DSC-RX100にクローズアップレンズを付けてみる
(2013.10.20)

 DSC-RX100を購入して、10ヶ月近くなった。1型のセンサーとVario-Sonnarのレンズとの組み合わせは、一眼レフをも驚愕しそうな写り。HX5Vをサブサブ機に…なんてことも考えましたが、気づけばα55に望遠レンズを付けているときは、広角側はRX100で済ます、というぐらい期待のカメラです。

不満点はマクロ機能

 しかし、いいところばかりかといえば、そうでもない。いくつかあるが、1つはホワイトバランス。どうも、特にAWBは青側による傾向があるようで、設定をやや赤側に振っているぐらいだ。そして、もう1つはマクロ機能だ。これがなんとも哀しい感じがする。

ワイド端で最も寄れるRX100

 以前にこのサイトでもRX100の検証をしたことがあるが、RX100で最も寄れるのはワイド端(35mm換算で28mm)のところで、私が提唱する最小撮影長(最も定規に寄った状態で、何mmまでアップして撮影できますか?という数値)で75mmとなる。1型という大きなセンサーサイズを考えれば、あながちすごい悪いという数字ではない。

 なので、はじめは、『まぁ、これぐらい寄れれば問題ないかな?』と思っていた。

 しかし、いろいろと撮影してみると、結構問題が出てくる。

①気になる背景

 ワイド側で撮影するので、画角が広い。RX100は、すごい広角という訳ではないが、それでも35mm換算で28mmである。標準よりは広角側である。そのため、何かを撮影しようとすると、すごい背景がうっとうしい写真になる。場合によっては、背景の人が邪魔になってボツ写真になってしまったり、背景が広く写る分、そちらにピントが合おうとしてしまい、なかなか肝心な被写体の方にピントが合いにくいということになる。

②モノとの距離が意外とズレる

 画角が広い分、平面の被写体を撮影していても、画面中央部分と両端の方ではカメラと被写体までの距離の誤差がとても大きくなる。

③モノとの距離が近いので、被写界深度が浅い

 そこにきて、カメラとモノとの距離が非常に近いため、否応でも被写界深度が浅く、ピントの合う範囲が狭くなる。この②と③により、ピント調節が非常にシビアな上に、画面中央部はピントがあっていても、周囲に行けば行くほどピントが合わなくなってくる。

 そういう事があり、普通、ズームレンズにマクロ機能を搭載する場合は、ワイド端側ではなく、テレ端側にマクロ機能を付ける、いわゆる「テレマクロ」が搭載されるのが普通である。ただ、コンデジ系の場合は、今回のRX100のように「ワイドマクロ」になるケースが多いので、意外と難しいのだ。

クローズアップレンズという選択肢

 この事については、実は半ば諦めていました。

 ただ、ふと何かの調べ物をしている時に、「コンデジにクローズアップレンズを使って、マクロ撮影を楽しもう」という記事を見つけました。

 思わず、『コレだ!』と思ってしまいましたね。

 実は私自身、クローズアップレンズ持ってるんですよね。元々、2011年夏にα55を購入した際に、マクロレンズってなかなか買えないしなぁ…と思って、ダブルレンズキットの標準ズームレンズに合うように55mmのクローズアップレンズNo.5を買っていました。ただ、実際に撮影に使ったのは何回か。特にここ最近は、この標準ズームレンズすら使う機会が無い上に、他にφ55mmのレンズも無いために、「そういえばそんなもんがあったよね?」ってな位で記憶していました。

しかも、RX100側もフィルタがつけれるようになった

 ただ、デジイチ系のレンズは、必ずフィルター用の溝が刻まれています。なので、クローズアップレンズやらPLフィルターやらをつけることができるのですが、普通のコンデジやこのRX100もそういうフィルター用の溝が無いので取付けることが出来ません。

