虚無僧(こむそう) 

虚無僧も出て夜ざくらの華やかに  臼井喜之介 

虚無僧の総元締とも言うべきなのが明暗寺であり東福寺内にある。虚無僧になるには、正式にはこの明暗寺の許の状が必要であった。

嵐山、八瀬、円山などの夜ざくらで、虚無僧かが笛を吹いて流しているのを見たことがある。 

聖護院や醍醐寺は、修験者山伏の本山として支配している。

聖護院は天台宗寺門派の大本山、醍醐寺は真言宗古義派の大本山という。両者は悉く対立したと言うが現在もそうであろうか。 

聖護院派の山伏は、数百名が行列にて、法螺(ほら)を吹きつつ駅に行き、熊野から大峯山上ヶ岳へ登り吉野へ下る 

対する醍醐寺派吉野から大峯へ入り熊野へ出るので「逆峯」と言うらしい。

私は大峯奥駆をしたのだが、この「逆峰」をしたことになる。

奈良時代初め、(えんの)行者(ぎょうじゃ)により始められた山伏修験道が現在もこうした形で生き続けている。

岫雲斎圀典