今月の一句:七十路に今一年の春うらら

高知県吾北・稲叢山の「五葉つつじ」
■ 「蛙水・艶子・伝馬」親子3人の句集:「句春秋」

・ 親子3人の句集の名称は、父が書いた「句春秋」から取りました。(実際に使われている漢字は、「火」偏に「禾」の部首からなる漢字です。読みは「しゅう」、「集める」の意味で、そこから「秋」の時期をあらわす字として用いられたようです。残念ながら、ワープロで打ち出せません)。2枚目の写真をご覧ください。右手は、母の俳句メモと、合同句集「睦月」です。
・ フィリップの俳句の幾つかは、英語に訳しましたので、他のページに移しました。


■ 蛙 水

・ 畳目の一目一目と日脚伸ぶ
・ 春雨や葉末葉末の銀の玉
・ 老い桜昔を偲ぶよすがかも
・ 子連れ行く桜並木の土埃り
・ 春風に散るや馬券の屑の山
・ 芍薬に見惚れてひとり庭に立つ
・ 口紅もつけぬ妻なり春は逝く


□ 父と母、それぞれの俳句ノート見つかりました。これで「蛙水」、「艶子」、そして「伝馬」と3人の春夏秋冬の句が出揃いました。

墨絵:日本の早春 ■ 艶 子

・ 子は常に歩幅を合わせ壷すみれ

■ 母の一番お気に入りの句のようです。ここに詠われている「子」は、誰のことだったのでしょうか

・ 春愁や紅茶の砂糖溶け溶ける
・ 葱坊主斑の牛の昼さがり
・ ゆずられし席あたたかし梅雨の冷え
・ 網走の友のぬくもり梅雨の文
・ 好きな道曲がりて通る木の芽時

■ 母が俳句を始めたのは、父が天に召されてからのことでした。俳句を読んだ歳月は、父よりずっと短かったですが、句のレベルは大変高いように思いました。父の句は素直すぎですが、母の句は正に俳句といえるものがあります。


■ 伝 馬

墨絵:牡丹の花

・ 春立ちぬ砂丘は雪に覆われて
・ 七十路に今一年の春うらら
・ 小綬鶏の鳴く声繁し祈る朝
・ 黄砂舞い筆山霞む春朧
・ 春雷や負けじと祈る神の民
・ 桃の花生けてこの朝主にまみゆ
・ 花曇任命受けて主と語る
・ 主の園や母健やかに花の雨
・ 花見行卆寿を越えし母笑顔
・ 花吹雪憂いもすべて飛び去りぬ
・ 鯉泳ぐ都会の川や水温む
・ 年会に集ってみれば桃満開
・ 主と共に旅立つ春や恵み満ち

■ 3年間の短い高知教会での奉仕を締め括り、鳥取の地に移りました。私たちのとっては、見知らぬ土地ですが、主の同行を信じて。

・ 里山の樹々うっすらと春の雪
・ 病院の窓辺や春の淡き雪
・ 腸閉塞病みて荒れたり春の庭
・ 病室で守る主日や春寒し
・ 主に祈る手術の朝春浅し
・ 妻独り家に残して春みぞれ

■ 「75歳になると体調に変化が起こりますよ」と以前から耳にしていたが、75歳の誕生を迎える1、2週間前から腸に異常を感じ、病院へ。診察、様々な検査の結論は、腸閉塞、そしてその原因であるS状結腸の癌。早速入院切除手術を、、、。

・ 山桜四五輪咲けり駟馳峠
・ 八十翁野に出ず今日の暖かさ
・ 文旦を手にして想う土佐の友
・ 梅林を訪ね足湯にしばし憩う
・ 春雷を遠くに聞きつ主を拝す
・ イースターのメールや孫の佳き笑顔
・ 白寿まで今一足の春なりき
・ 漁火の沖に並べる春爛漫
・ 烏賊釣りのともし火遥か春の海
・ 桜散る手を伸べ少女花を追う
・ 補聴器に人工レンズ緑映ゆ

■ 高知教会に着任して間もなく、白内障の手術を受けました。それまでは運転に少し苦労していましたが、手術後は標識がはっきり見えて車の運転が楽しくなりました。

「句春秋」と父の俳句メモ


・ メニューの下にある小さな写真は、私が大学生時代に詠んだ句を、
私が外国に行って不在中に、父が毛筆で清書し句集として作ってくれたものです。
画面右手にある手帳は、父の俳句手帳で、ボール・ペン書きでびっしり、折々の句が書き記されています。



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 インマヌエル聖宣神学院教会 . . . Immanuel Bible Training College Church

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