ゴジラ対自衛隊 〜映画の中の自衛隊〜

暴力装置でもある自衛隊

2010年11月18日――仙石由人 内閣官房長官


 暴力装置――国家による物理的な強制機能のことをこの様に指すことがある。犯罪も、テロを含めた戦争行為も世界からも国の中からも廃絶されていない以上、国家が 個々の市民の持つ暴力を制限し、国家が一元的に管理する必要がある。そのため、法に則った実力行使が認められている組織のことが呼ばれることがある。具体的には軍隊・警察・海上保安庁などの法執行機関を指すケースが多い。

 2010年11月18日の参院予算委員会で、自民党の世耕弘成 幹事長代理への答弁の中で仙石由人 内閣官房長官が「暴力装置でもある自衛隊、ある種の軍事組織だから特段の政治的な中立性が確保されなければならない」と発言。野党席からのヤジや世耕幹事長代理からの抗議があり「実力組織」と言い換えた上で「不適当だった」と謝罪した。

 暴力装置という言葉の真意についてはとにかく、現役の内閣官房長官の発言として、また仙石氏がかつて左翼運動に関わっていたこと、民主党政権下で問題発言が相次いでいたことなどから「暴力装置」という言葉は大きな問題発言として受け止められた。同年12月3日に管内閣が決定した民主党政権の政治主導に関する質問に対する答弁書には「暴力装置という言葉は自衛隊を表現する言葉として不適当である」という内容が含まれた。

自衛隊・安全保障をめぐる言葉