サーキット撮影のススメ *マシン編*

(最終更新:2017.05.14)

マシン編 マシン×Eマウント編 レースクイーン編

 私が、サーキットで本格的に撮影するようになったの2013年からなので、もう4年ばかりになります。それまでは、今とは真逆なぐらい、風景とか花とか、止まっているものばかりを撮影していたのですが、「新しいものに挑戦しなければ…」と思って、試しに2013年の春に岡山国際サーキットのファン感謝デーに行ったのが始まりでした。

 別にそれほど自分でも上手いと思っていないし、毎回、「ああしていればよかった…」と思うことも多々ありますが、なかなかこういう内容をまとめている記事も無かったので、自分の中の整理も含めて、ちょっと紹介したいと思います。

まずはカメラのチョイス

 昨今、カメラには、一眼レフ・ミラーレス・コンデジ・スマホの4タイプがあるわけですが…

◆最低でも…:AFの速いミラーレス機orAPS-Cサイズの入門一眼レフ
◆普通は…:APS-Cサイズのフラッグシップ一眼レフ
◆できれば…:フルサイズのフラッグシップ一眼レフ

 といったところです。

 まず、コンデジやスマホでの撮影は難しいです。

 スマホでは、そもそも望遠が効かないという根本的な欠点がありますし、コンデジでもAFが付いていきません。また、「レリーズタイムラグ」といってシャッターを押してから実際に撮影できるまでのタイムラグがあるので、うまく撮影ができません。

 なので、大概はAF速度が速いミラーレス機か一眼レフで撮影するというのが一般的です。

私のサーキットデビューは、α55+70-300mm Gレンズの組み合わせでした。

 あとは、性能が良いカメラほど、AF速度が早く、追従性能が良いので、成功確率が上がります。なので、ミラーレス機や入門機の一眼レフでも撮れない…という訳ではなく、成功確率が下がると思えば問題はないと思います。

ミラーレス機で狙えるのか?

 以前は「サーキット撮影=一眼レフ」という固定概念みたいなものがありましたが、今では、ミラーレス機のAF性能が向上してきたので、ミラーレス機でも撮れるようになってきました。もちろん、機種によりますので、そのあたりは事前チェックが必要かと。

もはや、ミラーレスでも当たり前のようにサーキット撮影できる時代に…

 個人的には、ミラーレス機で注意をしたいのは、AFの速さよりもEVFの表示タイムラグのような気がします。もちろん、撮れない訳ではありませんが、撮りにくいのは間違いありません。その点、現状の各社のフラッグシップ機であるα6500/6300、OM-D E-M1 MarkⅡといった機種はEVFの表示タイムラグを最小限に抑えてあり、ファインダーの追従性は良くなっていると思います。

センサーサイズは、大きすぎるのは良し悪し

 一方で、考えた方がいいのはセンサーサイズです。確かに、センサーサイズが大きい方が、画質的にはいいのですが、サーキット撮影であまり大きなサイズのセンサーを使うと、焦点距離が大きいレンズが必要になり、必然的にレンズも大きく高価なものになります

 なので、大概の場合は、APS-Cサイズのフラッグシップ機を使うことが多いです(CanonであればEOS 7D MarkⅡ、NikonであればD500/D7200、SONYであればα77Ⅱ)。

続いてレンズのチョイス

 カメラが決まったところで、続いてレンズのチョイスになります。正直、レンズは望遠があればあるほど良いわけですが、サーキットやそれぞれのコーナーによって撮影できる場所からマシンまでの距離が異なるので、一概には言えませんが…

◆最低限:35mm換算300mmの望遠ズーム(APS-Cサイズで200mm)
◆普通は…:35mm換算450mmの望遠ズーム(APS-Cサイズで300mm)
◆できれば…:35mm換算600mmの望遠ズーム(APS-Cサイズで400mm)
◆理想は…:35mm換算400mmの明るい望遠レンズ

 といったところでしょうか。

α77+70-300mm Gレンズの組み合わせ。
70-300mmのいいところは手持ち撮影がやりやすいところですよね。

 私自身は、2014年までは300mmの望遠レンズをAPS-C機で撮影していました。このサイズまでなら、まだ気軽に持って行けるサイズだと思いますし、手持ち撮影もできると思います。また、レンズ自体も、サードパーティー製であれば、意外とお手頃なものが多いので、気軽にステップアップできると思います。

