「平成の大乱」とは昨年初、私の古稀記念に刊行した本の題名である。副題を、混迷の奥に見えるもの、とした。大乱とは政治、経済社会の大混乱の意である。現役の終わりに近い昭和63年前後の頃、私は国内外の政治経済、社会に強い異常を感じ1990年代は悪い方から始まると社内誌とか外部での講演、寄稿でしばしば言及している。当時の私には後世の史家から見れば平成時代は社会経済の大混乱の時代と言われるのではないかと言う思いが強くあった。そしてその頃がその大乱の入口か真っ只中ではなかろうかという思いが確実にあった。緊急に政治が対応せよと盛んに寄稿し主張している。然し、今日まで果敢な抜本的対策を打てず、政治家は小田原評定と泥縄ばかり10年費やし、遂に大乱の真っ只中となり現在の破局直前の様相となってしまつた。国家中枢官僚の腐敗も大きい要因だ。そんな歴史的な思いがかかる大げさな題名の背景にあった。
この本は私が10年前、還暦を機に完全に引退し、ゲゼルシャフトの世界から足を洗った以降にものしたものが大宗を占めている。それを逐次ご披露していく。
平成13年11月 徳永圀典