ゴジラ対自衛隊 〜映画の中の自衛隊〜

改めて法律を調べてみたら『総理大臣は……』

2010年8月19日――管直人 内閣総理大臣


 2010年(平成22年)8月19日。就任2カ月となった管直人内閣総理大臣が折木良一統合幕僚長、火箱芳文陸上幕僚長、杉本正彦海上幕僚長、外薗健一朗航空幕僚長ら制服組のトップと意見交換の会談を行った。これは、8月2日の衆議院予算委員会で自民党の石破茂 政調会長から「自衛官から直接意見を聞くべき」と追及されてのものだった。民主党に政権が移って11カ月が経過していたが、防衛省情報本部からの定期的な報告は受けていたが、こうした会談は初めてだったという。

 この会談で管総理大臣は同席した北沢俊美防衛大臣とともに、海外での国際協力活動への自衛隊の派遣や、北朝鮮や中国といった日本の周辺国の軍事動向や活動の状況、また年末に策定される防衛計画の大綱や次期中期防衛力整備計画といった日本の国防の根幹にかかわる説明を受けたという。

 しかし、この会談の冒頭での発言が問題となった。

 8月20日付の朝日新聞の報道によれば会議の冒頭のあいさつで管総理大臣は、「改めて法律を調べてみたら『総理大臣は、自衛隊の最高の指揮監督権を有する』と規定されており、そういう自覚を持って、皆さん方のご意見を拝聴し、役目を担っていきたい」と発言したという。

 また、同じ記事の中では会議の前に北沢俊美防衛大臣に「ちょっと昨日予習をしたら、(防衛)大臣は自衛官じゃないんですよ」と語ったとも伝えられており、記事では「シビリアンコントロール(文民統制)への理解の浅さを露呈したと批判されそうだ」と伝えている。

 会議の後、折木統合幕僚長は、記者団に冒頭のあいさつについてコメントを求められ「本当に冗談だと思う。指揮官としての立場は十分自覚されている上での話だと、私は認識している」と語ったというが立場上擁護するより他なかっただろう。6月に総辞職した前政権の鳩山内閣が普天間の基地移設問題でさんざん迷走し、民主党の安全保障政策に対する無知・無理解が露呈した格好になっていた直後だっただけに、冗談であったにしても、日本国の安全保障を担っている自覚に欠ける発言だと言われても仕方ないだろう。

自衛隊・安全保障をめぐる言葉