2015は、α77Ⅱ+70-400mm Gレンズの組み合わせが定番に。
この70-400mmを使うようになってから、一脚は必須になりました。

 これが、APS-Cで400mmを超えてくると、なかなか手持ちの撮影は難しくなります。もちろん、出来なくはないですが、かなり腕がプルプルしてしまいます。なので、こういった大きいレンズになると、やはり一脚の使用が前提となるでしょう。

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2016は、このα77Ⅱ+150-600mmの組み合わせが定番になりました。

 そして、実際にサーキットに行くと、このレベルのレンズを手にしている人をよく目にします。以前は、SIGMAの50-500mmや150-500mmが多かったですが、最近はTAMRONの150-600mmやSIGMAの150-600mmが徐々に増えてきている感じがします。

   

 また、理想の明るいレンズとは、300mm F2.8(いわゆるサンニッパ)や500mm F4(いわゆるゴーヨン)なんてレンズがそれにあたります。もうここまで来ると、プロでしょ!ってレベルになりますが、

 どうして明るいレンズを使うのかというと、フェンスをボカすことができるからです(詳しくは後の項を参照)。ただし、明るいレンズはメチャクチャ高いですし、流そうと思ったら、NDフィルターが必須ですので、その点も大変なんですけどね。

ミラーレス機最大のネックは意外とレンズ!?

 これは、結構な落とし穴です。

 ミラーレス機でサーキットでの撮影を行うことを考えた場合に、まずAF速度がどうなのか、そしてEVFの表示タイムラグがどうなのか、という2点が先走ってしまいがちです。

 ですが、実は結構大きな問題なのは、望遠レンズがあるかどうかということが地味に重要だったりします。特に35mm換算で450mmを超えてくると、それなりなレンズが必要になるわけですが、ミラーレス機用の望遠レンズというのは、サードパーティー製がまだ発売されていないので、仕方なく高い純正の望遠レンズを買う必要があり、結構なコスト高になってしまいます。

 例えば、私が持っているSONYのEマウントでも、ようやく2017年に100-400mmが発表されました。

Ke-Kun的オススメ機材はこちら

 そんな私が、「これから本格的にサーキット撮影を楽しみたい!」けど「オススメな機材は何?」と聞かれたら、紹介をするだろうセットはこちら。

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【ボディ】Canon EOS 7D MarkⅡ
【レンズ】TAMRON 150-600mm SP F5-6.3 Di VC USD

 どうしてこの組み合わせかというと、まず7D MarkⅡは、APS-C機でAFポイントが多くてAFも速い、連写性能もいい上に、何よりコスパがいい。実際、プロが結構使っていることも多いぐらいの機種なので、ほぼ間違いはありません。中途半端にKissシリーズや70D/80Dを買うのであれば、7Dm2がベストです。

 レンズはいろいろとありますが、何かとこの150-600mmが重宝します。正直、岡山国際サーキットをメインとする人であれば、400mm程度でもいいような気がします(持ち運びが全然違いますので…)。

 ただ、他のサーキットに行くと、400mmよりももうちょっと望遠のレンズが欲しくなりますからね。かといって単焦点レンズなんて、普通の人は買えるような値段ではありません。その点、この150-600mmはコスパがいいので、今やサーキットのスタンダードレンズになっていますから。

  

 過去には、50-500mmとか、150-500mmというのもありましたが、今はもう150-600mmがタムロンとシグマからそれぞれ出ていて、そちらに切り替わっている感じはしますね。また、サイズ的に150-600mmはちょっと…という方は、SIGMAから新しく出た100-400mmがオススメです。三脚座が無いですけど、その分、手持ちで撮るにはちょうどいいサイズだと思います。

サーキットに行こう

 カメラとレンズが用意できたら、とりあえずサーキットに足を運びましょう。というのも、サーキットでの撮影というのは結構特殊なので、経験値がモノを言います。そりゃぁ、高速道路とかで練習してもいいですが、どう見ても不審者ですからね。

 日本国内で主要なサーキットは、

 ・スポーツランドSUGO(宮城県)
 ・ツインリンクもてぎ(栃木県)
 ・富士スピードウェイ(静岡県)
 ・鈴鹿サーキット(三重県)
 ・岡山国際サーキット(岡山県)
 ・オートポリス(大分県)

