7月1日 | 商い三年。 |
どんな商売も始めてから三年くらい待たねば利益までに至らぬ。 |
7月2日 | 商い上手仕入れ下手。 | 売るのが上手でも仕入れが下手で利益の上がらぬ事の謂い。 |
7月3日 | 商人は矢の下くぐれ。 | 危険を冒さねば大きい利は生まれぬ。 |
7月4日 | 商人に系図なし。 | 商人-サラリーマンの出世は家柄でなく手腕による。 |
7月5日 | 商いは正直第一。 | 正直を旨として顧客の信用を得るにある。市場経済と大違い。 |
7月6日 | 商いは門門-かどかど。 | 相手を見て、それに応じた品物を売るのが商のコツ。 |
7月7日 | 商人と屏風は曲がらねば世に立たず。 | 折り曲げねば立たぬ屏風と同じ、商人も感情を曲げねば成功しない。 |
7月8日 | 商人は売り先買い先は父母兄弟の如くせよ。 | 商人は自分の取引先は肉親の如く大切に。 |
7月9日 | 商人の空値。 | 商人のつける値は駆け引きが多いので信用しがたいと言う事。 |
7月10日 | 商いは草の種。 | 商売は工夫次第で種類は幾らでもふやせる。 |
7月11日 | 商人の嘘は神様もお許し。 | 利益をあげる都合上つく嘘はやむを得ないもの。 |
7月12日 | 商人は損していつか倉が建つ。 | 商人は儲からぬ損したと言いながら何時の間にか金持ちになる。 |
7月13日 | 商人は損と元値で暮らす。 | いつも損と言いながら実は儲けている。 |
7月14日 | 商人の不本意。 | 不本意勝ちでも我慢が商人。商人は現代サラリーマン。 |
7月15日 | 商いは数でこなせ。 | 薄利多売。商売のコツ。 |
7月16日 | 商いは吉相。 | ビジネスは愛想のよい態度が第一。サプライヤーサイドの論理は過去の遺物。 |
7月17日 | 商売は道によりて賢し。 | 専門分野によく通ずる。現代ビジネスマンは更に専門化を要する。 |
7月18日 | 少利は大利の残い-そこない。 | 少しばかりの利益に目をくらませないのが商人の道--企業、人間の道でもある。 |
7月19日 | 利食い千人力。 | 最高値での売却狙いは、利子負担で結局損失を招く事多し。 |
7月20日 | 理屈商人、金儲けず。 |
理屈ばかりの商人は金儲けが下手。学者も然り。 |
7月21日 | 商人は筋目より金。 | 商人や町人は筋を重んずるより財力が大事。 |
7月22日 | 買いたき物は高くと買え、売りたき物は安くと売れ。 | 必要なれば高価でも買え、売りたいものは不満でも売ったほうが結局は得。 |
7月23日 | 返す阿呆に返さぬ阿呆。 | 貸したものは帰ってこないと心得るべきと云う事。 |
7月24日 | 小豆相場やる奴を婿にとるな。 | 小豆相場は変動が激しく危険で、いつ大損するか分からない。 |
7月25日 | もうはまだなり、まだはもうなり。 | 相場の格言の一つ。相場には予想できぬ何かがあるものだ。 |
7月26日 | 値切りて高買い。 | 余り値切れば粗悪品とか結果的に高い買い物となる。安物買いの銭失い。 |
7月27日 | ただより高いものはない。 | 無償ものは無理を頼まれたり返礼とか結果的に高くつく。商売だけではない金言。 |
7月28日 | 押し目待ちに押し目なし。 | 買うタイミングを外すことが多い。株取引の格言。 |
7月29日 | 争うものは中より取れ。 | 争っていると第三者の手にいる事多し。中を取る、そうした決着がよい。 |
7月30日 | 石臼切らんより茶臼切れ。 | 同じ労力なら価値の高いものを多く作れ。 |
7月31日 | 人を利する事は実に己を利する根基なり。 | 人を利するは結局自分も人から利益を与えれる原因となる。 |
これを持ちまして7月の商を終了します。中々、シンドイものでした。ご閲覧有難うございました。8月からは、財産と富に関してご披露したいと存じます。引き続きのご高覧を心から御願い申し上げます。 徳永圀典拝