 が、しか~し!。なんと、RX100にフィルターを取付けることが出来るようになったんですね。

 その商品が、右側のフィルターアダブター。実は、RX100が発売されてしばらくすると、サードパーティー製で同様のものが販売されていました。そして、2013年夏にRX100M2が発売されるのと合わせて、このアダブターがSONY純正商品として発売されたのです。(ちなみに、このときにアタッチメントグリップなんかも同時に発売されています)

 個人的には発売直後から存在は知っていました。ただ、RX100にフィルターって必要かな?と思っていたのと、どうしても両面テープで貼ることに抵抗感が少なからずあったこともあり、検討していませんでした。

まず、フィルターアダブター(VFA-49R1)を付けてみる

 いろんなところでアップされていますので、この点はサラッと紹介します。




粘着シートで接着したアダブタ。出っ張りも少ないですし、Carl Zeissの文字も隠れてなくて良いですな。



実際のアタッチメント部分を付けるとこんな感じ。意外と色相が違います。
ちょっと飛び出た所を押すと、貼り付け部分とアダブタ部分が外れます。

クローズアップレンズを使っての違い

 さて、肝心の撮影です。分かりやすいように100円玉で撮影してみました。背景は液晶ディスプレイなので気にしないでください。

標準のワイド端(35mm換算28mm)

 まぁ、そこそこってところかな。

テレ端(35mm換算100mm)

 これを見ると、いかにテレ端が全く寄れないというのが分かるかと思います。

ワイド端+クローズアップレンズNo.3(49mm)

 クローズアップレンズを付けて、ワイド端で試しに撮影してみると、少しは大きく撮ることができますが、その分、ワーキングディスタンスが短くなり、影が映り込むなど撮りづらくなります。実用的ではないですね。しかも大きく歪んでいます。

テレ端+クローズアップレンズNo.3(49mm)

 テレ端にしてみると、う~ん、もうちょっと寄れないですね。元のワイド端よりも少し小さくなっちゃっています。といっても、先の写真を見たら分かるとおり、元のテレ端から見るとかなり寄れるんですけどね。

テレ端+クローズアップレンズNo.5(55mm・ステップアップリング)

 No.5のクローズアップレンズは、手持ちが55mmしかなかったので、49mm⇒55mmのステップアップリングを使って付けてみました。



 ここまでくると、テレ端でも標準ワイド端よりも寄れるようになります。最小撮影長は61mm。

テレ端+クローズアップレンズNo3+No.5



 さすがに、ダブルでやるとかなり寄れます。実に44mm。計算すると、撮影倍率0.3倍です。これだけ寄れたら文句は無いでしょう。ケラレもないのでOKでしょう。今回はステップアップリングを使ったのでこんな感じでしたが、同じ径でいくとちょっと違うかもしれんですね。

 ただ、注意が必要なのはワイド側ではさすがにケラレが出てしまうということでしょうね。まぁ、ここまでしておいてワイド側で撮影する人はいないと思いますが。あとは、この一眼のレンズクラスの大きさのものをどうやって持ち出すかですね。

この違いは意外と大きいぞ!!

 これを見るとよく分かります。クローズアップレンズのNo.3だけでは、ワイド端の方が寄れる形になります。これが、No.5になるとワイド端以上に寄れるようになります。さらに、ダブルになると倍まではいきませんが、かなり寄ることが出来ます。

 ワイド端側でピントが甘いのは、F値の関係もあるようです。何も考えずにプログラムオートで撮影してしまったので、F1.8に。そもそも、ワイド端でマクロ撮影するときに、F値が低いと非常に写りが良くないです。逆にテレ端側は、元々明るくないこともあり、F4.9です(その代わりISO-1250)。ISO感度も高いのですが、それ以上にコインの表面の傷までハッキリ分かるなど、描写の良さがよく分かります。

クローズアップレンズを使っての作例

 ちょうど、花回廊に行く所用があったので、そこで試してみました。



 もう少しシャッタースピードを稼ぎながら、MFアシストを使ってピントをキッチリ撮れば良かったのですが、それでもこれぐらい寄れます。一見すると、マクロレンズで撮ったのかと思ってしまうほどです。

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