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今日の格言・箴言
4  礼記-らいき
礼記は五経の一つ。禮に関する理論実践を記録したものである。

7月9日 敬せざること母れ。 人を欺かず、自らも欺かぬ、それが敬。何事にも慎みを。
7月10日 礼儀は人の大端-だいたんなり。 礼儀は人間の最も大切にすべきもの。動物と違う特徴。
7月11日 礼の人に於けるや、猶お酒の蘖-けつ-あるがごとし。 礼は人間社会を一体化し味をつける役割。酒を醸す麹のようなもの。
7月12日 至敬は文-あや-なし。 最高の敬に達すれば、そこには文や飾りはない。
7月13日 礼は夫婦を謹むに始まる。 夫婦の日常の謹みこそ礼の始まり。人間関係の中で最も親密な夫婦は礼を忘れやすい。
7月14日 大信は約せず。 真実信義は約束を守って守られるという薄っぺらなものに非ず。
7月15日 事に臨みて屡夂断ずるは勇なり。 決断には真の勇気が必要。
7月16日 内言は出ださず、外言は入れず。 家庭の事は無闇に外に話さない。職業上の事は家庭に持ち込みかれこれ言わない。
7月17日 利を見て譲るは義なり。 利害にかかわれば、先ず人に譲るのが義である。
7月18日 礼は君の大柄-たいへい-なり。 礼は国や組織を治めるトップの最も大切な道。柄は器物の柄-え-、柄により器物はよく扱える。トップの施策を動かすのは礼である。
7月19日 人を治むるの道は、礼より急なるはなし。 政治とか組織の運営で第一に守るべきは礼である。
7月20日 忠信は礼の元なり。義理は礼の文-あやなり。 忠信-まごころが礼の基本、相手への義理は礼の文-あや-、礼は内なる心と外に現れる文が相応じて完成する。
7月21日 公事は私に議せず。 公の事は公の場所で論ずべき。現代は政治も企業もこれを忘れている。
7月22日 名は人治-じんち-の大なるものなり。 呼称は人治の大切なもの。呼び方を誤って問題を生ずる事が多い。
7月23日 蜜を窺わず。 相手が秘密に保ちたい事柄は深追いしない。隠したい古傷に触れるべきでない。
7月24日 清明、躬-み-に在れば、気志神の如し。 身に清らかで明らかな心を保てば神のような働きをする。大いなる仕事には欠かせない。
7月25日 旧故を云わず。 古い知人の過去の過失は本人にも他人にも語るべきでない。
7月26日 教学を先とす。 何より教育、学問を真っ先にする。それが国家経営、個人の身を修めるにも重要。
7月27日 師厳にして然る後に道尊-たっとし。 師は行い厳粛にして威厳が備わり初めて教えが尊くなる。有言に実行が伴わないと反発となり師たり得ない。上司にも通ずる。
7月28日 師を選ぶは慎まざるべからず。 師の選択は慎重に、誤った師を選べは道も人生も誤る。
7月29日 辞-ことば-を安定にせよ。 心の落ち着きが心の平静をもたらし言葉を常に安定させる。相手に対する安定した言葉も実に大切。司馬氏は云った。よい言葉は人生のフリーパス券だと、実体験でも全く同感。
7月30日 奢りは長ずべからず、欲は従-ほしいまま-にすべからず。 傲慢な態度や心を増長して欲望を満喫しては身が破滅するとは不易の法則だ。真紀子の化けの皮が剥がれるのは時間の問題と私は大臣就任2ヶ月後から見ていた。共通点あり。
7月31日 志は満たしむべからず。 凡てに完全満足するまで求めてはならぬ。
8月1日 難に臨んでは苟-いやしく-も免れんこと母-なかれ。 困難は堂々と真正面から腰を入れて取り組めば必ず解決するのは私の体験からも言える。山より大きいイノシシは出ぬ天は落ちてこない。
8月2日
善は即ち君を称し、過ちは即ち己を称するときは、即ち民忠を作す。-たみちゅうをおこす。
この態度は、感化が部下、国民に及び忠義の心が起きる。称すとは讃える事。
8月3日 尊客の前には、犬をも叱っせず。 部下や従業員を人前で激しい叱責は決してなすべきでない。元々は召使いなどが対象であろうが。人に恨みを残してはならぬ。
8月4日 楽しみは極むべからず。 快楽は極限まで求めない、その極には倦怠と絶望のみ控えている。
8月5日 愛して而も其の悪を知り、憎んで而も其の善を知る。 愛している相手でもその悪を見抜き、憎む人でも行為に善あらば認めなくてはならない。愛憎の感情で判断を間違えない。
