ゴジラ対自衛隊 〜映画の中の自衛隊〜

人を殺すための予算

2016年6月26日――藤野保史 日本共産党政策委員長


 第24回参議院議員選挙(2016年7月10日)の近い2016年6月26日のNHKの番組「日曜討論」で、各政党の政策担当者が集まっての討論の中で、表記の発言は飛び出した。

 正社員と派遣社員の賃金格差や所得の再分配についての議論をしている際、発言が回ってきた日本共産党政策委員長の藤野保史氏は、'16年度予算が初めて5兆円を超えたことを念頭に、「軍事費が戦後初めて5兆円を越えましたけれども、人を殺す予算ではなくて、人を支えて育てる予算を優先していくと……」と発言した。

 その発言に稲田 自民党政調会長が横から「そういうのは言いすぎ」「日本を守るためですから、全然あべこべ」と非難の声を上げ、公明党の石田 政調会長も「貴方と御党のためにも取り消したほうがいい」と撤回を促したが、藤野氏は「軍事費だ」と反発し、番組内での訂正はなかった。

 第24回参議院議員選挙では共産党・民進党・社民党・国民の生活が第一の野党4党による共闘が図られたことが注目されたが、そのためか、おおさか維新の会や日本の心を大切にする党の政調会長からも非難する発言が相次いだが、野党第一党の民進党・山尾 政調会長は番組中この発言について、何の発言も行わなかった。

 その後、発言に対する批判の高まりを受けてか同日夜、藤野氏は「安保法制=戦争法と一体に海外派遣用の武器・装備が拡大していることを念頭においた発言でしたが、テレビでの発言そのものは、そうした限定を付けずに述べており、不適切であり取り消します」とコメント。翌日には志位 日本共産党委員長も、本人に口頭で注意したことを明らかにし、事態の沈静化を図った。それでも非難の声は収まらず、28日に藤野氏は政策委員長を辞任した。

自衛隊・安全保障をめぐる言葉