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11月-今日の格言・箴言7孫子-日本は兵法を知らなさ過ぎるが故に。

孫子13巻は孫武の著作、「武経七書」の一つ。元来「武」は「戈-ほこ-を止める」こと。征伐の「征」は「正」と通ずる。故に不義を平げて太平を致す事が武であり正である。孫子は兵法であるが、この本義に基づく。要は戦争の為の軍略に非ず人事万般の教訓足り得て現代の経営、外交、国家戦略に役立つ。中国はもとより米国等もこの原理を国家外交に活用している。人間の本質を見据えた、闘争、勝負の哲学ではなかろうか。

11月1日 兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからず。 国民が生きるか死ぬかの問題が戦争である。国家民族の存亡を左右する、最も慎重に考えねばならぬ。経済も戦争だ、日本は兵法を忘れて自滅中か。
11月2日    兵は拙速を聞く。未だ巧みの久しきを睹-み-ず。 戦いは拙劣でも即決が大事。長引いての成功はない。金融問題解決は10年遅い。私は7年前から訴えてきた、嘆かわしい。
11月3日 将とは智・信・仁。・勇・厳なり。 トップの備えなくてはならぬ五ッの徳性。
11月4日 能なるもこれに不能を示せ。 孫子の言う詭道-きどう-の一つ。兵は詭道なり-無理なく戦いに勝つための作戦と言える。能ある鷹は爪を隠す
11月5日 用うるもこれに用いざるを示せ。 詭道の一つ、使っても使わないふりが戦術的価値。やたらに手の内を明かさぬ事。
11月6日 近づくも之に遠ざかるを示し、遠ざかるも之に近づくを示せ。 相手の心理の撹乱は心理的盲点を突くに在る。外交に活用できようが、日本のナイーブとは実は大甘。
11月7日 強ならばこれを避けよ。 相手が自分より強い場合は避けることだ。長いものに巻かれろに非ず。他の方法の勝利を考える。
11月8日 怒らせてこれを乱せ。 酒で乱す、激怒させ乱す、叩いて志や本質を見る。心理作戦だが奮起も狙える。叩いてへこたれるような奴は大した人物に非ず。
11月9日 善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うに非ざるなり。 本当の戦上手は武力を使わないで相手を屈服させる事だ。部下は覇道では所詮限界がある。心服がいいが、中々。
11月10日 敵すればよく之と戦い、少なければよく之を逃れ、若-し-かざればよく之を避く。 降参は全敗講和は半敗逃げるのは未敗。と心得て勝利を狙う。
11月11日 勝を知るに五あり。 勝利の五ッの秘訣。1判断力。2効率的戦闘。3一致団結。4あらゆる危機体制。5リーダーに一任。
11月12日 上下の欲を同じうする者は勝つ。 心の向かう方向を一つにする。共通の目標。
11月13日 将の能にして、君の御せざる者は勝つ。 有能な将を任命したら信頼し細かく干渉しない。
11月14日 勝は知るべくして、為すべからず。 勝利は当方が勝つのではなく敵が負けるように仕向けること。地位なども無理に手に入れようとしない。
11月15日 勝つべからざるは守るなり、勝つべきは攻むるなり。 勝てる条件が揃わなければ専守防衛がいい、勝てる条件があれば攻撃は最大の防御なり。
11月16日 戦いに勝ちて、天下、善なりというは、善の善なるものに非ず。 スタンドフレーはイケナイと云う事か。自然な歩みとは痕跡のないこと。
11月17日 勝兵はまず勝ちて後に戦いを求め、敗兵はまず戦いて後に勝ちを求む。 勝利するように体制を十分整えて開戦するものは成功、開戦してから勝とうとするものは敗れる。日本はこれを忘れて敗戦した。
11月18日 よく兵を用いる者は、道を修めて法を保つ。 道徳的な道でなく原則、目標。法は組織、制度。指導者は明確な目標を掲げて目的達成の方法をキチント建て、規律を守らせて断乎として行うの要あり。
11月19日 勝者の民を戦わしむるや、積水を千仞-せんじん-の渓に決するがごとくなるは、形なり。 深い谷に満々たる水を落下せしめるような勢いで戦闘する。この軍形を可能にするものでなくては勝てぬ。形が勢いに質的変化を齎す。水は最高の形である。水は無形である。兵法の最高は無形にある。
11月20日 衆を治むること、寡を治むるがごとくなるは、分数これなり。 多人数の管理を手際よくするには、幾つかに分割編成するのがいい。
11月21日 兵の加うるところ、鍜-か-をもって卵を投ずるがごとくするは、虚実これなり。 攻めるには石を卵にぶつけるように楽勝せよという、徹底的に安全を見届けてから行動せよと極めて慎重な孫子。一か八かの戦いは絶対しない。
11月22日 およそ戦いは、正をもって合い、奇をもって勝つ。 戦は正攻法を原則とし、状況に応じた奇策で勝つ。基本と応用、静と動、原則と運用の妙だ。
11月23日 よく奇を出-いだ-す者は、窮まりなきこと天地のごとく竭-つ-きざること江河のごとし。 奇とは相手の様子や変化に応じて自由自在に変化する。思考の限りなき柔軟性だ。それは天地宇宙のようだ。最初は定石、そして奇、そして定石に戻ると自在。
11月24日 色は五に過ぎざるも、五色の変は勝-あ-げて観るべからず。味は五に過ぎざるも、五の変は勝げて嘗むべからず。 色の基本-黄・赤・青・白・黒。味は、苦・甘・酸・辛・鹹と五つ。組み合わせで無限大。アイディアも思いつかぬ新しいものが生まれる。
11月25日 戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝-あ-げて窮むべからす る 戦闘の方法は正攻法と奇手の二つ。組み合わせで無数の手段、戦術が生まれる。正の実現には時に奇も必要。奇のみでは策に溺れて自滅する。
11月26日 鷙鳥-しちょう-の撃ちて毀折-きせつ-に至るは、節なり。 猛禽が一撃で獲物の骨を砕き羽を折るのは、一瞬の力を凝縮集中するからだ。力の源泉は緊張。
11月27日 紛々紜紜-ふんぷんうんうん-として闘い乱れて、乱すべからず。渾渾沌沌-こんこんとんとん-として形円にして、敗るべからず。 雑然としているが乱れていない、混沌として終わりも初めもなく、捕らえどころのないのは破る事が難しい。何を考えてるか分からぬ茫洋とした人物がヒント。
11月28日 乱は冶に生じ、怯-きょう-は勇に生じ、弱は強に生ず。 二元論。陰陽原理。相対論。相互に影響して存在。平和の中に混乱、勇気と臆病は紙一重、強いものもそれなりの弱点を持つ。
11月29日 人を選んで勢いに任ぜしむ。 囲気を作る適任者次第で機運は大きく醸され勢いづく。
11月30日 よく戦う者は、人を致して人に致されず。 相手に引き回されないのが戦上手。外交も然り。どんな相手でも自己の主体性を失わす相手を致してやるがいい。

12月も引き続き孫子を掲載します。