り、ぼく達はサテラーの皆さんを当たってみましょぅ。
 えー、それにしてもDr.博士は何を発明してるんですかねぇ?後でDr.博士のいる、ロボットサイトにも行ってみましょぅ!

黒いシェパードたちが足を一歩踏み出したその時、再びInternet全土に声が響き渡りました。

マグ
 おーい、一つ言い忘れた!人質は、1人でいいからなー!
 何人も連れて来るんじゃないぞー!じゃあ。

黒いシェパード
 こっちだって何人も連れてくつもりないの、当たり前ナリ。

パラ坊
 とりあえず、捜してみましょぅ。

黒いシェパード
 それなら、さしあたり・・・。

黒いシェパードたちは、リンクルームから別のHPへジャンプしました。

パラ坊
 あれ?ここは・・・。

そこは「神庭屋 総本舗」の入り口でした。横の方に「パネますゾーン」への立て札が建っています。

パラ坊
 パネポンますた〜さんのHPじゃないですか!彼に頼むんですか?

黒いシェパード
 彼ならきっと引き受けてくれるナリ。彼の家族も「修行だ」とか言って了承してくれそうナリよ。

パラ坊
 ホントですかぁ〜?とりあえず入ってみましょぅ。

黒いシェパードたちは、パネますゾーンの中へと入りました。
中では、パネポンますた〜がイベント攻略の作戦会議を行っていました。

パネポンますた〜
 おや?黒シェパさん。どうしたんですか?こんな所へ来るなんて、珍しいですね。

黒いシェパード
 実は、キミにお願いがあって・・・。

黒いシェパードは、事のいきさつを洗いざらい話しました。

パネポンますた〜
 そうですか、巨樹さんの代わりになる人質を・・・。
 判りました。私が引き受けましょう!それが茜さんを救う事にもなるし。
 家族も、修行だといって快く送り出してくれるでしょうから(爆)

パラ坊
 ホントですか!?ありがとぅ、パネますさん!!

黒いシェパード
 じゃあ、早速準備してくれないナリか?

パネポンますた〜
 じゃあ時間になったら私は直接ルートフォルダへ向かいますので、
 先に行っていて下さい。ではでは〜〜☆w(*^^*)w

パラ坊
 じゃぁ、お待ちしてますよぉ。

黒いシェパードたちは、B歩へ戻ろうとしました。そこへ・・・。

ガチャ

Dr.博士
 諸君、順調に進んでおるかね?

パラ坊
 ええ、まあ。
 それよりーDr.博士、発明品の方はどうなったんですか?

Dr.博士
 うむ、それだがな。あともう少しだ。大急ぎで作るから、もう暫く待っていてくれたまえ。

パラ坊
 急ぐのはいいけど、失敗作なんて作らないで下さいね。

Dr.博士
 ハハハハハハ、我輩に任せておけ!何も心配いらん!

パラ坊
 そういうところが心配なのに。

Dr.博士
 ん?何か言ったか?

パラ坊
 いや何でもありませんー。

Dr.博士
 それでは諸君、また後ほど。

ガチャ

パラ坊
 早速、ロボットサイトに行ってみましょぅか。

黒いシェパードたちはB歩へ戻りました。
B歩の一角に、大きなロボットが建っていました。どうやらここがロボットサイトのようです。
中ではDr.博士が研究を進めていました。

Dr.博士
 おお、諸君。待っていたぞ。

パラ坊
 Dr.博士、発明品って一体何なんですか?

Dr.博士
 ゴホン!聞いて驚くなよ。我輩の発明しているものとはズバリ!「サテラーサーチエンジン」だ!!

黒いシェパード
 ・・・・・・。

パラ坊
 ・・・・・・。

Dr.博士
 ん?その顔は我輩を信用しておらぬな?

黒いシェパード
 え?そ、そんな事はないナリ・・・よ。

Dr.博士
 そうか!信じてくれるか!
 通常のサーチエンジンはHPを捜すためのものだが、このサテラーサーチエンジンは
 サテラーを捜し出す為のサーチエンジンなのだ。
 これを使えば、大石君など一発で捜し出せるぞ!

