α77Ⅱ 1年半使用感レビュー (2016.01.03)

 以前、購入して2か月ぐらいの頃にレビューを書かせてもらいましたが、あれからさらに1年ちょっとが経過して、その間にα6000という名ミラーレス機にも出会い、また度々サーキットでも使ってきたことで、いいところも悪い所も見えてきた気がします。ですので、今回はα6000との対比といった点も含めてレビューしてみたいと思います。

レスポンスの良さは抜群!

 α6000との併用をしていると一番感じるのはこの点ですよね。

 α6000も結構連射がバンバン撮れるしいいんだけど、一度、撮影を終えて、次の撮影に…となると意外とすんなりいかないんですよね。設定を変えようと思っても、記録中は操作ができないこともしばしばです。

 その点、α77Ⅱになって、不満はない!と言ってもいいぐらいレスポンスは抜群にいいです。あまり連射をしすぎると、プレビューだけはモタツクことが多少はありますが、設定はすぐ変更できるし、撮影自体は問題なくできます。

 特に、α77からのバッファ容量の拡大効果は絶大です!!。私のようにサーキットでモータースポーツを撮影するとなると、「撮りたいのに撮れない!!」というフラストレーションがα77の時は結構ありましたが、α77Ⅱだと、プレビューはできなくても、まず撮影が出来ないということはないので、どんどん気軽に撮影ができます。基本、RAW撮影する私でそうなので、もしJPEG撮影での運用であれば、もう問題ないのではないでしょうか。

ミラーレスのAFエリアの広さに慣れると、決して広くはない

 Α55⇒α77⇒α77Ⅱとステップアップしてきた私にとって、徐々にAFエリアが広くなってきたのはいいこと。α77Ⅱの広さに慣れると、もはやα77には戻れないですよね。ここまで広いと、中央のAFエリアでピントを合わせてから、構図を整えるというピン置きの撮影スタイルすら忘れてしまいます。

α77ⅡのAF測距点のエリア。全然広くなりましたよね。

 ただ、それがα6000に出会ってしまうと、さらに次元が違うAFエリアに感動しました。

α77

α77Ⅱ

α6000

 これを見たらよく分かりますよね。確かに、α77ⅡでもAFエリアかなり広がっているのですが、やはりα6000を味わってしまうとダメですなぁ…。

 もちろん、このサンプルみたいに、画面の隅にピントを合わせて撮影するなんて、そうそう構図としても無いのですが、縦構図で被写体を隅に寄せて…となると、微妙にAFエリアから外れてしまいます。無論、DMFでセンターで合わせてから構図をズラして撮ればいいのでしょうが、α6000のような広いAFに慣れてしまうと面倒になるし、何より被写体の人物がいる状況だと、ピン置きしてから構図を作り直すというのが、「なんか悪いなぁ」という印象があるんですよね。

 なので、標準から広角寄りの撮影では、α6000の方を使う機会が圧倒的に増えてきました

実はあまり精度が良くない!?AF-Cでのポートレート

 実は今年の春には「あれっ?」と気付いていたのですが、このことって、よく忘れるんですよね。というのも、サーキットでマシンを撮影するときは、否応でもAF-Cでなければ撮影できないのでそうするのですが、ポートレートを撮影するときに、たまに動くときなどは、「AF-Cでもいいかな」と思って、AF-Cで撮影することもあります。

 ただ、同じレンズで同じような設定環境で撮影をしていても、日によって、AFが甘い時があって、はじめは「なんでだろう?」と思っていたのですが、あとあと考えてみると、どうも、AF-CとDMFの違いだということに気づきました

AF-Cで撮影

DMFで撮影

 ぜひこの2枚をじっくり見てみて下さい。リンク先は、フル画素そのままでアップしているので、違いを見て頂ければと思います。この2枚の写真、同じα77Ⅱボディで、レンズは同じTAMRONの70-200mm F2.8。画角も同じ200mmで、絞りも同じF2.8開放で、シャッター速度も同じ1/320s。違うのはAF設定だけです。もちろん、撮っている環境も違うし、完全に同じでは無いですが、左の船上山さくら祭りの方が甘いことが分かって頂けると思います。

 DMFだと、ナナニッパレンズの開放F2.8で撮影しても、かなりキレッキレのガチピン写真が取れるのに、AF-Cだとそのカリカリ感が薄れます。たぶん、AF-Cを使っていると、動くことがないポートレートでも、「動くかもしれない」とカメラが判断して、微妙にAFを動かしてしまっているのかもしれません。ここ最近は、この違いに気づいて、撮影対象によって、きちんとAFモードを変えるようになりましたが、ちょっと注意が必要です。まぁ、DMFだと瞳AFも使えたりしますから、その方がいいですよね。その点はもしかしたら、あとのAF設定で多少改善されるかもしれません。

