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10月--今日の格言・箴言6  小学--人間の基礎学
わが国は礼節の国と言われた。江戸時代は既に識字率は世界のトップであったと言う。武士を中心に四書五経の普及は庶民に及んでいた。明治以降の発展はここに原点がある。その中で小学は人間としての基礎的な分野である。大学はやるが小学をやらない人が多いと故安岡正篤先生は言われた。

10月1日 幼子には常に欺くことなきを視-しめす。 決して子供に嘘を言わない。行いの上で示せ。子供の時の考えは長く続く。犬の躾も最初が肝心。現代は実に犬以上に幼児の躾がない、甘やかし過ぎ
10月2日 身体髪膚-はっぷ-之れを父母に受く。敢えて毀傷-きしょう-せざるは、孝の始めなり。 自分の体は父母から頂いたものである。大事にするのが親孝行の第一歩。
10月3日 上に在りて驕-おご-らざれば、高くとも危うからず。 人の上に立っても謙虚で慎みがあれば身を危くする懸念はない。
10月4日 身は父母の遺体なり。父母の遺体を行うに、敢えて敬せざらんや。 父母の遺体が自分の体である。慎みを持って取り扱わねばならない。
10月5日 尊客の前には犬をも叱っせず。 大事なお客様の前では、犬でも叱りつけない。客に不快を与えぬのが礼儀であり人間としての慎み。部下を客の前で叱るのがいないか。
10月6日 愛すれども其の悪を知り、憎めども其の善を知る。 愛する人でも悪い点をわきまえ、憎んでる人でも長所あらば見落としてはならぬ。
10月7日 小児を教うるには、先ず-あんしょうきょうけい-を要す。 -物静かで落ち着き。-物事をゆるがせにしないで、こまかに注意する。-おごそかで、みだらな振る舞いをしない。-心に慎みを持つこと。
10月8日 子を愛しては、之れに教うるに義方を以ってす。 自分の愛する子には人間の道をしっかり教えるがいい。義方-六順-上に従う六ッの道-君義、臣義、父義、子孝、兄愛、弟愛。君と臣は現代的に解釈したらいい。
10月9日 静以って-せいもって-身を修め、倹以って徳を養う。 静は落ち着き、軽薄でない。倹は、身を慎み、でしゃばらないこと。これが徳を積む基本型。
10月10日 心を治め身を修むるは、飲食男女を以って切要と為す。 精神を治め、一身を修めて行く上で最も大切な事は、日常の飲食を慎み、男女関係を慎む事だ。
10月11日 博く-ひろく-学びて教えず、内にして出-いだ-さず。 博く研究し学ぶが、直ちに人に教えることをしない。深め確認して心の中に薀蓄する工夫を要す。
10月12日 祖宗よりこのかた、徳を積むこと百余年にして、始めて吾れに発す。 先祖伝来、徳を積んできたが、その陰徳の余慶が自分の時代に現れてきた。祖先の有り難さを感じる。徳とはこのようなものらしい。
10月13日 胆は大ならんことを欲して、心は小ならんことを欲す。智は円ならんことを欲して、行いは方ならんことを欲す。 大胆は必要だが、片方で小心で注意深い事が必要。知識は広く円満、行いは廉直が大切。
10月14日 人を責むるの心を以って己れを責めよ。 他人を責めるような心で自分自身を責めるがよい。人を責めるに先立って己をせめて見よ。
10月15日 飽食暖衣、逸居して教うることなければ、即ち禽獣に近し。 食べたいだけ食べ、着たいだけ着てブラブラ暮らす。それだけで人間としての教育がなければ動物と同じ。近年の汚ギャル、汚ボーイが似ている。
10月16日 孝子の深愛ある者は、必ず和気あり。和気ある者は、必ず愉色-ゆしょく-あり。愉色ある者は、必ず婉容-えんよう-あり。 深い愛情ある孝子には、必ず暖かいなごやいだ気分がある。そのような和気あらば愉快な顔が出る。愉快な顔は必ず態度も荒々しいものはなく、やわらいだ姿が出ている。一般人の態度も同様な事がいえる。
10月17日 才性人に過ぐるは畏るるに足らず。惟だ書を読みて尋思推究-じんしすいきゅう-するは、畏るべしと為す。 天性その才が優れている事は必ずしも畏れる必要はない。本を読み深く尋ね研究心の強い人こそ後生畏るべきものである。田中耕一氏に相当
10月18日 学校は礼儀相先んずるの地にして、月々に之れを争わしむるは、殊に教養の道に非ず。 学校は礼儀を先に教えなくては成らぬ。然るに毎月、毎月成績の良し悪しの試験制度は本来の目的と違っている。人間教養の真の道と全く違う。
10月19日 常に四字を持す。-きんきんわかん-と 1.-職務に精励。2.、身のもち方を慎む。3、.同僚との平和。4.、仕事を急がず--世間の失敗の大半は急ぐ事から起きる。(米国式に利益追求を急ぐから企業経営も変になった。)
10月20日 世人皆之れに遺すに危を以ってす。今独り之に遺すに安を以ってす。 世間の人は財産を子供に残すが、之は危険を残すようなものだ。私は子孫に安泰の道、即ち道義を遺す。
10月21日 天知る、神知る、我れ知る、子-し-知る。何ぞ知ることなしと謂うや。 賄賂を贈られようとした時の古代役人の言葉。それに対しての返事。子とは貴君。
10月22日 天下の憂えに先だちて憂え、天下の楽しみに後れて楽しむべし。 士たるものの心得。政治家、国家中枢官僚、大企業トップなどノブレスオブリージュの心得日本は逆転しているから指導者がブザマなのだ。
10月23日 吾れ人に過ぎたるはなし。但だ平生-へいぜい-為す所、未だ嘗て-かって-人に対して言うべからざる者にあらざるのみ。 自分は人より勝れた点はない。平生自分の行っていることで、他人に対して口にすることのできないような後ろ暗い行いが一つもないということだ。
10月24日 字の好からんことを欲するに非ず。即ち此れ是れ学なり。 自分は何も良い字を書こうとしているのではない、字を書く事それ自身が学問であると信じて書いているのだ。
10月25日 理に順-したが-えば即ち裕-ゆたか-に、欲に従えば惟れ危うし。 道理に従っておれば、いつも心は豊かでゆとりがある。欲に従って暮らすと、一見自由だが、実はいつでも危険と隣り合わせだ。事実、実際に必ずそうなって行く。
10月26日 妄語せざるより始めよ。 誠の道に入るには、まず嘘をつかぬ事から始めよ。
10月27日 物薄くして情厚し。 贈物をしたり、人を待遇するのに、物の手厚いことがよいと考えているが、実は品物は薄くとも情の厚いほうが大切。日本人の痛烈反省を要す。
10月28日 倹由り奢に入るは易く、奢由り倹に入るは難し。 倹約生活から贅沢は易いが、一旦贅沢になれるともとの倹約は難しい。人間教育も幼児からの躾肝心。
10月29日 事を作す-なす-は必ず始めに謀る。言を出だすは必ず行ないを顧みる。 最初に仕事の事は綿密に研究し企画すべき。言葉を出すなら必ず実行出きるか反省しなくてはならぬ。
10月30日 その悪を攻めて人の悪を攻むることなかれ。 自分の悪い点こそ責めるがいい。人の欠点は責めてはならぬ。
10月31日 敬、怠に勝てば吉なり。怠、敬に勝てば滅ぶ。 慎みの心が怠の心に勝てば成功、反対に怠が心の慎みに勝つとその結果は自滅だ。