黒いシェパード
 凄いナリね。

Dr.博士
 ただ、完成までもう少しかかりそうなのだ。キミ達、人質はもう決まったのかね?

パラ坊
 えぇ、パネますさんが引き受けてくれました。

Dr.博士
 そうか。ならばパネます君にも伝えておきたまえ。
 我輩が必ず助け出すから心配するな、とな!

パラ坊
 判りました、伝えておきます。

その時、またあの声が聞こえてきました。

マグ
 おーい、代わりの人質は用意できたかー!

アンダー
 今すぐルートフォルダに連れて来い!早くしないと・・・。

マグ
 オレ達がレイティ様に怒られる・・・。

アンダー
 大石 巨樹がどうなっても知らんぞー!

パラ坊
 ルートフォルダへ急ぎましょぅ!

パネポンますた〜
 お待たせしました、行きましょう!

黒いシェパード、パラ坊、パネポンますた〜の3人は、ルートフォルダの中へ入りました。

マグ
 ・・・こいつ?代わりの人質って・・・。

アンダー
 よし、こいつはひとまずこちらで預かっておく!
 さっそくレイティ様に連絡しろ!・・・おい。

マグ
 ・・・え?ええっ?・・・オレが!?
 チェッ、何でオレが・・・あの女にかけなきゃなんない・・・、
 あ、もしもし、レイティ様で?代わりの人質の件なのですが・・・あ、はい。
 えーお手元の資料の・・・はい、ええっ!?あ、い、いやいや、そいつじゃなくて次のページの・・・はい。
 そいつですが・・・は?気に入らない?で、でもそいつ・・・あ、切れちゃった・・・。

アンダー
 どうだった?

マグ
 ・・・タイプじゃないんだとよ。

アンダー
 うーん・・・。こいつじゃダメだ!

パラ坊
 ええっ!?

マグ
 レイティ様は、パネますじゃ不満なんだって。

パラ坊
 じゃあ、誰を連れてくれば・・・?

アンダー
 えーい、うるさい!さっさともう一人捜して来い!

黒いシェパードたちは、仕方なく外へ出ました。すると、Dr.博士が嬉々として待っていました。

Dr.博士
 諸君!歓べ!!

パラ坊
 歓べないですよ、こんな時に・・・。

Dr.博士
 まあまあ。実は・・・完成したのだよ、サテラーサーチエンジンが!
 これを腕にはめるのだ。

パラ坊
 でも、これをどうやって・・・?

Dr.博士
 説明しよう。
 そもそも、何故大石君がさらわれたのか。他にも北海道サテラーはいるのに、だ。
 そこで我輩は考えたのだ。実は彼は「拓道」の家元なのだ。正確には家元の「のれんわけ」だがな。
 「拓」とは、ものに墨を塗りそれを紙に押し付けてそのものを表現する、新しい芸術だ。
 一般的には「魚拓」が有名なところだろう。大石君は、それは見事な絵を描いていたものだ。
 恐らく地底人どもは、その事を知り彼をさらったのだろう。彼は放課後の王様の生き形見といえる訳だからな。
 そこでこのエンジンの出番だ。これを使って大石君が捕まっているHPを検索するのだ。
 そして、そこへ行き彼を救出すれば良い。

パラ坊
 なるほどー!さすがDr.博士ー!

Dr.博士
 フハハハハハ!それ程でも〜!
 むふふふふふ!アハハハハハハ!ダーッハハハハハハハハハハ!

パラ坊
 フハハハハハハ!って。
 あの、ところでキーワードは何と入れればいいのですか?

Dr.博士
 そうだなあ、とりあえず彼の本名で検索してみよう。

Dr.博士は、「大石 巨樹」と入力しました。

Dr.博士
 さ、準備完了だ。我輩は何かあった時の為にB歩に残る。

パラ坊
 じゃ、行って来ます!

Dr.博士
 うむ、気をつけてな。
 おっと!大事な事を言い忘れていた。このエンジンは行った先での滞在時間は、9分だ。
 その間に、何としても大石君を救出してくれ。
 では、無事を祈る。

黒いシェパードとパラ坊の視界が、次第に歪んでいく・・・。

Dr.博士
 上手くいってくれればいいが・・・。

黒いシェパードたちが着いたのは、「気まぐれタロット占い’」でした。

パラ坊
 ここが検索結果のサイト・・・。なーんか様子が変ですねぇー。
 お?誰か来ます!

