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12月-今日の格言・箴言 8孫子その2-日本は兵法を知らなさ過ぎるが故に。
孫子は兵法であるが戦争の為の軍略に非ず人事万般の教訓足り得て現代の経営、外交、国家戦略に役立つ。人間の本質を見据えた、闘争、勝負の哲学ではなかろうか。

12月1日 敵、佚-いっ-すればよくこれを労し、飽けばよくこれを飢えしめ、安んずればよくこれを動かす。 敵が楽していたら疲れさせ、満腹していたら飢えさせ、ジットしていたら工夫して動かす。味方が弱い場合実に有効。相手に絶えず揺さぶりをかけるのが主導権を取る秘訣。
12月2日 その必ず赴くところに出で、その意-おも-わざるところに赴き、千里を行きて労せざるは、無人の地を行けばなり。 必ず敵の来る所で待ち伏せ、と思うと思いもかけぬ所で打撃する。その為に遠道しても疲れない、敵のいない場所を選ぶからだ。他人の考えない事をやる。
12月3日 攻めて必ず取る者は、その守らざるところを攻むればなり。守りて必ず固き者は、その攻めざるところを守ればなり。 要するに必ず勝つ攻め方は、無理するなと云う事。敵の守りの無い所を攻める。敵が攻めてこない処に陣地を敷くのが安全な守り方。戦うのが目的でないという事。
12月4日 微なるかな微なるかな、無形に至る。神-しん-なるかな神なるかな、無声に至る。ゆえによく敵の司命-しめい-をなす。 意図を敵に知られぬ隠し方。微の極限は無形、人間の知恵の及ばぬ事は無声となる。文字、言語より無字、寡黙が神-真理-に近いと私は思う。だから敵の運命を支配-司命できる。
12月5日 進みて禦-ふせ-ぐべからざるは、その虚を衝けばなり。 攻撃は相手の虚を衝くこと。動揺させて先手を取る、本心を掴む、考えを変えさせる等々、誠に日本外交は中国に孫子通りの撹乱をされている。
12月6日 退きて追うべからざるは、速やかにして及ぶべからざればなり。 撤退は早いに限る。企業経営も同様。三十六計逃げるにしかず。
12月7日 我戦いを欲せざれば、地を画してこれを守るも、敵、我と戦うことを得ざるは、その之-ゆ-くところに乖-そむ-けばなり。 戦いたくなければ敵の来る所にいなければよい。肩透かしだ。次元を変更して相手の鋭鋒をかわす。
12月8日 兵を形するはの極みは無形に至る。 理想的な戦闘態勢は無形。開き直りは強い。
12月9日 兵形は水に象-かたど-る。 理想的な戦闘態勢は水のごとし。老子にも、上善は水のごとし。強靭さと柔構造が水。
12月10日 よく敵に因-よ-りて変化し、しかも勝ちを取るは、これを神-しん-という。 相手に従って当方も変化する、そして勝つ。小ざかしさや薄知恵や常識を超えたもの。
12月11日 五行に常勝なく、四時に常位なく、日に短長あり、月に死生あり。 不可欠な本質的物質の五行-木、火、土、金、水は夫々が勝つ循環。この世は絶対的勝者は原理としていないことを示す。変化への対応、柔軟発想、多面思考こそ宇宙の原理に合う。
12月12日 三軍は気を奪うべく、将軍は心を奪うべし。 敵全軍の士気を挫く。敵将は心を動揺させる。この心理作戦が必勝の手だ。日本人は弱いであろうな、今の国民は。
12月13日 迂-う-を以って直となす。 回り道がかえって近道となる。効率のみでは真に迫れぬものがある。
12月14日 患をもって利となす。 災いを利益に。禍を転じて福。不利を絶対と思わぬこと肝要。一病息災か。
12月15日 軍争は利たり、軍争は危たり。軍を挙げて利を争えば及ばず。軍を委-す-てて利を争えば輜重-しちょう-捐-す-てらる。 有利と危険は紙一重。全軍挙げて戦線投入は不測の事態に危険。利点が不利に転換、歴史が示すように自滅の原因となる。
12月16日 諸侯の謀を知らざる者は、予め交わること能わず。 親しい人ほど本心を知る必要。感情と勘定は区別の要あり。国家とて同様。