 の6か所。ほかにも、十勝とか筑波とかありますが、大体はこの6つだと思います。一番有名なのはF1も開催される鈴鹿サーキット。また、富士スピードウェイも過去にはF1を開催していますし、最近はWECが開催されます。その次に有名なのは、MotoGPが開催されているもてぎでしょう。特にこの3つは、グランツーリスモなどのゲームにも収録されているので、知っている人も多いでしょう。

 あとの3か所はややマイナーですが、岡山国際サーキットは、昔は「TIサーキット英田」と呼ばれ、F1も過去に開催したサーキット。SUGOは、起伏に富んだレイアウトで、毎回レースが荒れることから、「魔物が住んでいる」と呼ばれています。また、オートポリスは、F1開催を目指して建設されたコースですが、結構面白いレイアウトのコースです。

 まずは、自分の家から近いサーキットを目指して行ってみることです。私の場合は、鳥取県東部在住なので、幸いいにも、岡山国際サーキットまで鳥取市内からでも1時間半ほどの距離。米子に行くぐらいの気分なので、気軽に足が運べます。もちろん、日帰りの範囲なので、ちょっとお出かけ気分で十分いけますからね。

事前調査はしっかりしておこう

 私も初めて行く時がそうでしたが、初めてサーキットを訪れる時って、結構ドキドキするんですよね。独特の雰囲気があるし、暗黙のルールみたいなのもあるし、どうやって行く?、車どこに止める?、ホテルはどうする?とかとか…。

 で、ネット社会の昨今ですが、意外とそういった部分を紹介しているHPって少ないんですよね。なので、私としては、毎回サーキットを訪れた時は、「撮影記」ということで、単純な撮影だけではなくて、いろいろと掲載をするようにしているんです。自分が見返すというのもあるけど、サーキットの雰囲気を知ってもらって、もっと気軽にサーキットに足を運んでもらうための手助けになれば…と思ってそうしています。

サーキットで違うコースまでの距離

 これ、意外と指摘されないと気付かないのですが、サーキットによって、撮影できる場所からコースまでの距離が違います。一般的に古いサーキットほど近く、最近のサーキットほど遠い気がします。

 私が行ったことのあるのは、鈴鹿・岡山国際・オートポリスの3か所ですが、私の独断と偏見によると、

【近い】 岡山国際 < SUGO < オートポリス < 鈴鹿 < もてぎ < 富士  【遠い】

 じゃないかなぁ?と思っています。

 岡山国際が距離が近いというのは、たぶん誰も文句がないでしょう。特に、後半セクションのホッブス~マイクナイト~最終コーナーは、元々観覧席として考慮してなかったようで、かなり近い位置から撮影が可能です。ほかに、ヘアピン~リボルバー~パイパーも近いですし、モスS~アトウッド~バックストレート以外は、ほとんど撮影が可能です。

岡山国際は、撮影窓の攻略がカギ!!

 普通、サーキットでの撮影というのは、フェンスの上から撮影するのが基本なのですが、岡山国際サーキットは撮影窓が随所に設置されているので、うまくやるとうまく撮れるというのがコツですね。

岡山国際は、随所にこういうフェンスに窓のような撮影窓が設置されています。

ただし、岡山国際サーキットは、フェンスから2mほどのところに
立ち入り禁止のバリケードみたいなのがあるので、
フェンスにかぶりつけれないところがあります。

意外といろんなところにある撮影窓

 これも岡山国際ですが、たまに緊急的な撮影窓があって、普段は緑のネットがかけられ、撮影するときにだけ捲るという撮影窓があったりします。かといって、自分では捲れませんのでご注意を。

岡山国際攻略の必須アイテム!折りたたみ椅子!!

 もう1点、岡山の撮影窓攻略に重要なのがコレ!。

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 そう、折りたたみ椅子です。どうして、これが岡山国際の攻略に重要かというと、この撮影窓って、しゃがんでちょうどいいぐらいの高さに設置してあり、これをしゃがんだまま撮影するのって、本当シンドいんです。なので、ホント、この折りたたみ椅子が重要です。これがあると、普通は撮影を諦めるようなところで、ドンドン撮れますからね。まぁ、もちろん荷物にはなりますけどね。