AFエリア設定でゾーンが選べたら…

 実は、この点が、α77からα77Ⅱになってダウングレードした点でもあります。

 α77では、ワイドとローカルの間に「ゾーン」という設定があって、AFエリアを左側・中央・右側の3つで選択することが可能でした。

 それが、α77Ⅱになって、「ゾーン」というのが引き続き設定があるものの、測距点が増えたことで、ゾーンはもうちょっと狭い意味になってしまいました。なので、ざっくりと、「被写体を左側におさめる構図で撮りたい」となっても、それよりもう1段細かい設定になってしまいます。

 特にα77時代は、このゾーン設定を使っていたので、ちょっと残念ですね。

AF設定には注意せよ

 α77Ⅱの設定項目の中に次の2つの項目があります。

 ・AF駆動速度 (AF drive speed)
 ・AF追従感度 (AF Track Duration)

 これが、つい最近まで勘違いをしていました。

 取扱説明書を読むと、駆動速度は、そのままで「AFのピント合わせの速度を切り替える」もの。なので、サーキットでの撮影は「高速」で問題がありません。

 それに対して、追従感度は「AFの追従感度を設定する」で、「距離の異なる被写体を次々に撮影するときは[5 (高)]、多くの被写体が交差するときは[1 (低)]を選ぶと便利です。」となっています。私はてっきり、「高」にしておいた方が追従感度が高くなるものだと思っていたのですが、どうやらそうではなく、急に飛び込んできた被写体にピントを合わせて追従するのが「高」という意味のようです。なので、モータースポーツのような場合は、だいたい手前からAFを作動させていて、それに食いつかせたままの方がいいので、あまり追従感度を高めない方がどうもいいようです。

 完全に私は勘違いしていました。てっきり、追従感度「高」の方が、食いつきがいいものだと思っていました。この点、つい最近知ったので、この点について、実際にどう変わってくるのかは来年にならないと分からないですが、ちょっと楽しみです。

 実は私がこのことを感じた1つのキッカケは、海外で公開されている『α77Ⅱ 4D FOCUS Camera Setting Guide』というものなんです。この中のCase2 "Focusing on a fast-moving subject"という項目で、飛行機の撮影が紹介されているのですが、この場合、AF追従感度は2~3で、同様のセッティングとしてモータースポーツも…って紹介されているんですよね。海外版なので、全部英語でなかなか読むのは大変かもしれませんが、ぜひ読んでみると勉強になると思います。

 にしても、こういう実践Tipsって、αユーザーは不利ですよね。プロの多いCanonやNikonは、いろんな場面でAF設定なんかの実践Tipsの話がこぼれてくるけど…。

改めて感じる3軸チルト液晶モニター

 すでに、α77でも搭載されていた3軸チルト液晶モニターですが、α6000の普通のチルト液晶に触れると、なおさらその良さを感じます。

横構図なら、α6000の液晶でも撮りやすいです。

 ただ、これまでは花火の縦構図の時ぐらいしか感じていなかったのですが、今年、新たに感じたのはローアングルでの縦構図撮影。今年、ちょくちょく頼まれて甥っ子を撮影する機会があったのですが、それとなくいい感じに撮影しようと思い、子どもと同じ目線のローアングルから撮影するのですが、この時、3軸チルト液晶があると、すごい撮りやすいんですよね。他社製の横にズレる形のバリアングル液晶も縦構図に対応できますが、光軸上からもズレないですし、すごいいいです。もちろん、α自体が通常撮影とライブビュー撮影の違いが無いし、顔認識は働くし、そもそもメッチャ撮りやすいですからね。

 なので、本当ならα6000でもいいんだけど、この3軸チルトを使いたいがために、α77Ⅱを使うという機会も少なくないですね。だかこそなおさら、α77Ⅱのボディのままでいいから、Eマウントのフル性能を搭載したフラッグシップ機出してよね!って思うんですよね。

Wi-Fi&NFC搭載は便利

 当初は、「α77Ⅱでスマホ連携って使うのかな?」と思っていましたが、やはりSNSを多用するようになってくると、その場で撮ったものをパパッとスマホ転送できるというのはいいですよね。

 これって、もちろん自分で写真をどうこうする場合もそうですが、家族や友達なんかに写真をその場で渡したい時なんかに、SNS使わなくても、PlayMemories Mobileのアプリが入っていたら、簡単に転送できますからね。

 正直、SONYはもっとこのスマホ転送の手軽さをプッシュすべきだと思います。別にα77Ⅱではなく、α5100やα5000を持っていたりするライトユーザーこそ知るべきですよね。私の回りに、この機能を使いこなしていない人は多数いますからね。

TLMのホコリ問題健在も少しは軽減!?

