. . 文学青年であった父の若き時代の「詩集」です。結婚後は俳句を詠むことに専念していたようですが、若い時代には、多くの詩を書き綴っています。
父が生きていたら、このような形態で公表することを止めたかも知れません。しかし、今は天の主イエスの御許にあって苦笑いしていることでしょう。若い頃の父の詩には、失恋、望郷、義憤、孤独、、、といった, 青年期に私たちが経験する様々感情が表白されています。

■   「失 恋」

. 君と語りし思い出の
. 野辺のくさむら
. 今 我行けば
. こぼるる露の
. 冷たさよ

. かって歩みし道の端に
. 咲く花見つつ
. 今 我行けば
. ほほえむ姿の
. 淋しさよ

 . . . . . . . . . . .             1926/08/09 (父・20歳)

■   「千鳥鳴く夜」

.     仮寝の夢の
.     果敢なくも破れし
.     海人家の臥床

.     今宵 あわれ
.     渚に淋しく千鳥鳴きて
.     ありしその日の
.     故里思ふ吾身の悲しさ

.     青き月明かりに
.     かすかに浮ぶ
.     沖の島影

.     今宵 あわれ
.     ひとり淋しく千鳥の声に
.     亦 若かりし
.     昔忍ばむ。老の島守

.                  1927/06/(父・24歳)

.                                                          画像ををクリックしてください。
.                                                        「父のルーツ紹介に飛びます」
高知県・越知町の大樽の滝


 ■ 「人妻となりし君故に」

.     君が写真を
.     おののく胸にいだきて
.     あはれ あはれ
.     ひとりみいれど
.     おお 悲し
.     君 またほほえまず

.     ただれし胸の苦しみ
.     君よ 知りたもうや
.     なれどわれ
更につたへんすべもなし

.     たれか望まん
.     いもせをちぎりしことの
.     みなはかなくして
.     小床の夢にも
.     身のつれなきを
.     かくもなげかんとは

.                       1927/08(父・24歳)


 ■ 「追憶の花」

.     椿咲く
.     やよひのころとなりしかど

.     わが胸に
.     のこるはさびし
.     今はただ
.     あわれこころの影のみそ

.     さればわれ
.     すぎこしかたの思い出に
.     またかの花とともに語らまし

.                         1928/03/21(父・25歳)



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