徳永圀典のアングロサクソン研究2. アングロサクソン研究1.

1日 アメリカ原住民の悲劇

インディアンは文字を持たなかった、従って白人の記録しかないので多くの悲劇は闇のままらしい。アングロサクソンと原住民インディアンの抗争は続きニューヨーク北部の広大な領土をアングロサクソンに奪われて決着しインディアンは滅亡した。それはアメリカ独立後である。人類史的には、彼らアングロサクソンに侵略を語る資格は毛頭無いと知るべきだ。

2日

アメリカの自由とは

ヨーロッパがまだ絶対王政の時代であり、1787年に「人間の自由な権利」を標榜して独立戦争が起こったことは世界的に画期的な出来事である。民主主義の歴史的記念塔であろう。然し、南部諸州では依然として奴隷制が温存されている。そしてこの黒人問題は、同時に人種問題であり、先の大戦の原因でもある、日本人排斥の人種問題と同様であり「自由と平等」とはアングロサクソン或は白人のみの権利という見解をとらざるをえない。これは明白な事実であり日本人は差別され、これが先の大戦の遠因である。

3日

地球規模で鳥瞰、俯瞰して見てアングロ・サクソンの領土拡大の凄まじさ、これはまさしく侵略という言葉以外は使えまい。自由を旗印とするアングロ・アメリカンの領土拡大を下記に列記する。勿論ヨーロッパからの割譲・購入もある。侵略、略奪された土着民の自由を如何に考えるのか。彼ら欧米人の文明を渇仰し賛美する日本人はこれを忘れてはなるまい。アングロサクソンの自由のみで人間の自由ではない彼らの独善である。

4日 アメリカ大陸での領土拡大

1783年―英国からミシシッピー
1803年―フランスからルイジアナ
1819年―スペインからフロリダ
1845年―テキサスを併合というがペテンで獲得
1846年―オレゴン併合
1848年―カリフォルニアをメキシコから陰謀で。
1867年―ロシアよりアラスカを

5日 海外への領土拡大 1898年―スペインとの戦争で太平洋のハワイからフィリピンへの数多くの太平洋の島嶼を獲得。これらは侵略でなくして、なんと言うのであろうか。このアメリカの太平洋諸島争奪をカムフラージュする言葉が、「太平洋戦争」なのである。恰も日本の軍国主義のように響かせる言葉と同義語にしてはならない。日本人は「先の大戦」とか「大東亜戦争」と言うべきなのである。
6日

西部開拓という言葉の魔術

日本人の印象では、西部開拓というと、原野を開墾し、強盗にあえば馬に乗り拳銃でやっつけるような正義の印象を抱いているのではないか。当時アメリカ人は「マニフェスト・ディスティニー」と言った。アメリカ人には「明白な膨張の運命」が神から与えられたという、西部開拓、この言葉は実におかしいのだが、彼らの侵略を正当化した言葉である。インディアンも英国人のインド人同様に、彼らを人間扱いされてはいない。西部開拓というよりは、西部侵略が正しい内容であろう。人を欺くのが巧いアングロサクソン!世界中が騙されている。

7日 第一次世界大戦と米国 独り占めの経済大繁栄はアメリカをして大軍事国家にしあげた。重要産業をすべて抑えて世界トップに立った。アメリカは海外へ工場進出を開始した。こうして世界のアメリカ化が確実に拡大することとなる。この時代には他国を植民地化できないものとなっていたが、経済的に他国を植民地化して行く実態を認めざるを得まい。
8日 ユダヤ人とアングロサクソン アメリカの発展にユダヤ人は大変貢献している。中世にはスペインにユダヤ人が多く住んでいたが、15世紀末スペインがカトリック教国となりユダヤ人は追放された。ポルトガルに避難したが、ここでも追放された。商業・金融に強いユダヤはオランダの発展に貢献しアムステルダムはヨーロッパの金融中心地になった。富裕のユダヤ人は特権階級としてドイツ・英国で処遇もされた。
9日 アメリカとユダヤ人

スペインから追放されたユダヤ人が最初である。1650年から1800年には1万人いたらしい、南北戦争の頃ドイツ系のユダヤ人が渡米し主として事業を始めた。今日のデパートの主要なものはドイツ系である。勤勉で優秀な彼らはアメリカ化しアメリカの発展に貢献した。