8月6日 礼は節を踰えず。 礼儀も節度を越えぬ事が大切。度を過ぎた礼は諂いに近く時に失礼となる。
8月7日 来たり学ぶを聞けども、往きて教うるを聞かず。 教えを受ける人は進んで来て学ぶのが礼儀、こちらから行きて教えるとは聞いていない。お金で自宅に教師を呼ぶなど学問の邪道
8月8日 人の歓を尽くさず、人の忠を尽くさず、以って交わりを全うす。 人の好意も忠誠もトコトン受けてはならない。遠慮の態度が友情を永続させる。
8月9日 情を直くして経-ただ-ちに行うある者は、戎狄-じゅうてき-の道なり。 感情の赴くままに直ちに実行するのは野蛮人のする事で修養人のすべき事ではない。
8月10日 官正しきときは国治まる。 すべての官僚がなすべき職務を正しく行えば国は立派に治まる。日本の現状はこの反対--政治を含む。
8月11日 終始を念-おもい-て学に典-つね-にす。 学問は本末前後を考えて専念すべきもの。
8月12日 仁は義の本なり。 仁慈は義の根本、仁を忘れて義を行えば人情にもとる。
8月13日 男は内を言わず、女は外を云わず。 男女の職分だが、現代は適用が至難。併し、真理である。
8月14日 教学を先とす。 教育、学問こそ国家運営、修身のためにも重要。
8月15日 おしうるは学ぶの半ばたり。 人に教えるとは、半分は自分が学ぶこと。
8月16日 之を叩くに小なる者を以ってするときは、即ち小さく鳴り、之を叩くに大なる者を以ってするときは、即ちきく鳴る。 師は大きな質問をし大きな鐘を叩く者の来るのを待つ。
8月17日 教学は相長す。--あいちょうず。 教える事と学ぶ事は相互とも勉強だ。
8月18日 物に動じて動く、故に声に現れる。 心はものに感動する。だから声に表れる。
8月19日 礼は淫を綴--とど-むる所以なり。 節度を守るのが礼、度の過ぎた淫風を抑制する力がある。
8月20日 一張一弛-いっちょういっし-は文武の道なり。 生活にも緊張と寛ぎが必要。緊張のみでは永続性あるいい仕事は出来ぬ。
8月21日 身は父母の遺体なり。父母の遺体を行う、敢えて敬せざらんや。 我が体は父母の残された体、その体で行動する我は自分のからだを敬わないでおられようか。
8月22日 諌めて逆らわず。 父母過ちあらばの前提。父母に対する子の道。どおであろうか、現代では。
8月23日 父母いますときは、老を称せず。孔子の言葉 父母存命中は、父母の面前で年をとったと言う言葉を用いない。父母に心細さを感じさせるからである。   
8月24日 瑕-か-は瑜-ゆ-をおおわず、瑜は瑕をおおわず。 美徳と過失双方ありのままに示して隠さない。それが忠実というものだ。
8月25日 小人貧しければ期-ここに約し、富めば期に驕る。 小人は貧しい時はセカセカ、富裕となると俄かにおごる。心に養いがないと貧富における態度が異なる。
8月26日 八十の者は五豆、九十の者は六豆なるは、老を養うことを明らかにする所以なり。 年齢に従いご馳走を変えるのが養老の精神。豆は高杯。
8月27日 差-たが-うこともし豪釐-ごうり-ならば、繆-あやまる-に千里を以てす。 最初の毛筋一本程の小さいものでも、後になると千里の幅の違いとなる。過ちははじめを慎まねばならぬ。
8月28日 敬して礼に中-あた-らざる、之を野-や-と謂う。 孔子 心に慎みが深くても、その振る舞いが節度に欠け、礼に適っても、ただの野暮。容貌態度が慎み深くても礼に外れていれば、オベツカという事になる。
8月29日 口恵-けいにして実-まこと-至らざるときは、怨さい其の身に及ぶ。 恵み深い事を言っても実行が伴わないと禍が及ぶ。
8月30日 小人は水に溺れ、君子は口に溺れ、大人は民に溺る。 民は水、役人は口、為政者は治世を誤る。人夫々の立場で身を慎むの要。
8月31日 礼儀の始めは、容態を正しくし、顔色を斎え-ととのえ-辞令を順にするに在り。
先ず自分の姿勢や態度を正しくし、顔色をととのえ、言葉を順当にする。態度、言語、これを慎むのが礼儀の最初である。効果覿面の金言と思う。

予告--9月は政治に関してです。ご閲覧を御願い申し上げます。 
       平成14年8月30日  徳永圀典