12月17日 兵は詐をもって立ち、利をもって動き、分合をもって変をなすものなり。 敵を騙すが戦術の基本、有利な状況を造り出すために行動し変化に対応自由自在に兵の集中分散で戦闘に勝つ。日本の外交なんて町人の屁っ放り腰か。
12月18日 その疾-はや-きこと風のごとく、その徐-しず-かなることは林のごとく、侵掠することは火のごとく、動かざることは山のごとく、知りがたきことは陰のごとく、動くことは雷霆-らいてい-のごとし。(風林火山) メリハリの利いた行動の美学。
12月19日 治をもって乱を待ち、静をもって譁-か-を待つ。これ、心を治るものなり。 自分の心は整え相手の心をかき乱す、孫子のいう「心を治める」喧嘩のコツ。
12月20日 師を囲めば必ず闕-か-く。 敵は完全に包囲してはならぬ、どこか開けておく。北朝鮮にもヒントになる。
12月21日 窮寇-きゅうこう-に迫るなかれ。 追い詰められた敵にウカウカ近づいてはならぬ。力の無いものはね。
12月22日 君命も受けざるところあり。 主君の命令でも従うべきでない場合がある。
12月23日 将に五危あり。必死は殺さるべきなり。必生は虜-とりこ-にさるべきなり。忿速-ふんそく-は侮らるべきなり。廉潔は辱しめらるべきなり。愛民は煩さるべきなり。 危ない将。1.必死になりすぎ犬死。2.生に執着し臆病で捕虜となる。3.いらだつ者は敵にも味方にも足元を見透かされる。4.潔癖者は面子にこだわり恥を気にし実を忘れる。5.厳しくなれない人情家。これは将とし持ってはならぬ欠陥なり。敗因はこれに尽きる。
12月24日 これを犯すに利をもってし、告ぐるに害をもってす。 人を動かすには利点の強調がいい、不利な点の強調はすべきでない。ダメ、イケマセンはマイナス効果。
12月25日 卒いまだ親附-しんぷ-せざるにこれを罰すれば服せず。服せざれば用い難きなり。卒すでに親附せるに罰行なわざれば、用うべからざるなり。 部下管理に規律と情の兼ね合いは難しい。信頼関係が無いのに規律だけ厳しくては部下は心服しない。心服していない部下を使うのは難しい。心服しているのに規律厳しくしなければ部下は我儘になる。
12月26日 卒の強くして吏の弱きを弛という。 部下が強く幹部が弱い時に組織は弛緩する。
12月27日 吏の強くして卒の弱きを陥という。 幹部が強く部下が弱い、陥とは軍隊が窮地に落ちるの意。幹部が強いと組織は良く見えるが内容が空洞化している場合がある。
12月28日 卒を視ること嬰児のごとし、故に深渓に赴くべし。卒を視ること愛子のごとし、故にこれとともに死すべし 部下を本当の愛児のように扱う、だからこそ命令とあらば生死を共にと考える。人類が続く限り不変の真理。
12月29日 恒に勝たざる五あり。将を御すれば、勝たず。道を知らざれば、勝たず。将にそむけば、勝たず。間を用いざれば、勝たず。衆を得ざれば勝たず。 必敗の五条件。1.余計な干渉。2.方針不明確。3.指導部の不一致。4.敵の情報無知。5.部下の心服無き。
12月30日 天の時、地の利、人の和、三者得ざれば、勝つといえども殃-わざわい-あり。 三つの基本条件は安定成功の秘訣。
12月31日 盈-えい-は虚に勝つ・・盈は故にこれを盈ならしめ虚は故にこれを虚ならしむ。・・盈虚はたがいに変をなす。・・盈をもって盈に当たるなかれ。・・盈虚は相当たる・・盈なるが故に虚なからしむべし。・・ 積と疎、盈と虚、疾と徐、衆と寡、佚と労と言う対立概念を用いた兵法の思想。盈は充実、虚はカラッポ、強と弱に置換してもいい。双方とも永遠に非ず。陰と陽、善と悪、事物にはすべて二つの面がある。柔軟性は永遠の生の真理。

ご笑覧有難うございました。引用には反省すべき点あるも実に含蓄ある思想。外交は言うに及ばず企業も個人も勉強となる。