. . 文学青年であった父の若き時代の「詩集」です。結婚後は俳句を詠むことに専念していたようですが、若い時代には、多くの詩を書き綴っています。
父が生きていたら、このような形態で公表することを止めたかも知れません。しかし、今は天の主イエスの御許にあって苦笑いしていることでしょう。若い頃の父の詩には、失恋、望郷、義憤、孤独、、、といった, 青年期に私たちが経験する様々感情が表白されています。

■   「白ばら」

. 白いばらの花よ
. おお、、、いつも
. 今頃忘れずに咲いてくれる
. 愛らしいばら

. 白いばらの花よ
. おお、、、お前は
. 亡き姉が遺していった
. ただひと鉢のばら

. 白いばらの花よ
. おお、、、もはや
.     姉が淋しく世を去って4年
. 思い出のばら

. 白いばらの花よ
. おお、、、お前は
. 純潔と高貴の象徴(シンボル)
. 美しいばら

. 白いばらの花よ
. おお、、、今は
. 亡き姉の霊のいこい場
. なつかしいばら

. . . . . . . . . .                   1928/05/25(父・22歳)

■   「戦き」

.     街燈の
.     光り凍る師走の夜
.     霊に怯ゆる者の
.     呻き声
.     、、、、、
.     、、、、、
.     磨鎌の如き寒月
.     中空に高し

.                  1927/09(父・24歳)

.                                                          画像ををクリックしてください。
.                                                        「父のルーツ紹介に飛びます」
高知県・越知町の大樽の滝


 ■ 「笛の音」

.     いましかすかに
.     聞こえくるは笛の音

.     あたり月影かすめる今宵
.     あはれ 淋しく
.     吾胸(アムネ)にひびきて
.     そぞろ忍ばるるありし日のことども

.     まだき宵路を
.     流れくるは笛の音

.     ひとりまどろむ臥床の夢にも
.     あはれ 淋しく
.     吾胸にひびきて
.     いとどさしぐむ悲しみの調べぞ

.                    1927/06(父・24歳)


 ■ 「哲学堂の帰り」

.     ふと振り返った
.     なだらな麦畑の坂道
.     森も 林も 農家も
.     なにひとつ見えない
.     青々とした麦穂は
.     限りない大空に続いている
.     胸一杯
.     快よい初夏の空気を吸う
.     白雲の断片が
.     静かに 静かに
.     穂波の上を浮いてゆく
.     慈父のような太陽のかがやき
.     超人間的思索が
.     うつろな心のうちを支配する

.                                              1927/04/ (父・24歳)



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