鈴鹿はフェンスの上から

 一方、鈴鹿は、2コーナーから逆バンクまでと、ヘアピンあたりが撮影ポイントですが、1コーナーやスプーンは結構距離があります。撮影窓も基本的にはないので、鈴鹿はフェンスの上から撮影するというのが基本になります。

鈴鹿のヘアピンはフェンスが低いので、最前列でもフェンスの上から撮影可能。

鈴鹿の2コーナーのこのポジションは、数少ないフェンスが気にならないポジション

 さらに、これが富士になると、一部で近いところもありますが、全体的に余裕が見てあるので、コースからフェンスまでの距離が遠く、なかなか撮影しづらい感じがします。

 まぁ、でもこのあたりはどうしようもない所もあるので、それぞれのサーキットの良い所と悪い所を認識しておくとよいでしょう。

撮影ポジションを見つける

 サーキットに付いたら、まずは撮影ポジションを見つけましょう。


岡山屈指の高速コーナーのマイクナイトコーナー。
SUPER GTだと火花が撮れちゃうことも。


これも岡山のマイクナイトの立ち上がり。
これだけ低いアングルから、アマチュアが撮影できるのってそうそう無いんですよ!。


鈴鹿の2コーナー立ち上がりを激感エリアから。

鈴鹿のヘアピンはフェンスが低いので、最前列でもフェンスの上から撮影可能。

 できれば、事前にチェックしておくことをおススメします。というのも、走行時間は限られるので、その限られた時間でたくさん撮影しようと思ったら、事前に見つけておくのが良いでしょう。

 今の時代、インターネットで調べればいろいろな記事や写真が出てくるので、プロアマ問わず、いろんな写真を見る中から、「こういう写真が撮りたい!」というのを見つけて、それを事前にチェックしておくのがいいでしょう。

背景をちょっと気にしてみる

 私が、撮影ポイントを決める上で気にしているのは、実は背景です。

 この写真、どう思いますか?。私個人としては、何だか物足りなさを感じます。つまり、被写体であるマシンは問題ないのですが、背景がとても味気ないんです。特に、こういう背景の多くがアスファルトになってしまう構図というのは、基本的には避けるようにしています。なので、縁石とか、タイヤウォールとか、看板とか、そういうものを入れたくなります。特に流し撮りとなると、こういった周りのものは非常に重要です。

止めるのか、流すのか

 マシンを撮る場合に、やり方としてはパシッと止めて撮るか、いわゆる流し撮りをやるのかで大きく設定が異なってきます。

パシッと止めて撮る場合

 撮るのが簡単なのはこちらです。設定としては、シャッター速度を上げて撮影します。シャッター速度は速ければ速いほど、パシッと止まって写りますが、あまり止まったように移してしまうと、写真に動きが無い感じになります。なので、最低どもマシンのホイールが多少はブレるぐらいを目安にして、画角や速度にもよりますが、1/200s~1/300sあたりを目安にしながら、車の動きに合わせカメラを動かした方が良いでしょう。


岡山の中でも車速の遅いホッブスコーナーで、1/250sで撮るとこんな感じ。

流し撮りをする場合

1/100sだとこんな感じ。いいじゃないですか!。

 これが意外と難しいです。こちらは、シャッター速度を下げつつ、カメラを車を動きとあわせて撮影することで、マシンはパシッと写しつつ、背景はブレさせるという手法になります。この時、基本的には手振れ補正機能をオフにするのが一般的です。最近は、流し撮りに対応した手振れ補正対応の機種やレンズも出ていますが、真横や真縦に流すのは良くても、斜めに流すと誤作動が起きて、逆に映るが悪くなるものもあるので、そのあたりは試してみるのがいいと思います。

 もちろん、シャッター速度をどんどん遅くしていくと、背景どんどん流れていい感じの写真になっていきます。とりあえず、SUPER GTだと1/160sあたり、SUPER FORMULAだと1/200sあたりから徐々に遅くしていくのが、とりあえず目安だと思います。こればっかりは、コツというよりも、経験を積んでいくしかないので、失敗を恐れずにドンドン撮ってみましょう。

これで1/60s。鈴鹿サーキットのヘアピンの立ち上がりです。

 まずは、真横のカットの流し撮りから始めると上手くいきやすいかな。それから、徐々にコーナーでの流し撮りにチャレンジするのがいいと私は思います。

シャッター速度は遅いほど、ピントの合う範囲が狭くなる!?

