亡国の地鳴りが聞こえる    平成13年2月4日 日本海新聞潮流に寄稿

国破れて山河あり。城春にして草木深し。時に感じては花にも涙をそそぎ別れを恨んでは鳥にも心を驚かす。杜甫の春望詩だ。国は破れ民は離散した、ただ自然の山河のみは依然として昔のままだと首都長安を見ての感慨であろう。
昭和20年日本人はそのような感慨にふけった。あれから60年になんなんとする。日本の山河は毀損し昔日の面影は無くなりつつある。民の変貌はもっと著しい。国が敗れて60年、日本人は一体どおなったのか。


@民の精神倫理の中心たる道義教育は廃れ、宗教は物質的となり日常倫理心の支えと程遠い。鎌倉の祖師のように今こそ進出し衆生善導に立ち上がれないものか。日本のカミ様は政治的に葬り去られたやに見える。現世倫理の中心にいる筈の法曹、検察は身内に情報を流し、判事は買春をし、弁護士はお金の為に共犯する。警察官は被疑者の女性を買春する、本部長は監察と麻雀をして誘拐犯を見向きもしない。少年を教導する校長は未成年を買春、教頭は金庫のカネを盗む。教師は生徒とソープ見学し、テレクラに狂い少女殺人をやる。教育の政治的中立を公然と破り、国歌を無視し国旗を踏みつける青少年を育てた社会党や日教組。外務官僚は教科書に他国を巻き込む。自治労役員は労働代表でありながら労働者のカネでゴルフ場を建設し不良債権を作り横領し脱税し裏金も作る。外人強盗が無法地帯のように東京に頻発し世相は極悪化している。日々、このようなニュースばかりだ。テレビはそれを得々と垂れ流して金儲けし近隣国に肩入れする。日本の精神倫理は瓦解したのか。


A政治、国敗れて60年、国造りの根幹たる憲法は欠陥を抱えたままで改正の小田原評定も進まない。政治は厳しさに欠け誇りを失った与野党議員達は手ぬるい国家意識のままで中国の恫喝に怯む。日本国籍非保有者への参政権付与など国を売るものだ。国家の威信は落ち国益損傷に悲哀を覚える。


B外務官僚、公金を詐取するは中国とは癒着して国益を放棄。中、韓国、ロシアとは歪んだ国交となっておりこれに一部大マスメディアが噛んでいる。

C経済もマネーは充分あったのにここ10年間、統治能力欠如によりマネーは遂に破綻し未曾有の経済危機に直面、為に一銀行経営者の能力を遥かに越えた事態となった。被害者は国民そして企業である。それなのに政治の何たる緊張感の欠如か、何たる楽観か。隗より始めよ、議員半減か歳費の大幅削減で国民に範を示すべきだ。

D未来を予測する。人口は2004年がピークで以後減少に転ずる。開国以来かってない事態の影響は長期的且つ悲劇的要素を孕んでいる

E食糧は米を除き外国依存率が高く自給自足は容易でない。少子化は農業、林業の崩壊と同義語だ。食糧は米国、中国に急所を握られている。21世紀末の世界人口は現在の62億から109億に増加する。これでは世界は食べられない。食糧問題は国家間の闘争要因となるのは必至だ。わが国は何らの危機意識も長期的対策もなさそうだ。

F製造業で戦後日本は成功したが短期的観点のみでドンドン中国に移転している。数年先、貿易収支が構造的減少に転じたら日本は決定的に転落する。


G国民精神堅牢なれば一時の困窮は懸念ないが日本のアイデンティティは戦後は消滅したに等しく伝統精神は危殆に瀕し国家の背骨は溶けつつある。

H青少年は自国語もまともに書けないほど国語力が低下している。マスメディアは家庭内暴力をドメステック・バイオレンスという、なぜだ。外国語が氾濫し青少年は日本語もロクに書けぬ無国籍民になりつつある。21世紀は文明の衝突というに日本は既に自己を喪失したのか。

I狂牛病、英国は日本に大丈夫かと言ったが行政は国民を守らず業界を守る、本末転倒だ。草食動物に肉骨を食べさせるとは神を冒涜するもので報いは必ずやってくる。特殊法人は税金垂れ流し機関に近いが議員も官僚も本気で挑まない。どこかおかしい日本。否、悪い所は明白だ。おかしいのはノイズイなマイノリティだ。サイレントなマジョリティはおかしくないが分かっていながら声をあげない。

J戦後早々は大学生が純粋でかかる社会情勢には立ち上がった。戦前は国を思う青年将校が反乱さえ起こした。今の学生諸君や若い人は小成に甘んじて立つ気力気概すら消滅したらしい。

K私は徒に煽っているのではない。このまま推移せんか、惨憺たる日本は目睫の間にある。経済は今年が剣が峰となるが物質とか金銭より大切な日本人としての魂を復活させねば国は崩壊に向かう。戦後50年は歴史の泡沫にすぎない、2千年の先祖を軽んずれば歴史に罰されよう。私には亡国の地鳴りとして聞こえる。                   鳥取木鶏研究会 代表 徳永圀典