溝田 祐子
 あれ?黒シェパさんじゃないですか。一体どうしたんですか?

黒いシェパード
 へ?溝田さん?何でこんなとこにいるの?

溝田 祐子
 何でって、ここは私のHPですよ。いて当たり前じゃないですか。

パラ坊
 聞きましたかぁ?どうやらボク達、溝田さんのサイトに来てしまったようですねぇ。
 困ったなぁー・・・。でも、ここでも何か手がかりが掴めるかも・・・。
 あ!! いる!いますよ!先に巨樹さんを捜しに行ったサテ坊からの電波が
 うーん、弱いけど感じ取れるんです。急いでサテ坊を捜しましょぅ!!

溝田 祐子
 え、サテ坊?サテ坊ならゲストブックを調べてますけど。

黒いシェパードたちは、ゲストブックを調査しているサテ坊を見つけました。

サテ坊
 あ、黒シェパさんにパラ坊。
 巨樹さんの居所を捜してるんですけど、ここでもないみたいですね。

黒いシェパード
 ボク達も、Dr.博士の発明品を使ったらここに来ちゃったみたいナリ。

溝田 祐子
 人捜しですか?何なら占いで捜してみません?

パラ坊
 そぅですね、それもいいかも知れません。

黒いシェパードたちは、溝田 祐子に導かれタロカンの中へ入りました。
中では覆面をした占い師が、水晶玉で何かを占っていました。

溝田 祐子
 何を占ってるんですか?

謎の覆面占い師
 ムムム・・・見える・・・。B歩の未来が・・・。
 これがB歩の末路なのか・・・。

水晶玉には、何やら二人の男が映っていました。

マグ
 このHPも完成間近だなー。

アンダー
 サテラー達は素直な奴ばかりで、こっちも楽なもんだ。

マグ
 まあ、オレ達もここへ来て1年。これで戻ったら、オレも大臣間違いナシだ。うはは!

アンダー
 それはムリだ。大臣はこの私だ。

マグ
 んー何だとー?オレの方が働いてるぞー!!

アンダー
 何をー?いつもレイティ様の相手をしてるのは私の方だ!
 あのワガママを、毎日毎日聞いてやってんだぞ!

マグ
 そんな事オレには関係ないもーん。

アンダー
 何ー!?

パラ坊
 こ、こいつらは!?

黒いシェパード
 どういう事ナリ!

謎の覆面占い師
 今のままでは、この二人とその上にいる邪悪な者によってB歩は滅ぼされるという事でしょう・・・。

溝田 祐子
 じゃあ今度は巨樹さんの居場所を占って!

謎の覆面占い師
 判りました・・・。では今度はタロットで・・・。

謎の覆面占い師は、タロットカードを取り出すと二枚のカードを引きました。
それは「塔」と「法王」のカードでした。

謎の覆面占い師
 出ました・・・。「塔」、これは今まで見えなかった真実・・・。「法王」、これは精神的な支配・・・。
 この二つの意味を持つ場所に彼の者はいる・・・。法王は支配・・・。統率する場所・・・。塔は見えない真実・・・。
 普段見る事のできない場所・・・。恐らく大石 巨樹は、クリオネットのホストサーバーにいるでしょう・・・。

黒いシェパード
 ・・・なるほど!確かにあそこは普段見えない場所ナリ!

パラ坊
 あ!もう時間だ。黒シェパさん、急いでB歩に戻りましょぅ!
 溝田さん、占い師さん、ありがとうございました。

溝田 祐子
 頑張ってね、応援してるよ!

再び、黒いシェパードたちの視界が歪んでいく・・・。
気がつくとB歩に戻っていました。

Dr.博士
 おお、戻ってきたか!
 しかし、大石君を連れていないところをみると、作戦は失敗のようだな。

パラ坊
 失敗も何も、ぼく達溝田さんのサイトに行ってきたんです!