 実は、このあたりが実際に撮影を重ねていかないと分からないところですが、下の2枚の写真を見ていただきましょう。



 この2枚を見て、違いが分かりますか?。同じMOTULのマシンで、ほぼほぼマシンの位置も同じ、シャッター速度も同じなのですが、上の写真はマシン中央部(ドアの部分)がブレずに見えていますし、下の写真はフロント部分がブレずに見えています。

 これ、意外と難しくて、シャッター速度を遅くすれば遅くするほど、ブレない部分の面積が小さくなるんですよね。だから、逆に車体全体をピントを合わせようと思うと、シャッター速度を速くしないといけない。ただそうすると、流し撮り感が台無しになるんですよね。

 どうしてこういうことが起きるのかというと、詳しくはこちらで「成功ブレ」という表現で紹介されているが、要は、撮る側がきちんとマシンと同調して流したとしても、車自体がわずかながら回転運動をしているので、否応でもブレてしまうみたいです。

 その同調がマシン前方と同調するのか、マシン横と同調するのかで、微妙にピントが合う位置がズレてくる。基本的には、マシン前面にピンとが来るのが一般的なので、このあたりもなかなかやっていくうちにハマる流し撮りの難しいところですよね。

フェンスをどう攻略するか

 サーキットでの撮影でクセモノとなるのが、何を隠そうフェンスです。正直、まだ岡山国際や鈴鹿であれば、そこまで気にせずに撮影できなくもありませんが、富士なんかはなかなか大変そうです。

 無論、フェンス越しに撮影をすると、被写体の上にフェンスが被ってしまいます。これではいかんですよね。

 ただ、ここで「フェンス越しは無理」と思うと、かなり構図が限られてしまいます。なので、是非とも「どうやったらフェンスの存在を抑えられるのか」という方向に考えていきたいものです。

①できるだけレンズとフェンスの距離を短くする

 まずは、できるだけフェンスに近づいて撮影することで、フェンスをボカすことができます。



 岡山国際サーキットのヘアピン立ち上がりがまさにこれですよね。なので、かぶりつけれるのであれば、フェンスにかぶりついた方がいいです。ただ、寄りすぎると、流し撮りしながらフェンスにぶつかるんですよね。あれ、地味に恥ずかしいです。

 ちなみに、このポジション、兵は脚立を持参して、このフェンスの上から狙いますけどね。

②フェンスと被写体の距離を長く

 さらに、フェンスから被写体の距離を長くすることで、こちらもフェンスをボカしやすくなります

 いい事例があるわけでもないですし、そうそうフェンスと被写体の距離を調整できるわけではないのですけどね…。

③できるだけセンサーサイズは大きいカメラで

 これもボケの鉄則ですが、大きいセンサーサイズのカメラの方がボケやすいので、フェンスがボケやすくなります。

 ただ、これも先のレンズの話もあり、フルサイズにすると焦点距離が短くなるので、それはそれでなかなか大変です。なので、やっぱりAPS-Cってところでしょうね。

④より長い焦点距離を使う

 これもよく言われるところですね。結構、フェンスにかぶりついていても、100mm程度だと結構フェンス写りこむときあるんですよね。なので、できるだけ長い焦点距離を使いましょう。

⑤できるだけ明るいレンズでF値を小さく

 そして最後は、これもボケの鉄則ですが、できるだけ明るいレンズで撮影すること。ただ、これにはレンズの開放F値という物理的な限界があるのと、シャッター速度を遅くするのに絞らないといけない…という露出的な問題もあります。

 まず、明るいレンズ、しかも望遠レンズで…となるとかなり金額が張ります。70-200mm F2.8なら、サードパーティー製であれば、10万円前後から買えますが、300mm F2.8クラスになると数十万レベルになります。なので、明るいレンズといっても金銭的な限界がありそうです。

サーキットでは、見方によれば高級レンズの品評会になることも…

地味に重要なNDフィルター

 そのため、「明るいレンズ」ということも大切ですが、「あまり絞り過ぎない」ということの方がむしろ大事な気がします。どうしても「流したい」と思って、スローシャッター気味になっていくと、その分絞ってしまい、暗くなってしまいます。なので、そのあたりを気にしながら、ND 4やND 8のフィルターを使いながら、露光量を調整する必要があります

流し撮りにはNDフィルター必須ですね。

 個人的には、サーキットでのレンズの付け替えって結構億劫になりやすいので、ちょっと暗いぐらいにしておいて、あとはISO感度で調整をした方が楽だとは思います。

一脚は使った方がいいのか?

