ゴジラ対自衛隊 〜映画の中の自衛隊〜

これから犯しますよと言いますか

2011年11月28日――田中聡沖縄防衛局長


 民主党政権下の2011年11月28日夜、那覇市の居酒屋で田中聡沖縄防衛局長の呼びかけで報道陣との懇親会を開いた。在日米軍普天間飛行場の移転先の環境評価所の年内提出を、一川保夫防衛大臣が明言を避けたことに対する質問に対し、田中防衛局長は、「(女性を)犯す前に、これから犯しますよと言いますか」と発言したという。この懇親会はいわゆるオフレコだったが、翌日に琉球新報がその発言を取り上げ、他社もそれに続いた。

以下は、琉球新報の記事を抜粋したものである。

 沖縄防衛局の田中聡局長は28日夜、報道陣との非公式の懇談会の席で、米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)の「評価書」の年内提出について、一川保夫防衛相が「年内に提出できる準備をしている」との表現にとどめ、年内提出実施の明言を避けていることはなぜか、と問われたことに対し「これから犯しますよと言いますか」と述べ、年内提出の方針はあるものの、沖縄側の感情に配慮しているとの考えを示した。

 県などが普天間飛行場の「県外移設」を強く求め、県議会で評価書提出断念を求める決議が全会一致で可決された中、県民、女性をさげすみ、人権感覚を欠いた防衛局長の問題発言に反発の声が上がりそうだ。
 田中局長は那覇市の居酒屋で、防衛局が呼び掛けた報道陣との懇談会を開いた。報道陣は県内外の約10社が参加した。
 評価書の提出時期について、一川氏の発言が明確でないことについて質問が出たとき、「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言した。

(引用終わり)

これを受けて、29日、田中防衛局長は東京の防衛省に呼ばれて事情聴取を受けた。同日、一川保夫防衛大臣は、田中氏を沖縄防衛局長から更迭し、防衛大臣官房付とする処分を下した。

 なお、田中防衛局長は、防衛省での事情聴取に対して、「犯す」という言葉は使った記憶がないと答えたという。ただし、男女間の性交渉のやり取りを例として挙げたことは認め、前後の文脈から「犯す」という意味に解釈されかねない状況であったことも認めたという。なお、同席していた池田欽吾沖縄防衛局総務部報道室長は当該の発言について、席が離れていたため発言を聞きとることができなかったと答えたという。(元沖縄防衛局長の暴言等に関する質問に対する答弁書

 時々、物事の例えとして男女間のそういったことを例えに挙げる人はいる。が、デリケートな――基地問題のような問題で、いくらオフレコの懇親会の場とはいえ、口にしてしまうのもどうかと思う。聞きようによっては、沖縄に東京、あるいは本土が覆いかぶさるような印象を受け、反発する者もいるだろう。しかし、レイプと健全な性交渉は全く別物である。田中元防衛局長や防衛省の聞き取り調査の結果を全て信用することはできないにせよ、辺野古移設を頓挫させたい沖縄マスコミに恣意的に発言を曲解して使われたのではないか……とも思えてしまう。いずれにせよ、脇が甘かったということか。

自衛隊・安全保障をめぐる言葉