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家をでた二人は、とりあえずこの地図の場所が判らないか、図書館へ行ってみることにした。町の中心部にある、大きな国立の図書館だ。
「たしか、古典や歴史関係はB2だったぞゴルァ」
「そうか、地下二階ねぇ。とりあえず降りてみよう」
大きく立派な大理石の階段を下りていくと、地下二階が見えてきた。
「ほう、国立はやっぱり立派だな。うちの近所の公民館の図書室とは比べ物にならないぞゴルァ」
「いや、ギコ。そこと比べるのはどうかと……」
そんな話をしながら、地下二階の右側の大部屋に入っていった。左側はまた別のものが置いてある。
奥へ進んでいくと、お目当ての棚があった。
「うひゃあ、三段重ねで、しかもギッシリつまってるなぁ……」
「おい、モララー。後ろの棚も、ひとつ奥の列も、みんなこれみたいだぞ」
「何、そんな馬鹿げたことがあるか。……うあ、本当だ……まあ、いままで何百年と地図も作られてきたわけだし、あって当然か……」
「そうだ、係員を呼ぼう。そうすればすぐ見つかるはずだ」
ギコはそう言って、カウンタへ向かった。モララーはずっと、それらしい年代の地図を探している。
「おい、係員、居ないのかゴルァ」
ギコはカウンタの奥にある部屋に向かって言った。だが反応が無い。
「係員! 係員!! かーかーりーいーんっ!!! 居ないのかゴルア!!」
スコン!
そのとき背後からモララーが、棒のようなもので、ギコを殴った。
「馬鹿野郎! こんなところで大声で叫ぶやつがあるか! かなり離れてる俺のところまでバッチリ聞こえたぞ! 時と場所を考えろ!」
「しかし係員が居ないじゃないか! 見てみろ。カウンタに誰も居ないぞゴルァ」
「確かに。だが、ギコ。よーく見てみろ。そう、カウンタの台、君が手をついている、その右を見てみ ろ。紙が貼ってあるだろ?」
「ん? 『御用の方はこちらのボタンをご利用ください』だと」
「……というわけだよ、ギコ」
「どーゆー訳だ?」
「鈍いやつだな、お前は」
「それほどでも無いぞ」
「いや、かなり鈍い。とかくボタン使って係員呼べよ」
ギコは、「おう」と言って、赤いボタンを押した。
「これで良いんだろ? ……でも出て来ねえや」
「まあ、気長に待ってれば、そのうち来るって」
二人は、係員の到着を、ずっと待っていた。が、五分経っても十分経っても係員が来ない。二十分経ったころ、ようやく二人は疑問に思い始めた。
「……来ないな」
「ああ、全く」
「長すぎねえか?」
「ごもっとも」
「いつ来るんだ?」
「さあ、ねえ」
「……二十分だ」
「ほう、そうか」
「……」
「……」
「遅い!!」
二人は声を揃えて叫んだ。普通の人は五分も待たされたら不思議に思うのだが、変わり者なのか、根性のかたまりなのか知らないが、この二人は実に二十一分も粘っていたのだ。
「ギコ! お前本当に押したのか?」
「ああ、ここの赤いの押したぜ?」
だが、指差す先のボタンには、『故障中』なる殴り書きの紙が、台から垂れ下がるようにセロハンテープで止めてある。
二人は急に力が抜け、ヘナヘナと地面に伏した。
「俺たちって……」
「何だろな……」
「と、とりあえず、反対のフロアに行ってみるか」
「いや、直接このカウンタの向こうの部屋に入っていくべきだ」
「お、ギコ。今日は何だか冴えてるな?」
「さっき鈍いって言わなかったか?」
「いや、訂正するよ」
「失礼します」
そういって扉を開けると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
「……」
「誰も居ねえじゃん……」
「…………」