10日 ワスプと呼ばれるアメリカの支配階級はホワイト・アングロサクソン・プロテスタントである。このホワイトの中にユダヤ人の成功者が入る。悪名高いジョージ・ソロスはユダヤだが、彼らは本質的には勤勉で優秀で商才に長け特に金融に強くウオールストリートを支えている。聞く処では基本的には質素な生活ぶり。
11日 アメリカと中東との関わり

ヨーロッパの経済停滞は中世に於ける森林伐採に起因するエネルギー不足である。石炭より便利な石油がアメリカで発見され、これが多様化の始まりで、アメリカの発展は自動車の出現と同時進行である。不安視された頃に中東地域で大油田がアメリカと英国により続々と発見され発掘された。この資源の優先的確保が戦略的課題となり基本戦略となり今日に至る。然し他国だけに彼らも悩まされ続けてきたし現在も続いている。

12日 米英の強敵ソ連

多分アングロサクソンが初めて敵対する強大な国はソ連であったのではないか。白人同士ではあるが、特異な社会主義体制である。もしかしたら「社会主義のほうが発展するかもしれない」という疑心暗鬼が世界に存在していた。アングロサクソン得意の封じ込めは眼中になかった時代である。それが冷戦という歴史の過程を必要としたのではなかろうか。

13日 パックスアメリカーナ 彼らの長期戦略は卓抜したものがあるのを認めざるをえない。冷戦終結後、彼らは1980年代後半、ベルリンの壁崩壊後の21世紀を見据えた戦略で世界再構築に動いていたのではないか。その最初のターゲットは「日本経済弱体化」であろう。
14日

米国のレーガン大統領の「ソ連は悪の枢軸」発言で軍事力大増強がソ連を崩壊の端緒につかしめた。ブッシュの「悪の枢軸3ヶ国」はレーガンを想起したのかもしれない。レーガンは大成功であった、それは歴史のタイミングとマッチしたから成功した。今回のイラクは単純ではなさそうだ。

15日 1989123,マルタ沖で米ソ首脳会談後、ソ連のスポークスマンは「冷戦は本日をもつて終結」と宣言した。これらよりソ連圏は一挙に雪崩をうつように瓦解が始まった。ソ連はアメリカの軍門に下った。社会主義の実験は終わり、そのイデオロギーは人間を幸福にしない事が明白となった。ここで世界はダントツの実力を持つアングロ・アメリカが世界の覇権を把握した。
16日 アングロ・アメリカの世界覇権 1. ドル本位制の確立
2. 情報通信制覇―インターネットと英語
3. 先端産業の覇権獲得―種子の所有権―遺伝子組み換え技術覇権
4. 金融メッカの地位確立―海外投資による企業支配力圧倒優位世界唯一の軍事大国―対抗出来ない力
17日 財政赤字

巨大な財政・貿易赤字だが、パックスアメリカーナによるドル本位制では、財政赤字などないと言えるかもしれない。日本の巨大黒字は米国に還流して再び日本の株式購入資金と化している。日本など自分のマネーで買収されていると言える。米国のクビキを脱する方法はアメリカの覇権離脱しかないが現段階での脱出方法は存在しない。

18日 金融トリックとアングロサクソン 1.米国式金融は虚業である。実業の製造業で大成した日本の懐はアメリカのマネーというトリックで見事に吸い上げられて、日本はマネー戦争で完膚なきまでに巨額の資産を失った。
19日 2.アジア諸国を襲った金融危機は、元来為政者達の経済運営のミスが契機だが、その隙を巧みに投機資金で株の下落を加速し儲けてしまう。ドル紙幣で工場や銀行を格安で手に入れてしまう。金融とはまさに一種のトリックであり実体経済を翻弄してしう。私はマネーの世界は虚業でありアングロサクソンがそれに長けていると思っている。世界的なネット網がなくては成功すまい。彼らにはそれがある。人種差別をオープンにできない今日、5百年間の世界の白人エスタブリッシュメントにこの種のそれがあると確信する。
20日 世界を支配するアングロサクソン1. 大モンゴル帝国は世界支配を目指した。始祖は「チンギス・ハーン」である。ヨーロッパはハーンの死で征服を免れた。だが、東西を結ぶ「草原の道」を支配しここから世界史の幕が切って落とされた。これに関係の深い中国・ロシア・インド・そしてユーラシア大陸の端にある島国、日本と英国。これらを勘案すると大モンゴルの遺志を引き継いだのはアングロサクソンと言える。
21日 世界を支配するアングロサクソン2 「強烈な個性」彼らは他国と合意する場合に、不利は絶対に無いとすら思える。「軍事力」「経済力」「自己革新」を常に前進させ、ナンバーワン政策を徹底して追及する民族性がある。
22日

