ゴジラ対自衛隊 〜映画の中の自衛隊〜

よみがえる空 〜RESCUE WINGS〜(2006年)

DATE

2006年1月〜4月 テレビ東京系列、AT-X

監督:桜美かつし

キャスト  内田一宏三尉:宮崎一成  長谷川めぐみ:能登麻美子  本郷修二郎三佐:石塚運昇  村上龍之介二佐:星野充昭  他




内容にはネタばれを含んでいます。  解説・感想  ストーリー  映画の中の自衛隊

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【解説・感想】

   2006年1月から4月にかけてTV東京系とAT-Xで放送されたテレビアニメーション。航空自衛隊小松救難団に配属された主人公・内田一宏が、救難の現実と向き合いながら成長していく姿を中心に、自衛隊の協力と緻密な3DCGを駆使して自衛隊救難団をリアルに描いた作品。テレビ放映された全12話とDVDに収録された1話で構成されている。テレビアニメを含めたRESCUE WINGSシリーズは、漫画、実写映画と様々な方面に展開された。これまであまり注目されていなかった自衛隊の救難隊にスポットをあてるきっかけになった作品でもある。

 救う側・救われる側を丁寧に描きながら、命をかけて救難にあたる救難隊を舞台に、先輩三佐から内田へ、内田から未来に悩む若者へと思いが繋がっていくようなラストはとてもよかったと思う。1クールで終わってしまったのが非常に残念なアニメ――いや、アニメという枠にとどめるべきではない、秀逸なヒューマンドラマだったと思う。

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【ストーリー】

   戦闘機パイロットを志して航空自衛隊に入隊し航空学生になった内田一宏だったが、選考過程でヘリのパイロットとなった。そのことに不満を抱いていた内田だったが、気持ちを切り替えUH-60Jの訓練課程を終えて、航空自衛隊小松基地の救難隊に配属される。そんな彼の上官になったのが本郷三佐だった。人一倍厳格な本郷と、配属早々に衝突してしまう内田。  

 新しい職場になじむ間もなく地震が発生し、小松救難隊にも出動命令が下る。現地に向かった内田は救難の過酷な現実に直面する。どんなに力を尽くしても救えない命。その場で内田が経験したのは己の無力感だった。

 時に救難の抱える現実に押しつぶされそうになる内田だったが、恋人に支えられ、厳しい上官や志を同じくする救難隊の仲間たちとともに厳しい訓練を通じて成長していく。 

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【映画の中の自衛隊】

   埼玉県狭山市の入間基地に司令部を置く航空救難団は、全国の主要な航空自衛隊基地に10の救難隊と4つのヘリコプター航空隊を置いている。本来任務は自衛隊の任務中の事故などに対する捜索・救助などだが、1958年の発足以来、海上保安庁、消防、警察などでさえ出動が困難な状況下で、災害派遣によって緊急患者の輸送や遭難者の捜索・救出なども行っている。その性質上「救難最後の砦」などと称されることも多い。

『よみがえる空 〜RESCUE WINGS〜』の舞台となっている航空自衛隊小松基地には日本海側唯一の戦闘機部隊である第6航空団(第303飛行隊、第306飛行隊)や小松救難隊などが配備されている。ストーリーの中心が救難隊なので戦闘機が出てくる場面は少ないが、本来任務である戦闘機の遭難に対する捜索が舞台となる話も描かれている。

 作中に登場するUH-60Jは白とオレンジ色の配色になっているが、このころはUH-60Jの塗装が洋上迷彩色に移行していた時期でもあり、現在ではこの配色のUH-60Jを見ることはできない。2008年に公開された実写映画『空へ〜救いの翼 RESCUE WINGS〜』では洋上迷彩色のUH-60Jが登場しているが、個人的にはUH-60Jは昔のオレンジ色の機体のイメージの方が強い。

 また、作中にはメディック(救難員)という存在とその訓練が描かれてる。過酷な状況下での任務に従事するメディックの訓練は、自衛隊の中でも最も厳しいとも言われ、その任務を達成するために超人的な身体能力が要求される。その選抜基準はとても厳しく、水泳と陸上の双方に秀でていなければならない。愛知県航空自衛隊小牧基地にある救難教育隊で1年に及ぶ救難員訓練課程を受け、自衛隊の訓練課程で最も過酷と言われる空挺レンジャー課程を修了し、空挺レンジャー資格を取得したメディックたちの身体能力は超人的であり、それがなければ「救難最後の砦」を支えることはできないのだろう。なお年に4〜6名が教育訓練に参加するものの、全員揃って卒業するのはまれだという。

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