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13. 初めてのカレー作り

ある日曜日の昼下がり、真島は日当たりのいい窓際のソファに寝そべって、に電話していた。
「今日なあ、カレー作るねん。出来たら写真送ったるからな」
「真島のおじさん、カレーなんて作れるの?」
「当たり前や。桐生ちゃんには負けへんで」
「ふふっ。じゃあ、どんな写真か楽しみにしてるね」
真島は、電話を切ると、料理本をパラパラとめくり、カレーのページを開いた。

「ハァ……。料理できるなんて言うてしもうたけど、出来るやろか。せやけど、しゃあない。これも、ちゃんに好きって言われるためや。いっちょやったろやないか!」
使用感のない木目調で統一されたシステムキッチンを見渡す。
真島は、前日買った材料を袋から取り出すと、野菜を洗い出した。
「そや、西田と南にこのカレーを食わしたろ」
真島は携帯を取り出すと、素早く二人に連絡した。

「次は、材料を切るんか」
本を見ながら、トン、トンとゆっくり切る。まばらな形の野菜がまな板の上にどんどん散らばった。
「ええい、面倒じゃ!」
真島は、材料を掴むと、鍋にぶち込んで、ぐつぐつと煮込み始めた。キッチンは、肉と野菜が入り混じった匂いでいっぱいになった。
真島は、煮込んでいる間、何度も火加減や味を調節したり、味見を繰り返したりした。

真島が、壁にかかった時計を見ると、三時間経っていた。キッチンにカレーの食欲をそそる香りが広がっている。
インターホンが鳴った。モニターを見ると西田と南が映っている。
早速二人を招き入れ、ダイニングへ通した。真島は、西田と南の真向かいの椅子に腰を下ろした。
「よう来たなあ、お前ら。今日は俺の手作りカレーや!しっかり味おうて食うんやで」
「ありがとうございます、親父!」
「肉がごろごろあって、メッチャ旨そうやないですかあ」
南が目を輝かせてカレーを眺めた。皿に盛られたカレーは、肉が大きめにカットしてあり、口の中に唾液が溜まってくるようなスパイスの香りがする。

二人は同時にカレーを一口食べた。
(……マズい……)
スプーンを持つ手が止まった。
「なんや、お前ら。旨すぎて言葉が出んのやろ?」
「そ、そうッスね。むちゃくちゃ旨いッス」
「ほな、お代わりやな!」
西田は涙目になりながら、また盛られたカレーを口に運んだ。
引きつった笑みを浮かべる南は、
「親父、こないに旨いカレー、どないして作らはったんですか?」
「教えとうても、教えられへんのや。俺の秘密レシピや」
「はぁ……」

南は、冷や汗をかきながら、水でカレーを流し込んだ。二人の様子を見ていた真島も、ようやくスプーンを持った。
「ほな、俺も食うか」
西田と南の視線が興味深そうに真島へと向けられる。
「最高や!やっぱり俺のカレーは旨いのぉ」
西田と南は、目を丸くして顔を見合わせた。
真島は、次々とスプーンを口に運ぶ。皿の半分のカレーがあっという間になくなった。

「なんや、お前ら食わんのか?」
真島が切れ長の目で鋭く睨む。
「も、もちろん食います!」
西田と南は、急いでスプーンを持って、カレーをほおばった。二人の左手には、きつくグラスが握られている。
「せや。腹いっぱい食うて帰るんやでぇ!」
真島は、大声で笑いながら二人を満足そうに見た。

「せや、ちゃんに写真を送ったらなアカン!」
真島は、携帯を取り出すと、自分のカレーをアップで一枚撮り、次は、カレーを頬張っている姿を南に撮らせた。
がさぞ驚くだろう。真島は胸を膨らませ、せわしなくメールを打った。

『南と西田と一緒に早めのカレーディナー。写真見てや(ハート)』

数分後、携帯がテーブルの上で震えた。喜んでメールを開くと、

『カレーおいしそう(ハート)私も食べに行きたいよ♪真島のおじさん、本当に料理ができるんだね(ホシ)』

真島は思わずにやにや笑ってメールをじっと覗き込んだ。西田と南もメールが気になるようだ。
「お前らにも、と・く・べ・つに見せたるわ」
真島は、胸を張って、西田と南に携帯の液晶画面を見せ付ける。

「わ〜、これが桐生さんとこのちゃんでっか。可愛らしいですやん。親父は、ちゃんと仲がよろしいんでっか?」
南の頬がポっと赤らんでいる。
「まあな。親戚のおっちゃんちゅう感じやなあ」
真島は、またメールを読み返し、いつかと恋人として料理できる日を想像した。
そして、カレーの次は何を作ってを喜ばせようか思い巡らせていたのだ。

つづく

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