友好的な国家・民族には極めて頼もしいが、敵と看做したら容赦の無い妥協の無さを持つ。「もたれあい」の日本との違いは鮮明である。日本民族は世界のリーダー足り得ないのは明白である。

23日

北米大陸では「アングロサクソンに非ずんば人に非ず、と原住民インディアンを人間扱いしないできた事実は日本人にはとても出来ないことである。英国のインドでの植民地政策とて同様である。これらの事実を直視して、この民族と如何にして友好的だが、侮られないかが我々の至上命題である。わが国は、これを果たして真剣に検討し対策してきたのであろうか、甚だ疑問である。大学の科目として研究してよいテーマであろう。

24日

アメリカの対中国への態度を見ると、アメリカが最も気を使って外交交渉をしているなと痛感する。中国は大国でアメリカの未来の敵対国たり得るからかも知れない。

25日

アメリカの大衆の「人権」に対する意識は強烈である。その中国がこのアメリカの意志を無視する方向に動けば、その時はアメリカは中国への融資を停止、世界銀行への圧力、WTO加盟阻止と圧力をかけるであろう。決して妥協することのないアングロ・アメリカンであろう。

26日

ロシアは冷戦後アメリカの軍門に下った。戦略的パートナーシップの関係を構築した、これは白人との同根意識があるからであろう。中国もロシアとアメリカ同様なものを結びたいのであろうが、決してそこまで進まない。アメリカはインド、そして中国の下腹のアフガン諸国と親密化した。ロシアの旧衛星諸国すら友好的となりロシアを怯えさせている。予断は許さないが、中国は大包囲網で囲まれつつあるとすら思える。アングロ・アメリカンは戦略的な未来を思い描いていると確信する。日本など到底真似の出来ないものがある。

27日

誇り高い、中華思想の中国、香港返還で中世からの忌まわしい植民地から完全に解放されて今や昇竜の感がある。海洋国家アメリカと何れ敵対的な関係に進むのは必然と私は見る。現在では、アメリカあってこその中国の経済発展であるが、最も目障りな国はアメリカでもあろう。

28日 今後の米中関係は、かなりの先であろうが、21世紀の前半では衝突が起こり得る。アメリカも何らかの戦略を持っているであろう事は過去のこのアメリカの歴史から自明である。
29日

日本は英国同様に海洋国家である。アメリカも海洋国家である。日本は過去2千年、海洋国家として中国という大国の混乱に朝鮮半島のように影響を受けないで独自性を保持し大国・中国と対等であった。日本は決して中国に隷属してはならぬ、靖国問題を執拗に続けて日本を戦略的に配下に置こうとしているのを絶対に忘れてはならぬ。台湾も海洋国家であり、提携して大国・中国に靡かぬようにするのが日本国益に叶う。

30日 結論

縷々2ヶ月に亘り、アングロサクソンをテーマにして自問自答をしてきた結論。
@当面はこのアングロサクソンと敵対してはならない。中国の厚顔な影響から遠ざかる必要もある。然し、アメリカは本質的に慈悲を他国に持ち合わせないと見る。そして、イラク問題は文明の対立に世界を持ち込んだと見る。一方、アメリカは経済的に凋落の危険もあり得る。
A石油とイスラムは統合する可能性もあり得る。難しい未来が予見される。当面は日本はアングロサクソンを背景に中国の影響を最低限なものにしなくては呑み込まれてしまう、それを最も危惧する。
B未来に米中覇権戦争さえ有り得る。中国の未来は破綻含みでもある。現実的にはアングロサクソンを味方としつつ、従属的でなく、他の文明との協調をも図りつつ、主体性と自尊のある国民、国家へと進むべき道を真剣に命懸けで考えなくてはならないと信ずる。
Cそれには一日も早く憲法を改正して自主独立の尊厳ある国とし他国の覇権にたじろがないよう、あらゆる面でしておかなくてはならない。
D聖徳太子の中国皇帝への文書、「日出ずる国、書を日没する国に捧ぐ、恙無きや」。この精神こそ極めて肝要である。