鳥取県知事「片山善博氏」

最初にお断りしておく。私は、基本的には片山知事を当初から大いに賞賛している。それは、平成16年3月3日、日本海新聞の潮流コラムに1600文字を費やして「活性化のモデルは」として鳥取県知事のことを書いている。片山知事を賞賛しているのである。然し、その前、一度、例の「東芝製品不買」なる発言をされたので、これは、いけないとして、日本海新聞に投稿した。本ホームページには掲載していなかったので、ここに示す。
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平成15年6月15日付 日本海新聞 「心中に兆すか権力の腐敗」

片山知事は素晴らしい方だと就任直後から私は喝破していた。本陣山で気軽に話もできるし、先日も「はくと号」にグリーン車でなく一般車に夫婦で並んでおられた。保守的な鳥取県を見事に現代的に、知的にリードしておられる。討論会でも、片山知事には生活者、消費者としての目線が確かに普通の公務員より優れていると確信した。それだけに、今回の発言は残念である。

しかし、私は今回の発言は小疵(しょうひ)と見て致命的問題としない。東芝の会長は会社を代表している利害関係者ではない、有識者のはずである。某大臣の言うように、これでは民間出身者は発言できないし参加を躊躇する。
公的関係者だけでは活力も発想も偏向する。市場経済感覚が必要な時代に民間人を阻害しては進まない。
今回の発言は明白に知事には自覚がないであろうが、権力は腐敗するの類いが心の中に兆しているのであろう。あれだけトップとして自由に言われるお方だから県民も遠慮なく発言して切磋琢磨したらいい。もし片山氏の幕賓(ばくひん)が私ならこう言う。「片山君、少し言いすぎだよ、トップだからな、鳥取産品の不買運動を誘発するよ」。
自重されて素晴らしい県政をお願いしたいのであります。(鳥取市 徳永圀典 72才 元銀行役員)
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さて、今回の「人権法案」問題である。
@.与党の政権党である自民党の有力代議士、古賀誠氏が部会長を勤める委員会で、若手議員の猛烈な反対もあり、先の国会で断念した曰くつきの法案である。外国人にも委員をさせるような法案で、裁判なしで家宅捜査できるような法案であった。極端に言えば、北朝鮮の工作員さえ委員になれ得るとか聞いた。これを自民党が阻止したのは日本国民として当然のことであり、ここで自民党は国益の良識を発揮した。参政権問題共々国益に重大な問題があるからである。
なぜ、こんな法案が出でくるのか、不可解だが、見当はつくが、マスメディアも本気で採りあげない、実に妙な日本のメディアである。極めて政治的な匂いがする。

A.今回の鳥取県の法案成立は、議員提案となつている、議員連中も実にいい加減で驚いた、かかる重大法案をあっという間に成立させた。これは、大方の県民の意識を無視したものだが、知事サイドの根回しもあったと聞いた。実質は知事の提案によるものだと県民の大方は認識しているであろう。法律の専門知識もない議員にこのような法案が出来るとは思わない。実に、甘い判断しかできない議員連中である。真偽の程は不明だが、法務局事務局関係が関与しているのではないかとのネットもあった。

B私は、最近、インターネットで偶然に国民新聞を知ったのだが、真偽の程は知らぬが、下記のような記事があり愕然とした。
-----日本人拉致問題が暗礁に乗り上げ、核開発問題が再燃し北朝鮮 への国際世論の批判が高まる中にも拘らず、 片山善博 鳥取県知事 は朝鮮対外文化連絡協議会の招きで1月30日から北朝鮮を訪問 した。
訪朝前の23日には、東京の朝鮮総連中央本部を表敬訪問、 徐萬述議長、許宗萬責任副議長と歓談し、地方自治体の長として日朝友好に力を尽くしたいと 阿る始末。  環日本海地域との交流を積極的に進めている同県だが、片山知事 の他、  元山市と友好都市提携を結ぶ境港市の黒見哲夫市長、  足立統一郎・境港商工会議所会頭、県会議員ら14人 が訪朝した。云々。----

Cこれらの事実と趣旨は、県民に明白に説明されていないのではないか。日本が国家として対北朝鮮に重要な問題、拉致された日本人の人権問題解決に汲々としている重要外交相手国に抜け駆けのようなこの「目立ち屋」行動には愕然とした。この目立ち屋、これが片山知事の特徴であり、いまや最大の欠陥である。
トップとして地道な、地についたものでなく、かかる政治的に派手な言動は実に困った性質で危険と見る。

ここまで抜け駆けのような外交をする必要性は知事には少しも無い。同行したのが境港関係だから、漁業問題という「利」が絡んでいるのかもしれない。もし、そうだとしても、国家・国民的観点の配慮の欠けたもので、一知事としてはやり過ぎに思う。

既にネットでは片山知事は「北朝鮮シンパ」だと流れている。鳥取県産物不買運動の声さえあがつてきた、全国的に片山氏は「要警戒人物」となり国益に反するばかりか、鳥取県民益にも反する。鳥取県民は果たして、彼にここまでの行動を欲していたのであろうか、無いと思われる。

D今回の人権法案が、上述の問題と因果関係がなければよいがと思うのは私だけではあるまい。それにしても、突如として、法案の成立、これは鳥取県民はおとなしく一々反応や発言はしないであろうが、多くの県民は不安を片山知事に抱いたであろう。

純粋でないものを痛感しているのは、鳥取県民だけではない、読売新聞によると、宝塚市やら名古屋から、実に若いボランティアが鳥取駅前に集合して、人権法案反対の運動をしている。

E片山知事は重大な不安を県民ばかりか日本国民に与えてしまつた。やはり、権力者としてなんでも出来るとの思いあがりが芽生えていると判定しなくてはなるまい。

トップ、為政者は、[戦戦兢兢として深淵に臨むが如く、薄氷を履むが如し]の思いで重責を処理しなくてはならない、知事は傲慢になつていると断じざるを得ない。

片山氏の「目立ちたがり屋根性」という特質が、いずれ氏の足元を掬うことになるであろうことは歴史が予言している。今こそ、片山氏には、脚下照顧が必要で、派手なものでなく、着実で地味な県政を望みたい。困った目立ちたがり屋知事だ。鳥取県人は地味で着実で、やや後進性のあるほうが鳥取県らしく、住み易いのである。

                        平成17年11月1日 徳永圀典