Dr.博士
 何と!じゃあ、このエンジンは欠陥品だったという事か!我輩とした事が・・・。
 むー・・・しかしこれは・・・。

パラ坊
 でも聞いて下さい!溝田さんのサイトで巨樹さんの居場所を占ってもらったんですよ!

Dr.博士
 しかし理論ではあーなって、こーなって・・・。

パラ坊
 ドクター博士〜!

Dr.博士
 え?何だ何だ?

パラ坊
 だから、巨樹さんの居場所が判ったんです!

Dr.博士
 おお!で、どこだ?

パラ坊
 ホストサーバーの中です。

Dr.博士
 そうか!では早速ホストサーバーに向かう事にしよう。

黒いシェパード、パラ坊、サテ坊、Dr.博士はクリオネットのホストサーバーへ向かいました。

Dr.博士
 では、乗り込むとしようか。

黒いシェパードたちは、ホストサーバーの中へ入りました。
中には、大石 巨樹とパネポンますた〜が捕まっていました。

パラ坊
 うははっ、巨樹さん〜!

大石 巨樹
 ごめんね、心配かけちゃって。黒シェパさん、ありがとうございました。

黒いシェパード
 これぐらい朝飯前ナリ。ゲヒョヒョ。

パラ坊
 ねぇねぇ、ネット王とは会ったんですか?

大石 巨樹
 うん、姿は暗くて見えなかったけど、凄く邪悪な気配を感じたよ!

Dr.博士
 奴は何か言っておったか?

大石 巨樹
 ええ、B歩を乗っ取って自分のHPにするって。
 そうなる前に何とかしなくては!

パラ坊
 そうとも!未来のB歩はもう、ぼく達のHPじゃなかったもん。

黒いシェパードたちは、大石 巨樹と共にB歩へ戻りました。
パネポンますた〜は、パネますゾーンへと帰っていきました。

Dr.博士
 大石君を救出したからには、奴等の根城を突き止めなければなるまい。
 我輩は、今すぐサーチエンジンの改良に取りかかるとする。

パラ坊
 ぼく達はどうすれば・・・。まだルートフォルダには地底人がいるし・・・。

Dr.博士
 その事だが、先ほど例の地底人どもが何やら慌ててリンクルームへ走っていったのだ。

パラ坊
 え、いつ!?

Dr.博士
 君達が検索先・・・あ、いや溝田君のHPへ行っている時だよ。

パラ坊
 じゃあ、今はB歩に地底人はいない訳ですね!?

Dr.博士
 うむ、一時的だがな。
 この間に、君達は訪問するサテラーを落ち着けるよう努めてくれ。
 何よりも普段通りに振舞う事が大切だ。
 彼等はいつまたやってくるか判らない。くれぐれも油断しないようにな。

大石 巨樹
 私も、もう捕まったりしません!

パラ坊
 そうですよ巨樹さん。あなたがいないと大変なんだから。

その時、B歩全体が暗くなり稲光が辺りを包んだ!

レイティ
 やってくれたわねえ、黒いシェパード。私の計画にちょっかいを出すなんて、許せない。

大石 巨樹
 ん?その声はレイティ!

パラ坊
 ええっ!?レイティって女の人なのぉ?

Dr.博士
 ほほう、女か。大石君、美人だったか?

大石 巨樹
 え?うーん、暗かったから・・・。

レイティ
 コラ!人の話をちゃんと聞きなさい!
 もー悔しいったらありゃしない!おまえたち、よくお聞き!
 この次は覚えてらっしゃい!もうメッタメタのギッタンギッタンにしてやっからねー!
 それからバッキバキにしてグッチャグチャにして・・・。

アンダー
 レイティ様、もうそのくらいで・・・。

レイティ
 あーうるさい!これというのも全部おまえがトロイからだよ!
 全くおまえときたらいつもいつも・・・。

アンダー
 まあまあ。

大石 巨樹は無事救出したものの、ついに存在を現わしたネット女王・レイティ。
地底人の次の企みは、一体何でしょう。B歩は果たしてどうなるのでしょう。
ネットウォーカー、次夜をお楽しみに!

トップページへ  サテラのトップへ  ネットウォーカーのトップへ 次へ