ゴジラ対自衛隊 〜映画の中の自衛隊〜

青空少女隊(1994年〜1996年)

DATE

1994年〜1996年 OVA全7巻

総監督:もりやまゆうじ  原作:清水としみつ

<声の出演>  石動拓也3等空曹:三木眞一郎  羽田みゆき2等空曹:久川綾  三鷹ありさ2等空曹:折笠愛  鷺ノ宮さくら1等空曹:井上喜久子  下連雀ようこ2等空曹:野上ゆかな  小西充1等空尉:若本規夫  剣ヶ峰浩二1等空尉:梅津秀行  塚本空将:辻村真人  他




内容にはネタばれを含んでいます。  解説・感想  ストーリー  映画の中の自衛隊




【解説・感想】

 清水としみつ原作。1994年から1996年にかけて発売されたOVAは1〜3話までの第1期と番外編を挟んで4〜6話までの第2期の全7話。女性パイロットばかりで構成されたアクロバットチーム『801st T.T.S.(Tactical Training Squadron)』に配属されたばかりの主人公・石動拓也と、パイロットの羽田みゆき、三鷹ありさの三角関係を中心に、内容自体は典型的な90年代ラブコメといった感じだが、スカイアクションの部分もとてもよく作られていて好感が持てる。

航空自衛隊の協力の下で、T-4練習機を始め、F-15Jや輸送機など登場する機体の外観やコックピット内、飛行中の映像などリアルに描かれている。知識不足で記憶にないだけかもしれないが、おそらく自衛隊が協力した初めてのアニメーションではないだろうか?

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【ストーリー】

 大のオタク青年という一面を持つ整備士の石動拓也3等空曹が『801st T.T.S.(Tactical Training Squadron)』に配属される。そこは女性パイロットで構成されたアクロバットチームだった。目指せ! 第二のブルーインパルス! のはずだったが、周りからはただのお荷物部隊と見られ、ことあるごとに解散の危機に陥っていた。

 就任早々、パイロットの羽田みゆき2等空曹、三鷹ありさ2等空曹と険悪になってしまった石動だったが、生来の楽天的で真摯な性格から、両名から好意をもたれるようになる。そんな折、801st T.T.S.の解散を目論む剣ヶ峰団司令らは一計を案じ、飛行テストを前にチームの分断工作を図る。主力メンバーを欠いたままで飛行訓練に挑むことになった801st T.T.S.の運命は……。

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【映画の中の自衛隊】

 2013年現在、航空自衛隊に女性の戦闘機パイロットは存在しない。しかし、パイロット志願者は戦闘機のみならず民間含めて減少しているようだし、女性のパイロットは輸送機などで活躍しており、今後も女性のパワーに対する期待は高まり、活躍の場は広がるだろう。戦闘機パイロットへの登用も検討はされているようなので、その誕生も遠い未来ではないのかもしれない(2015年11月に防衛省は戦闘機パイロットの女性登用を決めた。2018年8月、自衛隊初の女性の戦闘機パイロットが誕生した。)

 本作中ではアクロバットチームが舞台ということもあって、T-4練習機が作中に登場する場面が多い。T-4はT-7を用いた初等練習を終えた戦闘機パイロットの卵が中等練習に使用する亜音速の純国産ジェット練習機であり、ブルーインパルスでも使用されている。1998年に運用が開始され、その性能は同クラスの練習機の中では世界でもトップクラスだとされる。また、連絡機としても使用されているので教育隊のみならず飛行場のある基地では目にすることができる。

 航空自衛隊唯一のアクロバットチームとして知られるブルーインパルスは、1960年4月に第1航空団第2飛行隊内に『空中機動研究班』として発足した。当時はF-86Fセイバーを使用しており、1964年の東京オリンピックの開会式や1970年の大阪万博の開会式でも展示飛行を披露した。使用されている機体はF-86F(1960年〜1981年)、T-2(1982年〜1995年)、T-4(1996年以降)と現在3代目である。T-2の時代まではブルーインパルスの搭乗員は教官との兼任で、部隊も飛行部隊の中に1チームという位置づけだったが、1995年に、正式名称・第4航空団『第11飛行隊』(宮城県松島基地所属)、広報活動を主な任務とする展示飛行専門の部隊として独立した。

 ブルーインパルスのパイロット(ドルフィン・ライダー)と整備士の任期は3年となっており、任期が終わると元の部隊に戻る特殊な形態となっている。その理由は各飛行部隊の中でも精鋭ばかりが集まる部隊であるが、その性質上、第一線部隊から離れたがらない隊員が多いためでもあるらしい。ブルーインパルスでは通常の訓練では実践することのない高度な技術の習得が必要とされるため、一般の部隊に戻ってもその経験が役立つことも多いという。ドルフィン・ライダーになるにはまずは戦闘機パイロットであることが前提条件であるのは言うまでもないが、必要とされるのは操縦技術とともに、高度なチームワークを要求されるために協調性や、自衛隊の広報活動が主任務であることから社交性も必要とされるという。その上で、「本人の志願」か「上から命令」による配属となるが、近年は本人が志願するケースが多いらしい。なお、整備員はドルフィン・キーパーと呼ばれ、全員が空曹以上である。これは、任期が3年という部隊の性質上、任用期間が3年の空士を配属すると十分な新人教育や空曹への昇進試験を受けられないという配慮かららしい。

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