 α77Ⅱでも健在のTLM(トランスルーセントミラー)。ホコリ問題は依然として残っています。

 ただ、雰囲気としては、α77よりは多少は軽減されているのかな?という感覚はあります。TLMの残念なのは、やっぱり自分で手入れができないということですよね。せめて、スペアが販売されていて、自分で取り替えが出来ますよ!っていう感じならいんですけどね。

EVFもα6000とは比べものにならないぐらいα77Ⅱの圧勝

 α77Ⅱとα6000を比較して違いが分かるのは、このEVFですね。α6000でも見えなくはないんだけど、改めてα77ⅡのEVFをのぞいてみると、その良さが分かります。それは、EVF自体の大きさも影響していますし、画素数も液晶していると思います。

 ポートレートなどを撮影している時は、この違いが顕著で、α77Ⅱだとどこにピントがきているのか…というのが、よく分かるのですが、同じ画角で撮影をしていても、α6000ではちょっと分かりにくいです。また、サーキットで撮影をしている時も、α77Ⅱだと「キタッ!」という時は、EVFでは分かるぐらい見えるのですが、α6000だとそこまでの感触はあまりありません。

 ちなみに、参考までに、αシリーズのEVF性能をまとめておくと…

 α6000:1cm・0.39型、144万画素、視野率100%、倍率1.07倍
 α77・α65・NEX-7・NEX-6:1.3cm・0.5型、236万画素、視野率100%、倍率1.09倍
 α77Ⅱ:1.3cm・0.5型、235万画素、視野率100%、倍率1.09倍
 α99・α7・α7R・α7Ⅱ・α7S:1.3cm・0.5型、235万画素、視野率100%、倍率0.71倍
 α7RⅡ・α7SⅡ:1.3cm・0.5型、235万画素、視野率100%、倍率0.78倍

 というところです。

実はアイセンサーの仕様が違う?

 これは、α6000のあるあるなのですが、α6000の液晶を傾けて、ウエストレベルなんかで撮影をしようとすると、EVFのところにあるアイセンサーが体に反応して液晶モニターが消えてしまいます。これ、地味に結構ストレスになります。

 なのですが、α77Ⅱでは全くそれが起きません。これはどうやら、カメラ側が液晶が収められているかどうかを感知出来るようになっていて、通常の液晶がハマっている状態だとアイセンサーが反応しますが、液晶が少しでも可動して本体ボディから離れた状態になると、アイセンサーの機能が解除になり、いくら液晶が重なったり、体が重なったりしても誤作動が生じない。という仕様になっているようです。

 たかが、それぐらい…と思うかもしれませんが、これ、本当に地味にストレスになります。特に、子どもやペットのようなローアングル撮影を多用したい場合なんかは、撮影しながら「何だよ!(*`Д´*)」ってなることがあります。

電源スイッチのON・OFFの向きの違いは地味に面倒

 以前にもα6000レビューで書いたこのネタ。地味な問題なのですが、意外と面倒なんです。

 これ、α77Ⅱとα6000の電源スイッチの部分なのですが、ONとOFFの向きが逆なのが分かりますよね?。

 今までそんなに気にしていなかったのですが、実は2台体制で撮影をしていると、このONとOFFの向きが機種によって違うというのは、ちょいちょい面倒くさいんですよね。確かに、メーカーによって違ったりするのはレンズのフォーカスリングの向きとかもそうだけど仕方がないと思いますが、同じメーカーで違うってのは問題があるんじゃないの!?って私は思うんですけどね。

シャッターの感触は違うけど…

 α77Ⅱとα77の違いでよく言われているシャッターの感触。確かに、結構違います。慣れないと、焦るぐらいです。

 α77Ⅱの方が、半押しでピントがあう感じが非常に軽い感じがして、ちょっと気を抜くとそのままシャッターを切ってしまうという感じです。

 ただ、はじめはスゴい違和感があって、「α77の時の方が良かったなぁ」と思っていましたが、最近は慣れたのか、何の違和感も無くなりました。ってことで、やっぱり慣れなんでしょうね。

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