今月の一句:八十翁野に出ず今日の暖かさ

牧谷海岸の冬・荒れた海
■ 「蛙水・艶子・伝馬」親子3人の句集:「句春秋」

・ 親子3人の句集の名称は、父が書いた「句春秋」から取りました。(実際に使われている漢字は、「火」偏に「禾」の部首からなる漢字です。読みは「しゅう」、「集める」の意味で、そこから「秋」の時期をあらわす字として用いられたようです。残念ながら、ワープロで打ち出せません)。2枚目の写真をご覧ください。右手は、母の俳句メモと、合同句集「睦月」です。
・ フィリップの俳句の幾つかは、英語に訳しましたので、他のページに移しました。


■ 蛙 水

・ 只今と玄関入ればちちろ止む
・ 座布団の欲しくなる頃夜の冷え

・ 豪雪のニュースしきりに駅混雑
・ 雪に明け雪に暮れ行く北の町
・ 妻と語るこたつのぬくみ寒の月


□ 父と母、それぞれの俳句ノート見つかりました。これで「蛙水」、「艶子」、そして「伝馬」と3人の春夏秋冬の句が出揃いました。

墨絵:日本の早春 ■ 艶 子

■ 母が俳句を始めたのは、父が天に召されてからのことでした。俳句を読んだ歳月は、父よりずっと短かったですが、句のレベルは大変高いように思いました。父の句は素直すぎですが、母の句は正に俳句といえるものがあります。

・ 表札の変わりて鍵の手かじかみぬ
・ 手袋の手が泣いている夕の風
・ 今年もまた桟いたわりて障子張る


■ 伝 馬

墨絵:牡丹の花

・ 牧谷に木枯らし一号海吼えぬ
・ 海鳴りや我が家の冬の子守唄
・ 教会に亡き人偲ぶ冬浅し
・ 礼拝の朝蜜柑も色づきぬ
・ 異国の使者を迎えて冬立ちぬ
・ 聖誕の喜び溢れ歌となる
・ 恐れるな神偕にあり御子生れぬ
・ 聖誕のともしび揺れぬ奇跡の夜
・ 旅立ちの浴衣とどけし冬うらら
・ 聖日を明日に控えて雪を掻く
・ 貫之の日記始めし土佐の冬
・ 苔むせる藩主の墓所や小雨降る

■ 鳥取池田藩主の墓所を国府町に訪ね、近くの因幡万葉歴史館にも立ち寄る。そして、、、

・ 家持の歌碑を尋ねて因幡路に見る山々に雪の積もりて
・ 冬空にトンビの舞うや竹揺れて万葉時代偲ぶひと時
・ わっぱ膳喰らいて想う昔の人の在りし日歌詠みし日々

・ 荒るる海眼下に目つつ朝餉摂る我が家の庭に寒椿咲く
・ 大輪の赤き椿のただ一輪咲きたる庭に春の訪れ

■ 以下は、2010年11月11日より2011年01月05日まで、フランスのパリ日本語教会において、奉仕した時に詠んだ句

・ パリの冬イチゴ大福ほおばりぬ
・ 史跡なる教会出でぬパリ時雨
・ アドヴェントパリの都は光満つ
・ パリに飲む緑茶一服年の暮れ
・ 冬のパリ玄米食べて旅立ちぬ

・ 荒るる海眼下に見るや寒椿
・ 雪景色眺めて祈る我の幸
・ けだものの足跡たどる雪の庭
・ 山茶花の赤き花びら雪に散る
・ 八十翁野に出ず今日の暖かさ
・ 朝明けの海の水面や湯気昇る
・ 沖遠く白波立てり冬の海
・ 初雪の舞いし朝やラ・フランス
・ 遍路道雪を戴く県境
・ 骨拾う親子に迫る冬の夕
・ 渇水の早明浦ダムや春まだき     早明浦ダム

「句春秋」と父の俳句メモ


・ メニューの下にある小さな写真は、私が大学生時代に詠んだ句を、
私が外国に行って不在中に、父が毛筆で清書し句集として作ってくれたものです。
画面右手にある手帳は、父の俳句手帳で、ボール・ペン書きでびっしり、折々の句が書き記されています。



■ 印をクリックしてください。それぞれの箇所にリンクしています。

 インマヌエル聖宣神学院教会 . . . Immanuel Bible Training College Church

武藤紀子の画廊。このリンクを辿ってゆくと様々な画廊のHPにリンクできます。

季語がリスト・アップされているページです
"Hot Soup for the Soul" - "Haiku", Japanese short poems in English


Copy right 2004 PZH
All rights reserved. 許可なく転載を禁じます。

■ トップ・ページに戻る
■ 「“Haiku-poems”」に飛ぶ
■ 「俳 句:新年の部」に飛ぶ