DSC-RX100性能チェック Part.2
~マクロ性能編~(2013.01.08)

 RX100の性能チェック第2弾。実は、私の場合、仕事上、ワイド端での撮影もある一方で、マクロ的な撮影をすることもあるんですよね。購入前から、「あまりマクロ性能は良くない」とのことでしたが、解像度の高さもあり、等倍するとどうなるのか?も含めて検証してみました。

マクロ撮影性能は、何で評価すべきなのか?

 そもそも、マクロ撮影の性能を、何を基準に判断するのがいいのだろうか?。そう考えたときに、多くの意見では2つ上げられるだろう。

その1.ワーキングディスタンスor最短撮影距離

 あえて、ここで用語の説明をするつもりはないが、カメラやレンズによって、最も被写体に近づいて撮影出来る距離があり、その時の撮像素子から被写体までの距離が「最短撮影距離」、レンズ先端から被写体までの距離が「ワーキングディスタンス」となる。

 つまり、被写体に最も近づけるものがマクロ性能が高いんじゃないの?、という考え方。

 これ、実は間違っているんですよね。一眼ユーザーの方なら大丈夫だと思いますが、最短撮影距離の時の焦点距離が問題なんですよね。それによって、実際に写る程度が全然変わってきてしまう。

 このことは初心者の人が良く間違えてしまうのですが、なんでも被写体にできるだけ近づけるのがマクロ撮影には適していると思っている人がいますが、意外とそうでないこともあるんです。

その2.最大撮影倍率

 なので、一眼の世界では、実際に撮像素子にどれぐらいの大きさで映し出すことができるのかというものが、「最大撮影倍率」というもので示されています。

 この、最大撮影倍率とは、例えば1cmのものが撮像素子に1cmとして映し出すことができるなら1倍(等倍)、1cmのものが0.5cmとして映し出すことが出来るなら0.5倍というような表示のされ方とをします。

 一見すると、この最大撮影倍率でマクロ性能を比較できそうですが、ここでも問題が出てきます。というのも、撮影者にとって、問題になるのは、撮像素子にどのぐらいの大きさで映し出されるか、ではなく、写真の中にどれぐらいの大きさで映し出されるのか、が問題となってくるからです。

 どういうことかというと、確かに同じ撮像素子のカメラで、レンズによるマクロ性能の差を見るのに最大撮影倍率は意味があるのですが、今回のように撮像素子のサイズが違うものを評価する場合に、最大撮影倍率ではあまり意味が無いんですよね。

では、何で評価すべきなのか?

 ずばり、「最小撮影長」です。私が作った造語なので、一般用語ではありませんが、用は、そのカメラ(レンズ)で画面一杯に入れることができる最小の長さです。

 日本語で語ると難しいように聞こえますが、何でも無い、定規にできるだけ近づいて、何mmを画面一杯にできますか?という数字です。

DSC-T100(拡大鏡モード)

 たとえば、この写真は、DSC-T100(拡大鏡モード)で出来るだけ撮影したもの。これだと23mmを画面一杯に映し出すことができるってことになります。

DSC-HX5V

 まず、こちらがHX5Vのワイド端側(×1.0倍・4mm)で撮影したところ。これだと、75mmが限界となってしまいます。

 なのですが、不思議なのはここから…

 こちらは、ワイド端側から少しズームをして、×2.3倍・10mmで撮影したところ。実は、一番このあたりが寄ることができて、37mmになります。実は、この事実があまり知られていません。私自身、『HX5Vって寄れないなぁ…』と思って、いろいろと検索していたところ、こちらのサイトを見て、×2.4倍前後が一番寄れるというのを知って、それ以後、わざわざ倍率を変えてから撮影するようにしていたぐらいです。

DSC-RX100

 注目のRX100ですが、ワイド端側で撮影したら、75mmが限界となってしまいます。う~ん、評判通り、あんまし寄れないですね。試しに、HX5Vの時のように、少し離れたら意外と寄れたりするかなぁ…と思っていろいろとやってみましたが、全くダメですね。どうあがいても、このワイド端が一番寄れるところのようです。

 ただ、冷静に考えてみたいですが、ワイド端で75mnm限界って実用上、そんなに問題はないと思うんですよね。というか、虫や葉を撮影することは多いですが、そんなに花の雄しべや雌しべを撮るわけではないですし、

実は、最大撮影倍率で計算すると意外と悪くないんです

 ここで少し、数字的な計算をしてみますが、それぞれのセンサーサイズに照らして、最大撮影倍率を計算してみました。

 DSC-T100 (センサー幅)6mm÷(最小撮影長)23mm=(最大撮影倍率)1:4倍(0.25倍)

 DSC-HX5V (センサー幅)6.2mm÷(最小撮影長)37mm=(最大撮影倍率)1:6倍(0.168倍)

 DSC-RX100(センサー幅)13.2mm÷(最小撮影長)75mm=(最大撮影倍率)1:5.7倍(0.176倍)

 こう見ると、確かにT100は一歩リードではありますが、HX5Vとすごい大きな差がある訳では無いんですよね。逆に言うなれば、実際の等倍ベースで見たときに、差が出そうな気もしなくはないです。

 ただし、厳密に言えば、センサーの幅が違いますなので、35mm換算に揃えた場合…

 DSC-T100 1.565倍
 DSC-HX5V 0.97倍
 DSC-RX100 0.48倍

 となり、圧倒的にRX100がダメだって話になります。しかも、これがワイド端ですからね…。逆に言えば、やはりセンサーサイズが小さいことは有利なんですね。

では、実際のマクロ画質を見てみる

DSC-T100

 確かに、画面一杯に写っているという部分では、マクロ性能は高いといえますが、細かいディテールは良くありません。WBはオートですが、色味もなんだか変な感じがします。いずれの写真も、Pモードでdakarの中央にピントを合わせていますが、被写体に寄れている分、少し周囲になるとかなり甘くなります。

DSC-HX5V

 T100と比べると、かなりディテールも良く、発色もいいです。寄っている割には、周囲も比較的はっきりとしています。個人的には、結構ナチュラルでいいなぁと思います。

DSC-RX100

 こちらが、Pモードで撮影したものですが、室内撮影ということもあってか、F1.8のため、周囲が完全にボケてしまっています。とてもじゃない、これでは使い物にならんですな…。

 ということで、今度は絞り優先のAモードで、F11にして撮影。こうすると、被写界深度が深くなっていい感じになります。

 実は、ここからがRX100の真骨頂。先のRX100・F11の写真をHX5Vの画角にトリミング(4:3)し直したものです。というのも、元々が20Mピクセルなので、このトリミングでも、5.7Mあります。確かにHX5Vの10MBには負けますが、周囲や等倍でのディテールの高さを加味すれば、意外と問題ないのではないでしょうか。

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