 サーキットに足を運ぶと、やたらと一脚を持参している人を目にします。

 そもそも、どうして一脚を使うのか。これには大きく2つ理由があります。

 1つは、重い望遠レンズを常に持ったまま撮影していると、1日撮影しているだけで腕の疲労がかなりきてしまい、最後はプルプルし始めます。その腕への負担を軽減するというのが1つあります。

 さらに、もう1つの理由は撮影ポジションを安定させるため。特にコーナーの立ち上がりとか、構図を決めて撮影する場合に、手持ちでその構図をキープするのってなかなか大変ですからね。

 ただ、他の観光地とか撮影地に行っても、三脚は目にすることがあっても、一脚なんてほとんど見ないんですけどね。それは、1つはサーキットは撮影場所が狭く限られるので、他の人に邪魔にならないように三脚は使わないという暗黙のルールがあること。そして、あちこち移動することが多いので、その移動性を考慮してのことだと思います。

本当に一脚は使った方がいいのか?

 個人的な見解からすれば、300mm程度のそこそこのレンズであれば、手持ちの方が撮りやすいです。

 実は、私はサーキット撮影を始めて数回目の時に、一度一脚を使ってみて断念した経験があります

 それはなぜかというと、手持ち撮影に慣れてから一脚を使うと、マシンに合わせてカメラを動かすのが意外と難しいからです。一脚は、地面に設置している点を軸にカメラを動かしますが、これがなかなか思ったように(というか、マシンと同期させて)動かすのが難しいです。なので、一度試したっきりで、しばらく一脚はお眠り状態でした。

実は一脚の利用率って、2割ぐらいのもんだと思うんですよね…

 ただ、それが再び一脚を使おうかなぁと思うようになったのは、どんどんスローシャッターでの流し撮りを取り始めたとき。1/100sとかそれぐらいなら手持ちで撮れなくはないのですが、それ以下で撮ろうと思うと、不要な縦ブレを抑える一脚撮影の方が撮りやすいのです。ただし、個人的にはどうしてもボディに一脚を取り付けるというのが撮りにくいので、レンズに三脚座の付いている70-400mmを導入したのをキッカケに一脚を使うようになりました。

 もちろん、今でもちょと撮影するときなんかは手持ちで撮影するケースもありますし、場合によってはそちらの方が歩留まりがいいケースもあります。ただ、撮影穴に合わせて撮影したり、構図を決めて撮影する場合は、構図キープが必要なので、そうなると一脚を使います。なので、あまり「一脚ありき」ではなく、自分の撮りやすい方法を見つけて頂きたいと思います。

雲台は使うべき?

 また、以前は一脚を直接カメラの三脚穴に付けていましたが、最近は自由雲台をかませるようになりました。

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 私が今使っているのはアルカスイス互換の自由雲台

 これは、1つには、クイックシューを使いたいという面もありますが、流し撮りをする際には、撮影をするシチュエーションや構図によって、微調整をした方が撮影しやすい場面が多いので、荷物にはなりますがそのようにしています。ただ、正直、このあたりも好みですので、自分の好きな方でいいと思います。

 たまに、自由雲台を使っていて、固定をせずに首がグラグラのまま撮影している人をサーキットで目にしますが、あれは逆に撮影しにくいと思うんだけどなぁ…。

サーキットでは雨が降るということを忘れるな!

 これって、「当たり前だろ!」と思うかもしれないのですが、自称雨男の私ですが、2014年までにサーキットに行ったときって、結局あんまり雨降らなかったんですよね。降ったとしても、途中でパラパラ程度で、その時には避難して…って感じでした。

 それが、2015年になってから、鈴鹿SF公式テストが小雨、SGT岡山戦が雨、鈴鹿1000km2日目が雨、S耐岡山戦の2日目が雨と、結構雨に泣かされています。


2015.04 SUPER GT岡山戦は雨模様…


2015.08 SUPER GT鈴鹿1000kmも決勝日は雨模様…

2015.09 S耐岡山戦決勝日は激しい雨…

 近くにサーキットがあったりして、「雨が降るから止めよう」なんて決めれる場合はいいのですが、大概の場合はそんなことは言えません。しかも、前日まで販売している前売り券ならまだいいですが、パドックパスなんかだと、前売りは1週間前までとかってのもありますからね。

