竹中金融大臣の罷免を要求する

徳永圀典が本ホームページで度々主張した事全く同意見なので本日付読売新聞をここに完全にタイプしてご披露する
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参考人物月旦1. 人物月旦2
金融を弄ぶ為政者


メガバンクには、このような国家的立法措置がなくては日本国全体の危機を誘発するしヘッジファンドにその間隙を突かれるとは私の指摘した通りで、竹中大臣の責任は極大である。
竹中君の退任を要求する。これこそ大正論である

読売新聞からの抜粋――平成15318日月曜日

有事下の経済危機6ッの提言5

日本経済の再生とデフレ脱却に向けて協力すべき金融当局と銀行の信頼関係が完全に崩壊している。その発火点は昨年9月の内閣改造に伴う竹中経済財政相の、金融相兼務だ。竹中氏が推し進める「金融再生プログラム」は、大手銀行を資本不足に追い込み、公的資金を注入して国有化しようというシナリオと言える。この間に、大銀行が破綻してもやむを得ないという強硬(ハードランディング)路線である。

特に社会に衝撃を与えたのは、竹中氏らが標的にした「繰り延べ税金資産」の扱いだ。これは、銀行が貸倒れに備えて引当金を積んだ際に前払いした税金が将来還付されることを見込んで計上する資産だ。竹中プランは「この資産が自己資本をかさ上げしている」とみて、一気に切り捨てようとした。

竹中氏らの主張のズサンサと素人ぶりは「過去の経緯を何も知らず、ルールを突然変更しようとした(自民幹部)ことでわかる。

経緯はこうだ。
旧大蔵省(現財務省)銀行局は、金融機関に大量の不良債権の処理を要求、それを無税で行えるよう主張した。だが、同省主税局・国税庁は、巨額の税収減になるとして拒否した。「局あって省なし」といわれた旧大蔵省内の利害闘争の妥協案として誕生したのが、繰り延べ資産だ。貸し倒れ引当金を積んだ時に支払った税金は、不良債権が損失として確定すれば銀行に還付されるのがルールだ。

無税引当金の道を断たれた銀行が、やむなく有税引当を進めた結果、繰り延べ資産は全国銀行だ計十兆六六〇〇億円(2002.3)に積み上がった。その合計が自己資本の37.5パーセントを占めるに至った。

与党の強い反対で、この資産の大幅切捨てはいったん見送られたが竹中プランは動きを止めていない。それを背景に、日本公認会計士協会は二月、繰り延べ税金資産の厳格なチェックを監査法人に命じている。

竹中プランは、欧米系ヘッジファンドなどの空売りにお墨付きを与え、安心して売りを浴びせられた。当局が金融危機を煽ったのだ。

小泉政権が、もし本気で不良債権処理を加速させたいなら、税制の総動員が当然だ。だが、首相には財政当局を動かす気も、力もないようだ。公約をこれ以上空疎にしてはならない。首相は先ず、引当金の無税償却を拡大すると同時に、財政難を理由に1992年に凍結した「欠損金の繰り戻し還付制度」を復活させ、過去15年間の還付を一度に実現させるべきだ。

欠損金の繰り戻し還付は赤字(欠損金)を出した場合、過去の黒字決算で支払った税金を還付する制度だ。アメリカは80年代後半から深刻な不良債権問題を、過去10年間の繰り戻し還付制度で解決した。20019月の同時テロ後にも、この制度の時限的延長で危機に対応した。イラク情勢の緊迫化で金融・経済の「3月危機」の足音が大きくなってきた。指導者の自覚を欠く丸投げ政治に決別する時だ。

「国際基準」拒否の勇気を 

日本は、素性のはつきりしない「グローバルスタンダード(国際基準)なる妖怪に振り回されている。その代表例が「時価会計」だ。株や債券は時価変動が烈しいから、取得した時の価格では資産価値が分かりにくい。最新の取引価格を反映させ企業決算を「正確」なものにするというのがその建前である。

この時価会計のルール強化が、デフレで体力を消耗した日本企業を、更に痛めつけようとしている。株や債券に加え、企業が抱える土地などの固定資産にも時価会計を拡大しようというものだ。実施されれば、不動産業、製造業でそれぞれ約40兆円もの資産価値が消えてなくなる。大量の土地を抱えるゼネコン、流通業界は、更に危機的な状況に追い込まれる。日本では「グローバルスタンダードだ」と言われると思考停止に陥り、無条件で従うべきだという強迫観念が働く。

だが、この時価会計は、株価バブルに踊った頃のアメリカが世界に働きかけたもので、米企業り利益が膨らむよう仕組まれた制度なのだ。

田中弘・神奈川大学教授は「時価会計は不況やデフレの時に、どこの国も使ったことはない」と指摘する。

金融危機が高まり、自国の経済が疲弊する恐れがあるならば、ルールの強化を延期するのはごく自然なことだ。

まず、2005年度に導入が予定されている固定資産に対する時価会計(減損会計)の導入というルール強化は先送りすべきだ。政府はそれを早急に宣言する必要があろう。

減損会計は、土地、工場などの収益力が落ちた場合には、取得した際の価格(簿価)を実際の取引価格まで引き下げる会計処理だ。減額分は損失として決算に計上しなければならない。全国平均の基準地価は11年連続で下落し、商業地はピークの半値以下になつた。減損会計が導入されると、含み損が一挙に表面化して企業の利益は吹っ飛ぶ。

不動産を担保に融資している金融機関の不良債権も膨れ上がる。デフレ下で減損会計の導入を急げば、デフレ悪化に拍車をかけるのは明らかだ。金融危機の引き金なもなりかねない。

イラク情勢が緊迫化し、デフレが更に深刻化すれば、既に導入されている株式や債券などの有価証券に対する時価会計を一時凍結することも選択肢の一つとなる。

実際、大恐慌に見舞われたアメリカは1933年に、既に実施していた時価会計を凍結し、取得価格で会計処理をする原価主義に採用に変更して。時価会計が復活したのは、実に60年後の1993年のことだ。株価が急騰しアメリカにとって好都合のルールに戻ったからだ。

今の日本にとって最大の政治課題はデフレ脱却である。小泉首相が度重なる失政を反省し、国益重視の立場にたつなら、一部先進国によって仕組まれた「グローバルスタンダード」を拒否する勇気を持つべきだ。


平成15年4月3日 インターネット読売新聞より


「竹中さんはうそっぱち」財務相、税源移譲で怒り爆発

「竹中(経済財政・金融相)さんはうそっぱち。総理は全く言っていない。でたらめだ」――。
塩川財務相が2日の定例記者会見で、竹中経財・金融相に激しくかみついた。 しかし、塩川財務相は、首相がこうした指示を出した事実はないと強調、そのうえで、「まず権限を地方に委譲しないと、税源移譲もできるはずがない。分権がないのに税源だけを渡すようなマヌケな話はない」と、税源問題の“先行処理”に反対した。

 財務相発言の背景には、税源移譲の論議が先行すると、「財源の食い逃げ」につながるという警戒感がある。また、塩川財務相は以前から、竹中経財・金融相や民間議員が主導する諮問会議の運営方法にも疑問を呈しており、税源移譲問題をきっかけに、不満が噴出した格好だ。