この頁の一首:・ 懐かしきパリの写真を眺めつつなお懐かしき友を思いぬ     愛馬伝師


■ フィリップの短歌集・その2:「むくげの花」:

 百首一人(ひゃくしゅ・いちにん)、第二集を新たに設けました。
わが家の庭に咲く八重のむくげ

     ■  「むくげの花」と題しておきましたが、この題は、
今住んでいる牧谷の庭には、高知から持ってきた「むくげ」の挿し木が根付いて、
綺麗に、たくさんの花を咲かせるようになっているところからです。

     ■  数年前までは、父の感化で、俳句を詠んでいましたが、
最近年をとって饒舌になったせいか、十七文字の俳句より、
三十一文字の短歌のほうに興味が移りました。
ここ数年間に詠んだ歌の数々を、ここに集めてみました。

     ■  只今、短歌集@「曲水の宴」の短歌を入れ替える作業中です。


■ 自然詠:

(海)
・001 ・やんばるの海のなぎさの波の音     単調にして心に浸み入る
・002 ・関門峡霧立ちこめて対岸は     遥か遠くに溶けて見えずに
・003 ・渦潮を眺めさよなら告げにける     数日間の徳島の旅
・004 ・大海原の広がりて岬に波の     砕け散る海青かりき
・005 ・藁葺きの屋根に積もれる白雪の     富士にも似たるその形かな

(山)
・006 ・山の上に雲のたなびく門司の空     降っても照っても良き眺めなり
・007 ・湯気昇る冬の冷たき雨なれど      山々昨日暖められて
・008 ・大山も初冠雪の雪化粧      秋の彩り今は何処に
・009 ・伊那谷の朝のしじまにシャターの      冷音山に木霊すごとく

(川・湖)
・010 ・青く澄みすべてを引き込む摩周湖の     辺に立ちて思いにふける
・011 ・ダムのため湖底に沈む筈なりし     老い桜今見事な花を
・012 ・尾瀬ヶ原いつか行こうと思いつつ     80年の月日過ぎける
・013 ・石組みの見事な池の周囲には     赤く染まりし紅葉の木あり

(空)
・014 ・冬枯れの田圃照らして煌煌と     西に月あり初冬の朝
・015 ・沖縄の明るき空の画像見つ     暗く重たき空眺めおり
・016 ・鎌倉の木々生い茂り空隠す     散歩の道に木漏れ日注ぐ
・017 ・残照の殊に明るき今日の宵      何か異常のしるしならずや
・018 ・Yの字を描き広がる今日の雲     喜びのY良いことのY

(街)
・019 ・首里城の琉球瓦遠くに見     王朝たりし過去を思いぬ
・020 ・平等院改築終わり秋迎え     紅葉求める人で賑わう

■ 季節詠:

 春:
・021 ・スギ花粉目には見えねど飛んでいて    鼻水は出る目はかゆくなる
・022 ・ボケの花名を改めて長寿梅     やはり長寿がぼけの原因
・023 ・桜散る川面を覆う花びらの    流れゆかずに春は終わりぬ
・024 ・花活けし墓前にありて娘想う      春の陽射しの柔らかな中
・025 ・アネモネの深紅の色に溢れ出る   花のいのちをカメラに収む

・026 ・久々の大阪入りや筍と     八重の桜にまだ間に合って
・027 ・タンポポを眺めるごとに花の裏     ひっくり返し顎の反り見る
・028 ・蝋梅の蕾ふくらみ寒さにも     春の訪れ告げ知らせおり

 夏:
・029 ・筍の料理の続くこの季節   どの入れ物も筍だらけ
・030 ・滝つぼに創りなされし天然の    プール横切り涼を楽しむ
・031 ・父逝きて四年目になる墓参り  今年最初のツバメに出遭う
・032 ・新緑に木々変わりゆく散歩道     緑と言えど千差万別
・033 ・アサリ取り深みを捜し何一つ     取れないままに夕暮れとなる

・034 ・筍を煮てはアチコチお裾分け     当分続く私の行事
・035 ・鯉のぼり風を孕みて舞い上がる     逆コース行く我のドライブ
・036 ・冷やっこ旨い季節の巡りきて     他のおかずは無くも満足
・037 ・合歓の木の甘き香りの漂える     小さき庭を行きつ戻りつ

 秋:
・038 ・スポーツの祭典過ぎて    秋風の吹く東京のなんと淋しき
・039 ・連続で台風襲来その度に     身構えたならもう身がもたん
・040 ・弁えも好奇心には抗えず     嵐の海を眺める群れあり
・041 ・強風の後は豪雨で沖縄は     台風銀座と呼ばれおるなり

 冬:
・042 ・雪溶けし街路を照らす暖かな     夕陽眺めてこの日を感謝
・043 ・白銀が夕陽に染まる知床の     峰々眺め心癒さる
・044 ・ライトに浮かぶ雪吊りのまた美しき     兼六園是非みて見たし
・045 ・小諸より小学生も参加して     ツリー点灯歌声響く

わが家の庭に咲く野紺菊

■ 時事詠:

・046 ・溶岩が流れ出でては島広げ     島の広さは前の十倍
・047 ・震災の傷癒さんと音楽を     子どもらのため奏でるわが身
・048 ・ベトナムの戦争終結40年     空しき日々を再び思う
・049 ・王女さまシャーロットではお猿さん     同じ名前をつける訳には
・050 ・沖縄を気にかけつつもその現状     あまりに知らず恥じ入るのみで