 そういったときに、どうやって雨を乗り切るのかが大切になってきます。

 まず、サーキットでは基本的には傘禁止という面があります。もちろん、全面禁止という訳ではありませんが、スタンド席やグリッド上などでは係員から「傘は閉じてください」と言われるケースがあります。また、そもそも傘を差しながら撮影ってのも姿勢的に大変ですからね。なので、ほとんどの方は、カッパやレインコート、ポンチョを着ているケースが多いです。カッパやレインコートのいいところは、防水性が良いということ。ポンチョだと、どうしても足元が濡れてしまうケースも多いので、人によってはカッパズボン+ポンチョという人もいます。

 逆に、ポンチョのいいところは、余裕があるので、カメラバッグを背負った上からポンチョを着ることができるということ。最近のカメラバッグはレインカバーが付属しているものが多いですが、背中面はカバーがないってのも多いです。そういった点では、ポンチョの方が安心かもしれません。

 あと、地味に大事なのが足元。意外とポンチョやカッパは持ってきたのに、足元は靴のままで足元がグチョグチョっていうケースもあります。この点も、人によってはちゃんと長靴を履いている人もいます。

カメラの防水対策

 さらに、人の体以上(!?)に大事なのが、カメラです。カメラは電子機器なので水は大敵!!。雨のサーキットでカメラが壊れた…というケースが意外と少なくないようです。

 そのため、雨が降ると、多くのカメラマンはカメラ用のレインカバーを使用します。ただ、このレインカバー、いろんな種類があるので一度、いろいろと調べてみた方がいいと思います。

 一方で、ごみ袋などを活用して緊急的なレインカバーとして使用している強者も結構います。これのいいところは、フラッシュなんかも考慮して、そのまま覆えるということですよね。

 ただ、度々サーキットに足を運ぶ人なら、1つは持ってはおきたいアイテムですよね。また、ちょっとした雨なら、タオルをカメラの上にかけて乗り切るという方法もあったりします。

気にして欲しい保護フィルターの撥水性能

 こういう雨の時にレインカバーで対応していても、どうしても濡れてしまうのは、レンズの部分です。さすがに、ここはカバーを付けることはできませんからね…。

 その時に、問題になるのは、レンズの撥水性能です。レンズといっても、実際には保護フィルターを付けていることが多いので、実際は保護フィルターの撥水性能です。

 不思議なことに、このカメラ業界において、数ある保護フィルターの中で、Kenkoの「Pro1 Digital」というのが、スタンダードと言われるぐらいよく目にします。ただ、実はこのPro1Dは、撥水コートの処理がされておらず、撥水性能を期待したいのなら、もう1ランク上の保護フィルターを選ぶ必要があると思っていました。

 ただ、ふと気付いたときに、Kenkoと並んでシェアの高いMARUMIさんの「DHGスーパーレンズプロテクター」がPro1Dと比較して安いのにもかかわらず、撥水・防汚コーティングが施されているんですよね。なので、雨でも水滴が付きにくいし、汚れにくい。さらに、このコーティングのお陰で、フィルターの掃除もしやすいです。

 おかげで、今ではサーキットで使う期待の多いレンズから順次、MARUMIさんの保護プロテクターに切り換えています。

防塵・防滴のうらやましさ

 とはいっても、カメラにレインカバーを被せていたりしても、濡れた手などで触っているとカメラが濡れてきますし、突然な雨となると結構ヒヤヒヤします。

 そうなってくると、羨ましいのが防塵・防滴のカメラです。

 もちろん、本格的にレジャーなどで使える防塵・防滴のカメラもありますが、ここで言うのは、デジイチでありながら防塵・防滴という機種。ただ、ここで問題なのは、カメラは防滴でもレンズが防滴ではないというケースって意外とあります。また、メーカーによって、オリンパスのように「防塵防滴です」「雨の中で使っても大丈夫!」と堂々とうたっているメーカーもあれば、SONYのように「防塵・防滴に配慮をした設計です」という何とも弱腰な表現のメーカーもあります。

 とはいえ、少なからず防滴と知っているだけでも、気分が違うのではないでしょうか。なので、一度、自分の機材がどこまで防滴性能を持っているのかというところは知っておくといいと思います。

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