. . 文学青年であった父の若き時代の「詩集」です。結婚後は俳句を詠むことに専念していたようですが、若い時代には、多くの詩を書き綴っています。
父が生きていたら、このような形態で公表することを止めたかも知れません。しかし、今は天の主イエスの御許にあって苦笑いしていることでしょう。若い頃の父の詩には、失恋、望郷、義憤、孤独、、、といった, 青年期に私たちが経験する様々感情が表白されています。

■   「孤独を愛するものよ」

. 死の陰の様なもの静けさで
. ひしひしと
. 宵闇が迫ってくる

. 遥かな赤い灯をみつめている心は
. 空虚な寂寞を感じる

. おお孤独を愛するものよ
. 汝の嘆息はそこに繰り返されるのだ
. 汝の思索はそこに求められるのだ

. いたましい過去も
. 物寂しい未来も
. みなその現実の寂寞の中にのみみいだされるのだ

    . . . . . . . . . . .             1929/08/10 (父・26歳)

■   「星をみつめて」

.     親を残して
.     なつかしき故里を
.     独り旅立ちし
.     我

.     名もなさず
.     空しく日を送り行く
.     力なき
.     我

.     夕空に
.     またたく星をみつめつつ
.     独り思いに耽くる
.     我

.                  1926/04/13(父・23歳)

.                                                          画像ををクリックしてください。
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高知県・越知町の大樽の滝


 ■ 「四行詩:四季」

.        春
.     何気なく
.     開きみし文箱
.     朧月夜に
.     結ぶ夢のはかなさ

.        夏
.     あへぎゆく
.     人々の群れ
.     舗道の上に
.     灼陽のかがやかしさ
.        又
.     蜩に
.     夕陽沈みぬ
.     蘇へりし
.     草葉のささやき

.        秋
.     待ちわびし
.     小床のまどろみ
.     窓辺に
.     こほろぎの鳴く

.                    1926/08/03(父・23歳)


 ■ ある時の思い出

.     あの時は
.     泣きたかったのだ
.     目の前の苦悩に

.     あの時は
.     嘆きたかったのだ
.     呪われた生涯を

.     だが、、、、

.     あの時は
.     わけもなく声高に
.     笑ってみたのだった


.                                              1928/05/28(父・25歳)



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