・051 ・震災の傷跡残し桜咲く     何もなかった地域のように
・052 ・煙上げD51発車高崎の     駅に集まる鉄道オタク
・053 ・聞こえない声を聞きつつ原爆の     記念ドームの前に佇む

■ 人生詠:

・054 ・認知症予防に楽しむこのゲーム     記憶試され心もとなし
・055 ・専門と異なる分野の英文を     訳しかけてはペンをくわえぬ
・056 ・熱帯の果物くりぬき蝋詰めて     灯す光の甘き香りや
・057 ・文房具足に落ち来て指痛め     夫と娘のデート見送る
・058 ・母の日の息子源希のプレゼント     ウインクしてる私の似顔

・059 ・深山の紅葉思わす活花に     活けたる人の感性思う
・060 ・在米の孫たちよりの母の日の     カード届きて妻は感動
・061 ・病室の窓から海の爽やかな     風吹き込みて病い忘れぬ
・062 ・一種活けアカメ柳の枝使い     活けては眺め眺めては活け
・063 ・旧友がわが後追いて上京す     塾を開きて自活の道を

■ 家族詠:
(父母)
・064 ・父を看取りし思い出の日の巡りきて     愛されし日々娘へと
・065 ・翻訳をしつつ亡き父想い出すエピソード     身近に感じ生き甲斐となる
・066 ・台所に息子連れ込み「人参よ」     話し掛けつつ料理する母
・067 ・家事と育児の暇見つつ編み物で     防寒帽をわが子のために

(夫婦)
・068 ・稀にしか見ることの無き主人の笑顔     カメラに収め乾杯だ
・069 ・フライパン変えて新婚生活に     終止符を打つ今日の私

(子・孫)
・070 ・孫とする神経衰弱歯が立たず     それでも楽し孫の笑顔が
・071 ・久々の良き天候に誘われて     わが子と散歩カンガール抱き
・072 ・堂々とポニーに跨るニコラ君     鞍の上から母を見降ろす
・073 ・普通なら5分の道も子ども連れ     5倍もかけて歩き行く今朝
・074 ・成人の祝いのための着物着て     ポーズする娘の輝く若さ

・075 ・悠ちゃんは何が欲しいかよだれ掛け     口にしゃぶりて父を見つめる

■ 外国詠:
岩美町・岩石海岸の美

(英国)
・076 ・ウエスレー燃え杭のごと救われて     司祭となりて世界を変えぬ
・077 ・老いてなお美しきままイギリスの     女王としての公務葉果たしぬ

(ヨーロッパ)
・078 ・スペインの花の画像を贈られて     梅の画像を送りて返す
・079 ・三つ年を過ごしし家を後にして     帰国の前に放浪の旅
・080 ・帰国して年々変わるわが人生     さて来年は何する人ぞ
・081 ・ドイツ式言いたいことを書き並べ     メールで送り事を動かす
・082 ・500年経し建物が今にても     使われ続けパリぞ成り立つ

・083 ・短くも印象深く過ごしたる     パリでの日々を想い起しぬ
・084 ・カフェテラス何かが違う東京と     空気と光と街の色影
・085 ・何回もオペラ通りを行き来して     パリの雰囲気堪能すなり

(イスラエル)
・086 ・バス待つ間パチリ一枚城壁の     南側にてエルサレムの子
・087 ・降誕の記念教会中世には     要塞として用いられたり
・088 ・聖地紀行は中東問題キナ臭く     今しばらくはお休みに

(アジア)
・089 ・水餃子食べたくなりて中国語     学ぶ気持ちのふつふつと起き
・090 ・大輪の蓮の花活けおもてなし     誰が来るとも分からぬままに
・091 ・引き籠もり育つ家庭の環境を     思い祖国の有様憂う
・092 ・落ち着いたメコン河畔の古都に来て     青空のもとビール味わう
・093 ・冬寒の東京離れホーチンミン     久々にゆく南の会議

・094 ・懐かしき友と再会パリならで     ホーチンミン市のレストランにて
・095 ・メコン河ゆっくり上る舟旅の     果てに眼にする滝翡翠色
・096 ・インドにて野菜カレーと魚カレー     肉が食えずにその繰り返し
・097 ・エセニックと言われる料理口に合い     今日の昼にも注文済みで
・098 ・朝市に来て謎解けるメコン河     ここで採れたる海苔と水牛

・099 ・ラオスにて購入したる竹の子の     若竹汁を二杯平らぐ

(アメリカ)
・100  ・沖縄と似たる景色のハワイ島     湿度少なく過ごしやすかり

     ■  「愛馬伝師」 : これが短歌を詠んだときの私の作者名です。
宣教師名が「フィリップ」、「馬を愛する者」の意味だそうですが、
伝道者ピリポですので、それで 自称「愛馬伝師」 としました。

     ■  第二回目の「百首」を選び(作業中)、記載しました。
これから、更に良い歌と入れ替える作業に掛かりたいと思います。

「句春秋」と父の俳句メモ


・ メニューの下にある小さな写真は、私が大学生時代に詠んだ句を、
私が外国に行って不在中に、父が毛筆で清書し句集として作ってくれたもので、和綴じになっています。
画面右手にある手帳は、父の俳句手帳で、ボール・ペン書きでびっしり、折々の句が書き記されています。



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 インマヌエル聖宣神学院教会 . . . Immanuel Bible Training College Church

武藤紀子の画廊。このリンクを辿ってゆくと様々な画廊のHPにリンクできます。

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