小説内で何と呼ばれたいですか?
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*何も記入しない場合、澤村遥になります。


17. 突然の電話

翌日の朝、真島は携帯の着信音に起こされた。
「誰やねん。日曜の朝にかけてくんなや」
真島は、ベッドの中で眠そうに目をこする。
ナイトテーブルに手を伸ばして携帯を手に取った。携帯に表示された名前を覗き込んで、自分の目を疑った。
それは待ち焦がれていた名前。だった。
真島は慌てて通話ボタンを押して、携帯を耳に押し当て、勢いよく起き上がった。

ちゃん、か……?」
「うん……」
少し間をあけてが言う。
「元気やったか」
「うん。真島のおじさんは?」
「あ、ああ。元気やったで」
重い沈黙が二人の間を流れる。真島の耳に軽やかなチャイム音や、アナウンスの声が聞こえてきた。
不思議に思った真島が口を開いた。
「何や、賑やかなとこやなあ。どこにおんねや?」
「あの……、羽田空港なんだ」
「何やて?なんでそないな所におんねや?」
真島が、思わず身を乗り出す。

「明日ね、来年から行く予定の製菓学校のオープンキャンパスなの」
「なんやそれ?」
「一日体験入学ってことかな?」
ちゃん、東京の学校に通うんか?」
「うん。そのつもり」
真島の鼓動がいきなり高まった。が東京に引っ越してくれば、いつでも会える。真島は期待に胸を膨らませた。
「桐生ちゃんも、そこにおるんか?」
「いないよ。もうおじさんと一緒じゃなくても、一人で来れるよ」
が「ふふっ」と笑う声が聞こえる。

「ねえ、真島のおじさん?」
「何や?」
真島は携帯を強く耳に押し当てる。
「会いたい……」
が耳元でささやくように言った。
真島はゴクリと唾を呑み込んだ。鼓動が突然ばくばくと騒ぎ出す。ぎゅっと握り締めた携帯が熱を帯びている。
動揺を隠すためにヒヒと笑ってから、語りかけるように話し出した。
「俺もやで。ずっと会いたかったわ」
「良かったぁ。ずっと連絡できなかったから、嫌われちゃったとか思ってた……」
「そなことあるかいな。せやけど、なんで連絡くれへんかったんや?」
「それは……会ってから話すよ」
「お、おう。わかったわ」
真島は理由が気になって仕方がなかったが、それ以上尋ねることができない空気だった。
「ほんなら、今から迎えに行こか?」
「えっ?いいの?」
「当たり前に決まとるやないか」
「ありがとう。じゃ、到着ロビーで待ってる!」
「ほな、待っとき!メッチャ飛ばして行くでぇ」

電話を切ったと同時に、真島はベッドから降りて立ち上がった。
シャワーを浴びて、バスタオルを腰に巻きつけたまま、クローゼットを開けた。ドルチェ&ガッパーナで買った色とりどりの服がずらりと並んでいる。
「どれ着たら一番カッコええんや?」
慌てている真島は、ハンガーにかかった服を調べるように一枚ずつ見てゆく。
だが、どれをどれと合わせていいか分からない。
「ええい、面倒じゃ!」
真島は声を張り上げると、幹部会に着てゆく服を取り出した。ダークグレーのスーツ、ワインレッドのシャツ、黒のネクタイである。
急いで着替えると、最後に黒の皮手袋をはめた。鏡の前で自分の姿を見る。
「やっぱり、このスーツは男前に見えるのぉ」
そう呟いた真島は、ニヤリと笑い、愛車のジャガーのキーをズボンのポケットにしまい部屋を飛び出た。
クリスマスイブまであと三日。真島の運命は大きく動こうとしていた。

後編へつづく

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