時折寄せられた質問への回答を「Ｑ＆Ａ」として、ここに書き記してみました。聖書や神学に関するものですので、一般の方々には興味ないかもしれません。しかし、質問者以外にも同様な疑問を心に抱いている方々も、なかにはおられることと思いました。
2006年08月07日：「心の貧しい人は幸いです」について
Ｑuestion/0008:
キリストは、山上の説教の中(マタイ５：３）で「心の貧しい者は幸いです」と仰いましたが、「心の貧しさ」とは、どのようなことでしょうか。
Answer/0008:
１．聖書を理解しようとする時、聖書に使われていることばの背景を理解することが大切です。旧約聖書を見ますと、そこにしばしば「貧しい者」と言う表現を見ますが、どのような意味で使われているのでしょうか。
■ マタイ（５：３）では「心の貧しい者」とありますが、ルカの方（６：20）では「貧しい者」としか書かれていないのにお気付きでしょうか。
２．旧約聖書における「貧しい者」とは、単に物質的に貧しいだけではなく、その貧しさの故に、聖書に自らを明らかにしておられる神に心を向け、より頼むようになった人々のことを指します。すなわち、信仰者のことです。
３．「貧しさ」自体は、決して幸いな状態とは言えませんでしょう。人は得てして富んでいると、その持てる物に依り頼んで、真の神を求めようとしません。しかし、貧しいと、苦境に立たされると、人は「苦しい時の神頼み」ではありませんが、神を求め、神により頼むようになります。この真の神により頼む姿勢が「幸い」なのです。
４．真の神により頼む姿勢とは、とりもなおさず、傲慢な思いを砕かれ、自分の不十分さに気付いて、何事においても、神を、神の助けを求める姿勢に繋がります。すなわち「心の貧しい者」、それに気付いている人々なのです。
